2025年11月4日火曜日

石器の最近隣距離分布観察

 Observing the Distribution of Nearest Neighbor Distances for Stone Tools


I observed the 3D distribution of nearest neighbor distances for 2,045 stone tools excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound. The significant concentration seen with pottery is not observed with stone tools. Dividing the nearest neighbor distance into four levels from short to long reveals a gradual, three-dimensional zone with the sparsely distributed stone tools at the core and the space between them gradually filling in.


有吉北貝塚北斜面貝層の出土石器2045件の最近隣距離3D分布を観察しました。土器に見られるような顕著な集積は石器では観察できません。最近隣距離を短→長に4段階に分けると、まばらに展開する最短の最近隣距離石器を核に、その間の空間を次々に埋めるように展開する緩やかな立体ゾーンが観察できます。

1 石器 最近隣距離3D分布

1-1 石器 最近隣距離0.036~0.133m


石器 最近隣距離0.036~0.133m


斜め表示

1-2 石器 最近隣距離0.036~0.133m、0.133~0.356m


石器 最近隣距離0.036~0.133m、0.133~0.356m


斜め表示

1-3 石器 最近隣距離0.036~0.133m、0.133~0.356m、0.356~0.579m


石器 最近隣距離0.036~0.133m、0.133~0.356m、0.356~0.579m


斜め表示

1-4 石器 最近隣距離0.036~0.133m、0.133~0.356m、0.356~0.579m、0.579~2.743m


石器 最近隣距離0.036~0.133m、0.133~0.356m、0.356~0.579m、0.579~2.743m


斜め表示

2 メモ

・有吉北貝塚北斜面貝層の出土石器2045件の最近隣距離3D分布を観察しました。

・土器や人骨に見られるような顕著な石器集積は観察できません。

・最近隣距離を短→長に4段階に分けると、最短(最近隣距離0.036~0.133m)がまばらに分布していて、まるで石器分布全体の核のような存在のように感じられます。

・最短の分布図を拡大すると2つとか3つの石器が連なっている場合が多くなっています。試しに幾つかの最短で連なる石器種類をみてみると次のようになりました。


石器種類をみた最短(最近隣距離0.036~0.133m)石器の場所


石器種類

・同一石器が割れて2になり、それが最短の距離で分布している事例があるかもしれないという考えからこの作業を始めたのですが、そのような事例は無いようです。発掘調査報告書の石器実測図を調べると、2つの石器(別遺物番号)が接合するものが北斜面貝層で10程度あるのですが、いずれも距離が離れているようです。(土器や骨角歯牙製品では接合する複数の遺物が直ぐ近くから出土する事例があります。)

・まばらに展開する最短最近隣距離の石器の間の空間を埋めるように、それより長い最近隣距離の石器が次々に展開する緩やかな立体ゾーンが観察できます。


0 件のコメント:

コメントを投稿