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2023年1月17日火曜日

加曽利EⅠ式深鉢(No.11)(君津市鹿島台遺跡B区) 観察記録3Dモデル

 Kasori EI type deep bowl (No.11) (B ward,kashimadai site,kimitsu City) Observation record 3D model


I created a 3D model of the observation record of the Kasori EI type deep bowl (No.11) (B Ward, Kashimadai Site, Kimitsu City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum Special Exhibition "That's also E..." (Uchibo area edition). The display explains that both the hanging pattern with ridges and the ground pattern with twisted yarn are characteristic of the West Kanto region. Pottery information may have been brought across the sea.


加曽利貝塚博物館令和4年度企画展「あれもE…」(内房地域編)に展示された加曽利EⅠ式深鉢(No.11)(君津市鹿島台遺跡B区)の観察記録3Dモデルを作成しました。均整のとれた姿です。隆線貼り付けによる懸垂文と撚糸文の地文はともに西関東の特徴であると展示説明されています。西関東から海をわたって直接内房に土器情報がもたらされたのかもしれません。

1 加曽利EⅠ式深鉢(No.11)(君津市鹿島台遺跡B区) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢(No.11)(君津市鹿島台遺跡B区) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和4年度企画展「あれもEこれもE 加曽利E式土器」(内房地域編)

撮影月日:2023.01.12


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v6.513で生成 processing 108 images

Kasori EI type deep bowl (No.11) (B ward,kashimadai site,kimitsu City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shell Mound Museum 2022 Special Exhibition "That's also E..." (Uchibo area edition)

Shooting date: 2023.01.12

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.513 processing 108 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


加曽利EⅠ式深鉢(No.11)(君津市鹿島台遺跡B区)観察記録3DモデルのGigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ


展示説明

展示説明では隆線貼り付けによる懸垂文と撚糸文の地文はともに西関東の特徴であるとされています。この土器は西関東から海をわたって直接内房に土器情報がもたらされた影響によるものかもしれません。


鹿島台遺跡の場所



2021年3月11日木曜日

縄文土器総集モデル 試作2

 縄文土器学習 560

2021.03.04記事「加曽利EⅠ式深鉢11器 観察記録3Dモデル総集(試作1)」で作成した加曽利EⅠ式土器11土器総集モデルを改良して使いやすくしました。

1 加曽利EⅠ式深鉢11器 観察記録3Dモデル総集(試作2)

加曽利EⅠ式深鉢11器 観察記録3Dモデル総集(試作2)

このモデルの用途:加曽利E式土器細分類学習のための補助観察資料

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」

撮影月日:2020.11.27 2021.01.06 2021.02.02

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr v5.019で生成

左から

No.38 勝坂・阿玉台末/加曽利EⅠ初深鉢(柏市小山台遺跡B区)

No.37 加曽利EⅠ式深鉢(野田市東亀山遺跡)

No.39 加曽利EⅠ式深鉢(柏市小山台遺跡B区)

No.56 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)

No.57 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)

No.55 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)

No.20 加曽利EⅠ式深鉢(市川市向台貝塚)

No.36 加曽利EⅠ式深鉢(松戸市根木内遺跡第4地点)

No.40 加曽利EⅠ式深鉢(柏市小山台遺跡B区)

No.25 加曽利EⅠ式深鉢(船橋市高根木戸遺跡)

No.21 加曽利EⅠ式深鉢(市川市向台貝塚)

Sketchfab画面内の移動方法:Shiftキー+右クリックで移動(Shiftキーを先に押す)


