2025年12月22日月曜日

11断面幅20㎝スリットの貝層分層別遺物密度(件/㎥)

 Artifact density (items/m3) by shell layer stratification in 11 cross-sections of a 20cm-wide slit


The artifact density (items/m3) by shell layer stratification was measured in 11 cross-sections of a 20cm-wide slit. The artifact density was found to be particularly high in the slope shell layer.


11断面幅20㎝スリットの貝層分層別遺物密度(件/㎥)を計測しました。斜面性貝層の遺物密度がとりわけ高いことが判りました。

1 11断面幅20㎝スリット出土遺物の分層別集計


11断面幅20㎝スリット出土遺物の分層別集計

分層別断面積はBlender3Dビューポートで特性BlenderPythonスクリプトで計測しました。分層別体積は断面積(㎡)×0.2mで算出しました。

2 11断面遺物密度(件/㎥)


11断面遺物密度(件/㎥)

斜面性貝層の遺物密度がとりわけ高いことが判ります。


参考 11断面遺物件数


参考 貝層区分と名称

3 分析


遺物件数と遺物密度

遺物件数/密度という観点からみると斜面性混土貝層(S1、S2、S3)グループと斜面性黒褐色混土貝層(R1、R2、R3)グループが最も主要な貝層であることが判ります。

S1、S2と比べてS3の遺物密度が低くなっています。これは遺物数に対して貝殻体積が大きいことを意味しています。つまりS3の時期に貝が豊漁であったことを示していると想定できます。セクション図では、S3層はハマグリ純貝層として記載されています。なおS3が全層位のなかで最上位ですから、北斜面貝層発達史の最終局面でハマグリが豊漁だったことになります。

斜面性混土貝層(S1、S2、S3)グループと斜面性黒褐色混土貝層(R1、R2、R3)グループの違いは遺物件数の違いになります。遺物件数が違うというこが何を意味するか、興味が深まります。もし、集落活動の活性状況を表現しているとすれば、貝層そのものの違い(色、貝殻構成など)と合わせて、環境復元の世界に足を踏み込むことができるかもしれません。

遺物件数/密度という観点から流路性混土(砂)貝層(V、W、X)グループ、黒褐色度(K)、流路性土層(D5)も興味対象になります。

なお、以上のもの以外の貝層分層はHを除き全て遺物を含んでいて、なぜそこから遺物が出土するのかという全く逆の観点からの強い興味対象となります。


0 件のコメント:

コメントを投稿