2026年5月6日水曜日

貝層断面のファブリック分析(テスト分析3)

 Fabric Analysis of Shell Layer Cross Sections (Test Analysis 3)


I am conducting a fabric analysis test using a stripped cross section of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound as a case study. This time, I examined the inclination and direction (upward convex/downward convex) of bivalves by representing them with frequency graphs. Characteristics of slope shell layers can be observed in the inclination and direction of bivalves.


有吉北貝塚北斜面貝層の剥取断面を事例としてファブリック分析のテストを行っています。今回は二枚貝の傾斜や方向(上凸・下凸)を頻度グラフなどで表現して検討しました。二枚貝の傾斜や方向に斜面貝層の特徴が見られます。

この記事は2026.05.02記事「貝層断面のファブリック分析(テスト分析2)」の続きです。

1 テスト対象空間


テスト対象空間

test1とtest2が今回のテスト対象空間です。ともに、12㎝×12㎝の範囲です。

2 二枚貝数


二枚貝数

test2が90、test1が103となります。密度は63個/100㎠、72個/100㎠となります。


分層別二枚貝数

C(2)層のデータが多くなっています。

3 二枚貝傾斜

3-1 C(2)層の略傾斜

傾斜は鉛直線から右回りで角度を計測しています。

C(2)層の略傾斜は次図のとおり、114.6°となります。


C(2)層の略傾斜

3-2 二枚貝傾斜頻度分布


test2とtest1の二枚貝傾斜頻度分布

test2は貝層分層が斜面途中に位置する観察範囲であり、傾斜頻度分布は100°~120°が最も多くなっています。一方、test1は貝層分層が下の層に衝突する斜面最下部に位置する観察範囲であり、傾斜頻度分布は突出した傾斜区分がありません。test2とtest1の違いは高濃度流の挙動に対応した二枚貝の反応が表現されている可能性があります。(test2は斜面を流れる挙動の状況、test1は流れが地面に衝突して堆積する挙動の様子。)


C(2)層の二枚貝傾斜頻度分布

test2とtest1のC(2)層だけの情報を抽出して作成した二枚貝傾斜頻度分布です。斜面に存在する貝層分層の二枚貝傾斜頻度分布はこのような形状になるのではないかと考えます。

4 二枚貝方向

4-1 二枚貝方向区分

二枚貝方向は次のような区分をしています。


二枚貝方向区分

4-2 二枚貝方向分布


二枚貝方向

斜面途中のtest2では上凸・下凸の差はほとんどありませんが、斜面下部のtest1では下凸が多くなります。

これまでに検討した予備解釈では高濃度流が停止する際に土器や貝殻が安定形状に回転して流体の中を沈下すると考えていますので、この予備解釈とtest1で下凸が多くなることは整合します。

4-3 二枚貝方向と傾斜との関係


二枚貝方向と傾斜との関係

傾斜が80-100、100-120、120-140で下凸の割合が大きくなっています。高濃度流の斜面流下に伴う事象と考えて矛盾はありません。

5 メモ

test1とtest2だけの分析ですが、二枚貝傾斜と方向の2指標から高濃度流の特徴を整理できる可能性を感得することができました。これにより、剥取断面が詳しく検討する価値のある対象であることと、現在の分析方法から有用情報を汲み取ることができることを実感できました。

今後、分析対象面積を拡大します。同時に斜面貝層でない剥取断面(加曽利貝塚南貝塚)の分析も比較のために行うこととします。



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