2025年12月10日水曜日

剥ぎ取り断面の貝殻方向記録ツールの試作

 Prototype of a Tool for Recording Shell Orientation in Stripped Sections


We developed a prototype tool in Python to record the orientation of bivalves in stripped sections of shell layers on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound (exhibited at the Chiba Prefectural Museum and Institute). Using this tool, we realized its potential for obtaining information related to the possible downslope migration of bivalves.


有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面(千葉県立中央博物館展示)の二枚貝方向を記録するツールをPythonで試作しました。このツールを試用したところ、二枚貝が斜面移動した可能性に関わる情報を得られる可能性を実感しました。

1 剥ぎ取り断面貝殻方向記録ツール

1-1 ツールの機能

断面写真から二枚貝について次の情報をcsvファイルに記録します。

・二枚貝の位置座標

・二枚貝と断面の交差切片が水平と成す角度(+90°~0°~-90°)

・二枚貝の貝殻の上下方向

1-2 ツールに使う写真

剥ぎ取り断面の3Dモデルを作成し、そのオルソ投影画面を使います。これにより貝殻角度測定の精度が増します。この記事では便宜的に通常撮影写真を使いました。通常写真をオルソ投影できれば、それでも十分実用的に使えそうです。

写真には座標を設定するための正方形を描き込みます。

このツールを正式活用する時には剥ぎ取り断面単位(2m×2m)を区画割りし、その一部の小区画写真をツールに適用することになります。


剥ぎ取り断面写真(オルソ投影していない)


ツール試用に使った剥ぎ取り断面写真(500pixel×500pixel)

1-3 ツール操作と情報記録

Pythonスクリプトを起動すると次の画面が出ます。


最初画面

この画面で座標空間を設定します。正方形枠の左下をクリックするとその場所が(0、0)、右上をクリックするとその場所が(1、1)となり、座標空間が設定されます。

この座標空間設定画面で二枚貝の左端、右端をクリックし、上下ボタンのどちらかをチェックし、「この線分を記録」をクリックすると、線分が青線で、線分の中点が赤丸で表示されます。内部的に中点座標、線分角度、上下(1か2)が記録されます。


二枚貝角度記録画面(最初の1つの二枚貝の記入が済んだ状態)


二枚貝角度記録が進んだ画面

全ての角度記録が終わったら、「csv保存して終了」をクリックします。記録がcsvファイル保存されます。


csvファイル(一部)

2 ツールの試用実感

ツールの使用感は快適であり、このツールを本格活用できる感覚を得ることができました。

二枚貝角度記録画面とcsvファイルから、プラスの角度(右上がり)が少なく、マイナスの角度(右下がり)が多いことが判ります。また、上向き(上に凸)より下向き(下に凸)が多いことが判ります。これらの情報は二枚貝が斜面(右下がり)を葡行移動したことと関連する情報である可能性があり、有用情報を獲得できる可能性を実感しました。また二枚貝角度記録画面から、葡行移動の結果としての「構造」にアプローチできる可能性も感じました。

このツールを本格活用することにします。

3 関連ツールの作成

記録csvファイル(座標、角度、上下)を分析するツールを引き続き作成します。平面上で構造を浮彫にするツールや角度頻度グラフなどを予定します。

4 ChatGPT感想

このツール(Pythonスクリプト)はChatGPT支援で作成しました。基本部分は30分で、スクリーンショット書き出し部分は細部不都合の直しで2時間かかり、合計2時間半で完成しました。

ChatGPTの支援が無ければこのような機能実現は自分の実力ではほぼ不可能です。

自分の活動に果たすChatGPTの役割がとても大きなものであることを実感します。


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