大膳野南貝塚後期集落 土坑の再検討 1
2018.03.01記事「大膳野南貝塚 学習収斂に向けた興味まとめと今後の予定」に書いた通り大膳野南貝塚学習収斂に向け、最初に土坑の再検討を行います。
この記事ではなぜ土坑の再検討を行うのか、そのキッカケになった分布図を示します。
1 フラスコ型・円筒型土坑予察図
フラスコ型・円筒型土坑
フラスコ型・円筒型土坑は容量が大きく堅果類等の貯蔵用であると考えることができます。その分布をみると円環状であり集落土地利用意思と関係あるように感じられます。
また竪穴住居から離れた場所に位置していて、逆にこれらの土坑からある程度距離をとって竪穴住居が建設されたとも考えられ、この面からも集落土地利用意思との関係を感じることができます。また円筒型土坑は複数が密集して分布しているところがあり、作り替えが行われたのか確認したくなります。さらにフラスコ型と円筒型の違いはなんでなのか興味が湧きます。貯蔵した物の種類が違うのかどうか。
漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居が別々にこれらの貯蔵用土坑を使っていたとすれば、どれがそれぞれに対応するのか、検討できるかどうか検討していくことにします。
2 貝層・漆喰土坑予察図
貝層・漆喰土坑
貝層・漆喰土坑は当初の目的は別として、最後は漆喰貝層有竪穴住居の送り場として使われたものであると考えることができます。
その分布は漆喰貝層有竪穴住居の分布と略一致します。また土坑の位置がフラスコ型・円筒型土坑よりも竪穴住居に近く、送り場が住居の直近にあったことが判ります。
また分布から貝層・漆喰土坑は漆喰貝層無竪穴住居は使っていなかったことが判ります。
3 フラスコ型・円筒型土坑、貝層・漆喰土坑を除く土坑予察図
フラスコ型・円筒型土坑、貝層・漆喰土坑を除く土坑
フラスコ型・円筒型土坑、貝層・漆喰土坑を除く土坑には幾つかの別機能土坑が含まれている可能性がありますが、漆喰貝層無竪穴住居の送り場としての土坑が含まれていたことは確実であると考えます。
また分布が竪穴住居から離れた場所で列状になることが気になります。これらの中に土坑墓が含まれている可能性もあります。
4 土坑検討項目
・貯蔵用土坑と考えられるフラスコ型土坑と円筒型土坑について時期別に土坑と竪穴住居の関係を捉えらるか検討することにします。
・また貯蔵用土坑について、利用者に関して何らかの手がかりが得られるか検討します。(漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居別など)
・貝層・漆喰土坑と漆喰貝層有竪穴住居のほか、屋外漆喰炉等の情報を加え時期別に検討して漁民家族集団の活動イメージを豊かにします。
・フラスコ型・円筒型土坑、貝層・漆喰土坑を除く土坑を幾つかの別機能土坑に区分できるのかどうか、その中に漆喰貝層無竪穴住居の送り場土坑が含まれているのか、土坑墓がふくまれているのか検討します。
昨年7月頃の大膳野南貝塚土坑学習ではまだQGISの扱いに慣れていなかったため、項目ごとの集計や分布図作成(平面形状、大きさ、時期、…)に終始し、項目をクロスさせて生まれる詳細項目の集計や分布図作成に至りませんでした。
その後QGISの操作にも慣れ、例えば「フラスコ型土坑の時期別分布」などの詳細データの作成と分布図作成が抵抗感なく出来るようになったので、あらためて再検討することになりました。QGIS操作技術向上により思考レベル向上が図られています。
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