2026年6月24日水曜日

有吉北貝塚北斜面貝層のデータ総集 その2

 Comprehensive Data Collection for the Shell Midden on the Northern Slope of the Ariyoshi-Kita Shell Mound: Part 2


I examined the 3D data of the shell midden on the northern slope of the Ariyoshi-Kita Shell Mound from an overall perspective, stepping back from the fine details. I noted observations based on the differences between the 3D distributions of pottery and those of bones and teeth. I hypothesize that during the final stage of shell midden formation (the new phase of the Kasori E-II style), a large-scale collapse and a high-concentration flow occurred in the western tributary at the head of the gully, and that the resulting secondary deposits extended all the way to the downstream end.


有吉北貝塚北斜面貝層の3Dデータを、詳細から離れて、全体として眺めてみました。土器3D分布と骨歯3D分布との違いから気が付いたことをメモしました。貝層形成最終段階(加曽利EⅡ式新段階期)にガリー谷頭西支谷で大規模な崩壊、高濃度流発生があり、その二次堆積物が最下流まで及んでいると思考しています。

この記事は2026.05.26記事「有吉北貝塚北斜面貝層データの総集」の続きです。

1 遺物データ3D分布

1-1 土器3D分布


土器3D分布

土器の件数は17484です。

画像には第2断面(左)と第3断面(右)を入れたあります。(以下同様)

1-2 石器3D分布


石器3D分布

石器の件数は2045です。

石器3D分布土器3D分布と似ています。

1-3 骨歯3D分布


骨歯3D分布

骨歯の件数は34050です。

骨歯の3D分布は貝層3D分布と近似すると考えることができます。

2 土器、石器、骨歯の相互関係

2-1 土器、石器の3D分布相互関係


土器、石器の3D分布相互関係

土器3D分布画像と石器3D分布画像をPhotoshopで「ピンライト」の関係でオーバーレイした画像です。

2-2 土器、骨歯の3D分布相互関係


土器、骨歯の3D分布相互関係

土器3D分布画像と骨歯3D分布画像をPhotoshopで「ピンライト」の関係でオーバーレイした画像です。

土器3D分布はあるが骨歯3D分布がない場所、逆に骨歯3D分布はあるが土器3D分布が虚弱な場所を見つけることができます。

2-3 石器、骨歯の3D分布相互関係


石器、骨歯の3D分布相互関係

石器3D分布画像と骨歯3D分布画像をPhotoshopで「ピンライト」の関係でオーバーレイした画像です。

3 予備思考 骨歯分布(≒貝殻分布)との関係から見た土器分布区分


予備思考 骨歯分布(≒貝殻分布)との関係から見た土器分布区分

土器、骨歯の3D分布相互関係図に予備思考結果をメモしました。骨歯3D分布を貝殻3D分布に見立てて、それと土器3D分布との関係を分析し、土器分布をa~kの11に区分しました。以下思考結果をメモします。

3-1 予備思考1

a:aの土器片分布は、点線で描いたような「台地縁から投棄された結果そのもの」では「ない」と思考します。aと台地縁の間に存在した「投棄結果貝層」が規模の大きな高濃度流で下流に一気に移動したと考え、その移動プロセス結果がaに残っていると考えます。高濃度流堆積物としての土器堆積です。

このように思考する根拠の一つは第2断面層序最下部付近から北斜面貝層最新土器型式(加曽利EⅡ式新段階土器)が出土していて、大規模な高濃度流を想定せざるを得ないことです。

b:bの土器分布は台地縁からの投棄結果であると考えます。第1断面谷頭急崖直下から加曽利EⅡ式中~新段階土器が出土しているので、その頃以降に投棄された土器がメインであると考えます。

c:cの土器分布はaから継続し、fへと連なる高濃度流堆積物分布が軸となっていると考えます。

d:dの土器分布は台地縁から投棄された土器の分布を示すと考えます。

e:土器密度がdで粗でeで密である理由の一つは斜面に投棄された土器が高濃度流で斜面下部に集中しやすいことが影響していると考えます。

f:fの土器分布はcの土器分布と連続するものですが、高濃度流の特性として粒子の大きいもの(土器>貝殻)が堆積先端に集中するので、f域は貝殻が伴っていない、つまり、高濃度堆積先端域と考えます。

g:fの土器がその後の高濃度流で二次堆積したと考えます。

h:hの方がdより土器が密集しているのは、土器投棄量がhの方がdより多かったと考えます。

i:dとeの関係のように、hよりiの方が土器は密集しています。

j:j域に台地縁から土器が投棄されたと考えます。

k:i域からk域に土器が移動していますが、その営力は高濃度流ではなく、流水による可能性があると考えます。この付近の貝層に水平ラミナが存在するからです。

3-2 予備思考2

a-c-f、a-c-e-i-k:この区域は、加曽利EⅡ式新段階期における左岸側(西側)支谷谷頭部の大規模崩壊による高濃度流堆積物をメインとすると考えます。その堆積物より下位にそれより古い時期の堆積物が断片的に存在する可能性はあると考えます。

b:この付近のガリー谷頭浸食は少なくとも阿玉台式期にはあったことが判っています。。加曽利EⅡ式中~新段階期に顕著なガリー谷頭浸食があり、その直後から土器、石器、貝殻の投棄が始まったことが判っています。

d,h:ガリー侵食後の崩落層形成時から貝殻投棄が始まっています。ガリー侵食時期は少なくとも中峠式期には遡ります。それより古い時期まで遡るかどうかは情報がないので現状では判断できません。中峠式期以降加曽利EⅡ式新段階期まで貝殻や土器の投棄は継続すると考えられますが、斜面貝層の小崩落(高濃度流発生)が多発していたと考えられ、現状ではセクション図掲載分層の断面間対比は部分的にしかできていません。


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