このブログでこれまで興味を持ってきた沢山の対象、話題を整理してみると7つの類型に集約して捉えることができます。
それは私が花見川流域を深く理解するための課題であるということもできます。
あるいは私の趣味の散歩の興味の対象が区分けしてみると7つあるというこでもあります。
次に、花見川流域を知るための7つの課題について思いつくことをメモしてみました。
第1の課題 下総台地の地形発達史
河川争奪現象、活断層地形と長沼、縄文海進などにこれまで興味をもってきました。
【河川争奪現象】
花見川河川争奪現象はこのブログでのみ話題としていて、一般社会(具体的には地学関係の学術界)では話題になったことはありません。
私としては一般社会で首肯していただけるだけの情報を用意し(証明し)、しかるべき情報発信をしたいと思っています。
花見川河川争奪現象という稀有な地学現象が幾つかの条件がそろってこの地に発生したことにより、その結果としての特異な谷津分布が生じ、それが古代から現代までの人社会に強固で特徴的な影響を及ぼしています。
その影響そのものは第2~第7の課題で扱う内容になります。
【活断層地形と長沼】
活断層地形(小崖1~3)については、その実態を十分に調査するとともに、その意義について学習を深めたいと思っています。
現在自分が考えているような検討ストーリーを展開していけば、場合によっては大きな発見的活動になるかもしれないと、楽しみにしています。
活断層地形と関連して長沼の地学的成因についてもこのブログで検討してきました。
長沼の成因についての検討はこれまでにされたことがないので、検討をまとめて一般社会にしかるべき情報発信をしたいと考えています。
第2の課題 考古学的遺跡等からみた古代文化
古代遺跡の立地土地環境、縄文語起源の地名などについてこれまで興味をもってきました。
【古代遺跡の立地土地環境】
古代遺跡の立地土地環境については、花見川河川争奪現象地形と関連して、新しい知見を得たいと思っています。
具体的には花見川が果たした東京湾と香取の海(現印旛沼)の連絡機能の姿を何らかの証拠により、明らかにしたいと考えています。
検見川で大賀ハスと一緒にみつかった縄文丸木舟は東京湾に開いた港の存在を暗示し、印旛沼保品で見つかり八千代市立郷土博物館でその復元品が展示されている縄文丸木舟の存在は香取の海に開いた港の存在を暗示しています。
その2つの港を繋ぐルートが花見川河川争奪現象地形です。
【縄文語起源の地名】
ハナミガワのハナはハナワやイノハナなどのハナと同じで、縄文語起源の地名(台地の突端部地形名称)であると考えています。
この論が正しいと理解していただけるような情報をまずは沢山集めたいと考えています。
そもそも花見川河川争奪現象地形の存在が古代人にとってあまりにも特徴的であったため、ハナミガワという地名が縄文人によって語られたのだと考えています。
第3の課題 小金牧と六方野
馬防土手、入会地などについて興味をもってきました。
貴重な古地図や古文書を手がかりにして小金牧と六方野に関わる歴史と人々の生活にもっと興味を持ちたいと考えています。
印旛沼堀割普請前から(自然地形としての花見川河川争奪現象地形が存在していたときから)小金牧の東端が花見川筋であり、花見川筋の東は六方野でした。
早朝の花見川
2013.1.6 6:36 弁天橋から上流方向 カモが二羽飛ぶ
第4の課題 印旛沼堀割普請
堀割普請前の自然地形、土木遺構分布などに興味をもってきました。
【堀割普請前の自然地形】
堀割普請前の自然地形とは花見川河川争奪現象地形そのものであり、それが既に台地を刻む谷地形であったと考えています。
その谷地形を利用した連絡ルートは、旧石器時代人、縄文時代人、弥生時代人、古墳時代人、中世時代人と引き継がれてきていた印旛沼と東京湾を結ぶルートです。江戸時代人がここを印旛沼堀割普請のポイントとしたことは当然です。
その堀割普請前の自然地形を普請土木遺構(台地、段丘上に残された捨土土手)の土量を手がかりにして復元したいと考えています。幸い酒田市久松家資料など多量の古文書・絵図が残されていて、検討を進める際の参考になります。
【土木遺構分布】
印旛沼堀割普請の土木遺構の分布を正確に捉える活動を続けています。
保存等の施策がゼロの現状では土木遺構は結局消滅する運命にありますが、そうした現状を少しでも改善するためには、「ここが印旛沼堀割普請の場所です」という必要があります。
千葉市や八千代市の小学校社会科副読本では印旛沼堀割普請について数ページにわたる記述があり、郷土の歴史として全生徒が学びます。しかし、それにしては文化行政が土木遺構を粗末に扱っているというのが私の感想です。
第5の課題 二つの陸軍演習場
これまでに、近衛師団管轄演習場規程附図を閲覧したり、花見川河川敷内で軽便鉄道橋台やトーチカを発見しました。
【近衛師団管轄演習場規程附図の閲覧】
