Measuring the average nearest neighbor distance of stone tool 3D distributions
I will use the average nearest neighbor distance as an index for comparing differences in the 3D distribution of artifact types in terms of density. First, I experimentally measured the average nearest neighbor distance using stone tools.
遺物種別3D分布の違いを密集性という観点から比較するための一つの指標として、平均最近隣距離を使ってみることにします。最初に、石器を材料にして、平均最近隣距離を試行的に計測してみました。
1 平均最近隣距離について
1-1 平均最近隣距離(Average Nearest Neighbor ANN) ANN1
遺物Aが3D空間に分布していて、遺物Aの全てについて、最近隣にある別の遺物Aとの距離を計測し、その平均値を求めたものが遺物Aの平均最近隣距離です。これをANN1とします。
同一空間に同一数の遺物種が分布している場合、ANN1の数値が小さい遺物種ほど密集性が高いことを表現しています。
2 ランダム分布の平均最近隣距離 ANN2
遺物Aが分布する同じ3D空間に遺物Aと同数のランダム点をプロットして、そのランダム点の平均最近隣距離をもとめ、これをANN2とします。
ANN2は密集性が存在していない、あるいは分散性が存在していない仮想的な分布状況の平均最近隣距離を表現していると考えることができます。
3 標準化された平均最近隣距離指標 ANN3
ANN1/ANN2を求めると、その値は標準化された平均最近隣距離指標となります。これをANN3とします。標準化された平均最近隣距離ANN3はその値が1より小さければ密集度合いを、1より大きければ分散度合いを表現します。同時にANN3を使えば、遺物数や3D空間の広さが異なる遺物種の間でも密集-分散度合いを比較して論じることができます。
2 石器を例としたANN計測
2-1 石器分布資料等
統計分析用3D空間(全遺物分布3D空間)
石器3D分布(2045件)
統計分析用3D空間に2045点をランダムプロットした様子
2-2 石器のANN計測結果
石器ANN1 0.356m
石器ANN2 0.469m
石器ANN3 0.759
2-3 メモ
石器の平均最近隣距離ANN1が0.356mであることから、ある石器が出土すると、確率的に、その石器を中心として半径0.356mの球空間に別の石器が1つ出土する勘定になります。
仮に石器が遺跡空間の中でランダムに分布していると仮定すると、確率的に、その石器を中心として半径0.469mの球空間に別の石器が1つ出土する勘定になります。
この違いは実際の石器分布が密集しているから生じています。
この石器密集度合いを指標ANN3で計測すると0.759になります。
この値0.759のさらに詳しい評価・意味は他の遺物種のANN3と比較してはじめて深まります。
3 最近隣距離の基本統計料
石器の遺物個体別最近隣距離の基本統計量は次のようになります。
最小値 0.036m
最大値 2.743m
中央値 0.326m
平均値 0.356m
標準偏差 0.202
最近隣距離順位グラフ
4 最近隣距離の分布
石器個体の最近隣距離を次の表のように類型区分して、色分けして3D空間にプロットしました。
石器ANN類型区分
石器最近隣距離の分布3Dモデル画像(区分1+2+3+4の分布)
区分1の分布
区分1+2の分布
区分1+2+3の分布
一瞥して、この石器最近隣距離分布3Dモデルから豊かで有用な情報を引き出すことができることがわかります。ここでは分布3Dモデル作成までにトドメ、詳しい検討は別記事で行います。
5 平均最近隣距離計測に関わる操作技術
平均最近隣距離計測に関わるデータ操作技術及び計測結果のBlender3Dビューポートプロット技術などでは多数のPythonスクリプト、BlenderPythonスクリプトを使っています。それらの整理は別記事で行います。









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