3DF Zephyr Lite画面

3DF Zephyr Liteでは個別土器のフォトグラメトリー作業、総集モデルのチェック確認、動画撮影、Sketchfabアップロードを行っています。


3DF Zephyr Lite画面 拡大


Blender画面

Blenderでは総集モデルの組み立てを行っています。


Sketchfab画面

Sketchfab画面をブログ等に埋め込んで情報発信したり、自らの観察に利用しています。


3Dモデルの動画

2 メモ

・特定の目的や視点(この場合加曽利EⅠ式土器細分類の確認や検討)で複数土器3Dモデルを並べて同時に観察すると効果絶大であることを体験し始めました。

・この総集モデルを使って加曽利EⅠ式土器細分類に関する学習・考察を深め、総集モデルの意義についても追ってまとめたいと思います。

・今後、加曽利貝塚博物館企画展展示の中峠式土器、加曽利EⅡ式土器、加曽利EⅢ式土器、加曽利EⅣ式土器についても同様の総集モデルを作成することにします。R2年度企画展展示土器84点のうち70点程度について3Dモデル作成用撮影をしましたから、今後の学習が楽しみです。しばらくの間、学習素材に事欠きません。

・利用面(観察面)からみて並べる土器数に適切な範囲があるのか、土器の並べ方に工夫かありうるのかなどについて引き続き積極的に試行検討することにします。

2021年3月4日木曜日

加曽利EⅠ式深鉢11器 観察記録3Dモデル総集(試作1)

 縄文土器学習 555

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」で展示された加曽利EⅠ式深鉢全14器のうち11器について3Dモデルを作成しましたので、それを全部並べた総集資料をつくり、加曽利EⅠ式土器細分類検討をしやすくしました。

1 加曽利EⅠ式深鉢11器 観察記録3Dモデル総集(試作1)

加曽利EⅠ式深鉢11器 観察記録3Dモデル総集(試作1)

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」

撮影月日:2020.11.27 2021.01.06 2021.02.02

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 

左から

No.20 加曽利EⅠ式深鉢(市川市向台貝塚)

No.21 加曽利EⅠ式深鉢(市川市向台貝塚)

No.25 加曽利EⅠ式深鉢(船橋市高根木戸遺跡)

No.36 加曽利EⅠ式深鉢(松戸市根木内遺跡第4地点)

No.37 加曽利EⅠ式深鉢(野田市東亀山遺跡)

No.38 勝坂・阿玉台末/加曽利EⅠ初深鉢(柏市小山台遺跡B区)

No.39 加曽利EⅠ式深鉢(柏市小山台遺跡B区)

No.40 加曽利EⅠ式深鉢(柏市小山台遺跡B区)

No.55 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)

No.56 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)

No.57 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)

Sketchfab画面1


Sketchfab画面2


3DF Zephyr Lite画面1


3DF Zephyr Lite画面2


3Dモデルの動画

2 今後の検討

ア 詳細時系列分類の検討

有吉北貝塚発掘調査報告書における加曽利EⅠ式土器分類(時系列分類)をこの11土器に当てはめるとどのようになるか検討し、分類検討結果により土器を並べ替えてみることにします。

イ 大きさ、器形等による分類

11土器を大きさ順に並べた3Dモデル資料、器形類型による分類で並べ替えた3Dモデル資料を作成します。

ウ 観察記録3Dモデル総集資料の整飾

観察記録3Dモデル総集資料に台座・背景、名札、スケール等を配置して観察しやすい整飾環境を造成します。

2021年3月3日水曜日

加曽利EⅠ式深鉢(No.21)(市川市向台貝塚) 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 554

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」で展示された加曽利EⅠ式深鉢(No.21)(市川市向台貝塚)を3Dモデルで観察しましたのでメモします。

1 加曽利EⅠ式深鉢(No.21)(市川市向台貝塚) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢(No.21)(市川市向台貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」

撮影月日:2021.02.02

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.019 processing 64 images


展示の様子


展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド


GigaMesh Software Frameworkによる展開 分析用加工

3 観察とメモ

以下の文章は観察記載ですが、【感想・メモ】は妄想・空想を含めた感想や学習上のメモです。

…………………

1 器形

1-1 基本器形

キャリパー形。

【感想・メモ】

同じキャリパー形といってもこの土器は胴の膨らみがあり、隣に展示されているNo.25と較べると器形印象が大きく異なります。「キャリパー形」をさらに分類する定量的指標についていつか考えることにします。

