2025年11月21日金曜日

骨の最近隣距離分布観察

 Observing the Distribution of Nearest Neighbor Distances for Bone Samples


I observed the 3D distribution of nearest neighbor distances for 34,050 bone samples excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound. I created four distribution maps by dividing the nearest neighbor distances into four sections using minimum, maximum, mean, and standard deviation. The bone-dense areas were distributed in five separate areas around the edge of the shell layer, which is completely different from the distribution of pottery.


有吉北貝塚北斜面貝層の出土骨34050件の最近隣距離3D分布を観察しました。分布図は最近隣距離を最小値、最大値、平均値、標準偏差を利用して4区分して4枚作成しました。骨密集域は貝層縁辺部に5ヶ所に別れて分布し、土器分布の様相と全く異なります。

1 骨 最近隣距離3D分布

1-1 骨 最近隣距離0.005~0.037m


骨 最近隣距離0.005~0.037m

1-2 骨 最近隣距離0.005~0.037m、0.037~0.107m


骨 最近隣距離0.005~0.037m、0.037~0.107m

1-3 骨 最近隣距離0.005~0.037m、0.037~0.107m、0.107m~0.177m


骨 最近隣距離0.005~0.037m、0.037~0.107m、0.107m~0.177m

1-4 骨 最近隣距離0.005~0.037m、0.037~0.107m、0.107m~0.177m、0.177~2.043m


骨 最近隣距離0.005~0.037m、0.037~0.107m、0.107m~0.177m、0.177~2.043m

2 メモ

2-1 骨の集中域

骨の集中域は北斜面貝層縁辺部に5ヶ所ほどに別れて分布しています。この様子から貝層縁の台地面から骨を投棄した様子とそのメイン投棄場所が5ヶ所ほどに限定されていたことを推察できます。また下図でaと注記したが最大投棄場所で特徴的です。骨の投棄は貝層に満遍なく行われたのではなく、好まれていた場所があったことが判明しました。


骨の集中域

2-2 骨と土器集中域の比較

骨と土器の集中域を比較すると、顕著な違いが浮かび上がります。骨集中域は北斜面貝層の縁辺部に分布し、土器集中域は斜面下部からガリー流路沿いに分布します。


骨と土器集中域の比較

この2枚分布図の比較から次の仮説が浮かび上がりましたので、今後の重要テーマとして検討・検証することにします。

・骨は貝層縁辺付近の台地面から投棄された。投棄された骨は重力や長期にわたるクリープ現象で斜面を下るものもあったが、その割合は土器より少なかった。

・土器も貝層縁辺付近の台地面から投棄された。投棄された土器は重力や長期にわたるクリープ現象で斜面を下るものが多く、斜面下部に集中域を形成し、それはガリー流水で運ばれた。

・骨と土器の斜面移動量の違いは個別遺物の重量の違いによると考えられる。骨は小さく、かつ比重が小さいので重量が小さく、地表面での抵抗で移動しにくい。一方、土器は破片が大きく、かつ比重が大きいので重量が大きく、地表面での抵抗に対して移動しやすい。

・長期にわたるクリープ現象の要因として、霜柱がメインであり、人の踏圧なども考えられる。


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