2026年4月26日日曜日

貝層断面のファブリック分析(テスト分析)

 Fabric Analysis of Shell Layer Cross-Sections (Test Analysis)


I conducted a test fabric analysis of shell layer cross-sections and identified areas for improvement. Repeated fabric analysis may reveal the shell layer cross-sectional structure, potentially providing clues for high-concentration flow analysis.


貝層断面のファブリック分析のテストを行い、今後の課題を洗い出しました。ファブリック分析を重ねれば、貝層断面構造が浮かび上がり、高濃度流解析の手がかりを得られる可能性があります。

1 テスト対象

有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面3Dモデルの12㎝×12㎝小画面(メイン検討画面)とその関連域をファブリック分析(テスト分析)の対象とします。


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面3Dモデル


12㎝×12㎝の小画面(メイン検討画面)

2 分析ツール

二枚貝座標・角度・方向取得ツール(自作Pythonツール)と地物視認性向上画像処理(Photoshopフィルター「輪郭検出」)を分析に使います。

・二枚貝座標・角度・方向取得ツール(自作Pythonツール)

2026.04.23記事「貝層断面の貝殻ファブリック分析の基礎技術メモ

・地物視認性向上画像処理(Photoshopフィルター「輪郭検出」)

2026.04.23記事「技術メモ 貝層剥取断面画像に見える地物大きさの視認性を向上させる画像処理

3 ファブリック分析

3-1 貝殻・土器等の分布

3-1-1 貝殻・土器等種別分布


ハマグリ等二枚貝、イボキサゴ以外で確認できる地物

貝層を構成するハマグリ等二枚貝とイボキサゴが今回メインの分析対象ですが、最初にハマグリ等二枚貝とイボキサゴ以外の主な地物を確認しておく必要があります。

3-1-2 貝殻・土器等大きさ分布

出土地物(貝殻・土器等)の大きさを視認しやすい画像をPhotoshop輪郭検出で作成しました。


地物の大きさを視認しやすい画像(Photoshop輪郭検出)


A,BよりCの地物大きさが小さい

C(2)層を対象とすると、斜面上方のCの方が斜面下方のA、Bより地物が小さいことを視認できます。この特徴は斜面を高濃度流が流下した時の特徴であると予察します。

3-1-3 特異な分布パターン


遺物密集パターンA,Bが観察できる

C(2)層で遺物密集パターンA,Bが観察できます。このパターンはこの剥取断面の他の場所、別断面写真でも確認できるので、高濃度流が斜面を下る際に残したパターンであると予察します。Aは既にある地面で高濃度流先端が止まった時の跡であると予察します。

3-2 二枚貝の分布

3-2-1 二枚貝の分布

・分布


二枚貝の分布

CU層とC(2)層はハマグリをメインとする貝層であり、CD層はイボキサゴをメインとする貝層ですが、当然ながらその差は分布図に反映します。

・ヒートマップ


二枚貝分布ヒートマップ

遺物密集パータンAは大形の二枚貝・巻貝・土器から構成されていますが、それに隣接して二枚貝密集域(ヒートマップの赤域)があります。これらは高濃度流の先端部の構成物として、一連の遺物密集として捉えられると考えます。規模は全く異なりますが、同じ高濃度流である土石流の先端部堆積物と類似の地学事象であると予察します。

3-3 二枚貝の配向

3-3-1 二枚貝の傾斜


二枚貝の傾斜

CU層とCD層の境界、CD層とC(2)層の境界付近の二枚貝は境界線傾斜に類似したものが多いように観察できます。高濃度流流下と関係すると予察します。各層の内部では高濃度流の流下傾斜と異なる傾斜のものが多く、特徴的です。

3-3-2 二枚貝の方向(上凸・下凸)


二枚貝の方向(上凸・下凸) 青…上凸、赤…下凸

二枚貝方向(上凸・下凸)はランダムではなく、上凸と下凸がそれぞれ凝集して分布しているように観察できます。何かの構造を表現している可能性があります。しかし、この範囲でその説明をすることは困難です。

3-3-3 二枚貝の配向(傾斜・方向)


二枚貝の配向(傾斜・方向)


二枚貝の配向(傾斜・方向・ヒートマップ)

二枚貝方向が下凸(赤色)のものとヒートマップ密集域(赤色)が対応するところが多いことが観察できます。二枚貝下凸は安定している形状であり、高濃度流で多数の二枚貝が運ばれ停止する時に一斉に回転して沈下堆積したと予察します。

4 メモ

4-1 ファブリック分析の順番

最初に「地物視認性向上画像処理」により全体状況を観察して「構造」の見たてを行い、次いで二枚貝座標・角度・方向取得ツールで二枚貝の分布(密度、パターン)、配向(傾斜・方向)を検討することが適切であると考えます。

4-2 有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面作業

有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面について今回利用した2つのツールで作業を進め、貝層構造理解を深めることとします。

4-3 作業の自動化

地物視認性向上画像から遺物大きさに関連する指標デジタルデータを自動取得する方法について検討することとします。

二枚貝座標・角度・方向取得ツールは現在は手作業です。全二枚貝を1つ1つデータ化しています。この作業を最初から自動化することは現代技術なら可能であると考えます。自動化にチャレンジします。


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