近衛師団管轄演習場規程附図は国会図書館、防衛省防衛研究所防衛史料室、陸上自衛隊関係部署、各大学、地元図書館等を探し、最後に関係者のご好意により所蔵者から閲覧させていただきました。
この附図には習志野演習場と下志津演習場の施設の内部配置や活動に関する情報が詳細に記述されています。
終戦後67年にして初めて分かった重大事実も含まれていました。
この資料を一つの核として他の資料も収集し、二つの陸軍演習場での活動について詳しく知りたいと思います。
そして、そうした軍事情報を「負の遺産」ではなく、地域づくりに役立つ「正の遺産」とする方法を見つけ出し、今後の花見川流域の地域づくりに役立てたいと思います。
【戦争遺跡(トーチカ)の発見】
軽便鉄道の橋脚をさがしている時、偶然ですが花見川河川敷内に覆土されたトーチカを発見しました。
予備調査を昨年末に実施してトーチカの存在を確認しました。
今後本格的発掘調査を行政に要請する予定です。
私はこのトーチカを本土決戦用施設と見立てており、戦争遺跡と呼ぶにふさわしい遺跡です。
今後の調査に待たなければなりませんが、もし花見川に本土決戦用トーチカがあることが確認されれば、花見川が軍事的要害として活用されたということになります。
米軍の本土進攻計画書(千葉市史掲載)にも台地を刻む谷津は、そこに日本軍の抵抗陣地が設けられている可能性が高く、進軍の妨げになるとの記述があります。
戦争末期には、人々が花見川を戦場として捉え思考したという、新たに判明した事実も詳しくこのブログで記録したいと思います。
早朝の花見川
2013.1.6 6:38 弁天橋から下流方向 ボーリング調査用仮橋がある
第6の課題 戦後印旛沼開発と地域開発
戦後印旛沼開発と流域変更、河川名称、都市開発などに興味を持ちました。
【戦後印旛沼開発と流域変更】
戦後印旛沼開発で印旛沼と花見川がつながりました。
そのこと自体は国土建設上大切なことであったと思います。
我国高度成長の一つの礎となりました。
その偉業に隠れて誰も気がつく人はいませんが、その開発に際し、流域変更が行われました。
高津川、勝田川が印旛沼水系から花見川水系(東京湾水系)に編入されました。
高津川流域には習志野演習場、勝田川流域には下志津演習場があったところです。
流域変更の理由は印旛沼水系の洪水を防ぐためだとの説明ですが、印旛沼水系に占める高津川、勝田川水系の流域面積は微小であり、とても納得できる理由とは考えられません。
河川で流域変更するということはそれなりの大きな理由があってのことです。
現在の花見川流域の出自に関わる問題ですからないがしろにできません。
私には、戦後のドサクサまぎれに、真の理由を行政内部でのみ了解し、国民に隠して流域変更したとしか思えません。
このような私の考えが間違っているのか、正しいのか検証したいと思います。
【河川名称】
花見川という名称は通称であり、河川法上は「印旛放水路(下流部)」という名称になっています。
「印旛放水路(下流部)」という名称は、治水と利水を主軸に活動を展開するという旗印を掲げていた、一昔前の時代のものであると考えます。
印旛沼開発事業だけを考えていれば、それが地域のためだという時代の名称です。
しかし、平成9年の河川法改正で河川の目的に環境が加えられ、治水・利水・環境の3つの河川管理により河川の目的を達成する時代になりました。
花見川の環境(自然環境、歴史環境、地史環境、風景と散策など)は花見川管理の立派な本来目的です。
「印旛放水路(下流部)」と言っても住民のほとんどが、それが花見川だと知らないと思います。
また、花見川という名称があるのに、わざわざ「印旛放水路(下流部)」という名称に住民が親しみをもてるはずがありません。
河川法上の名称を「印旛放水路(下流部)」から「花見川」に変更していただけないものか、その算段について検討したいと思います。
【地域開発】
花見川流域には沢山の宅地開発があります。開発年代の違いによって開発の仕方が異なり、興味を引きます。また、台地を刻む谷津毎に開発法が異なる場合が見られます。
谷津毎に異なる開発法がなぜ生まれるのか興味が湧きます。
第7の課題 現在の自然環境と風景
野鳥等の生息、谷津の風景などに興味をもってきました。
【野鳥等の生息】
野鳥や哺乳類等の生息と花見川の自然との対応に興味が湧きます。
花見川の存在が野鳥や哺乳類等の生息を支えていることは確実です。
動植物の生息の場としての価値が失われないよう、地域の自然観察をしていきたいと思います。
【風景】
花見川流域の素晴らしい風景をこれからも発見したいと思います。それをこのブログで紹介して多くの人と楽しみたいと思います
。また風景をたのしむことができる散歩道の整備についても提案したいと思っています。
次に、この花見川流域の7つの課題の追究方法とそれを地域づくりに活かす方法について考えてみます。
つづく
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