1-2 細部器形

口唇部が平縁になり、口縁部に渦巻の小突起がはりつきます。

【感想・メモ】

把手が退化して平縁になった時間変化を感じることができます。

2 大きさ、容量

2-1 器高

32.1㎝。3Dモデルから計測。

2-2 最大器幅

28.1㎝。3Dモデルから計測

2-3 口唇部器壁厚

計測中。

2-4 容量(推定)

計測中。

3 文様

3-1 文様帯の段区分と主文様帯の位置

文様帯は口縁部、頸部、胴部の3段に区分されます。頸部は無文であり、加曽利EⅠ式土器の後半期に生まれる文様帯です。

3-2 文様帯の特徴

ア 口縁部

隆帯による渦巻文、楕円区画文が配置され、渦巻文の一部は小突起となっています。区画文内部は縄文が施文されます。縄文の見かけの向きは胴部と逆であり、口縁部文様が強調されるようになっています。

イ 頸部

無文。

ウ 胴部

全面縄文が施文され、その上から3条沈線で垂下区画文、棘状文様、渦巻文様が、1条沈線で垂下蛇行文様が描かれています。

【感想・メモ】

渦巻文様と棘状文様は大木式土器によくある唐草文様によく似ています。

4 展示館説明

4-1 型式

加曽利EⅠ式深鉢。

4-2 出土遺跡

2021年3月1日月曜日

加曽利EⅠ式深鉢(No.36)(松戸市根木内遺跡) 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 552

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」で展示された加曽利EⅠ式深鉢(No.36)(松戸市根木内遺跡)を3Dモデルで観察しましたのでメモします。観察は2021.02.26記事「加曽利EⅠ式深鉢(No.20)(市川市向台貝塚) 観察記録3Dモデル (観察項目検討と詳細観察)」で設定した観察項目により行います。

1 加曽利EⅠ式深鉢(No.36)(松戸市根木内遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢(No.36)(松戸市根木内遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」

撮影月日:2021.02.02

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.019 processing 91 images


展示の様子


展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド


GigaMesh Software Frameworkによる展開 分析用加工

3 観察とメモ

以下の文章は観察記載ですが、【感想・メモ】は妄想・空想を含めた感想や学習上のメモです。

……………………………………………………………………

1 器形

1-1 基本器形

キャリパー形。

【感想・メモ】同じキャリパー形といっても加曽利EⅠ式深鉢(No.20)(市川市向台貝塚)とは形状の印象がだいぶ異なります。口縁部及び胴部の膨らみ方がNo.20土器とくらべてNo.36土器は少ないです。このような違いがどれほどの意味があるのか、注意しながら多数土器を観察していくことにします。


No.20土器とNo.36土器の器形比較

この二つの土器の器形の違いが時期の違いによるものか、地域の違いによるものか、用途の違いによるものか、その違いに大きな意味がないのか興味が湧きます。

加曽利博企画展展示加曽利EⅠ式土器の器形を並べて比較検討する機会を追ってつくりたいと思います。

1-2 細部器形

3単位の把手が特徴的です。3単位のうち手前の把手が他の2つの把手より幾分大きくなっていて、主把手1、副把手2という構成のように把握します。主把手の部分の器形が幾分広がっていて、口唇部が正円から外れた膨らみを持ちます。


主把手方向に口縁部が膨らんでいる様子

【感想・メモ】把手の数は4単位が多いように感じますが、統計的にどうなのか調べる(調べた情報を探す)ことにします。

把手の数は土器が表現する物語(神話)の内容に大きくかかわっているのではないだろうかと想像します。例えば把手の数や把手の主縦の違いは物語に登場する神様(あるいはそれに類似する概念)の数や軽重に関係するのかもしれません。

2 大きさ、容量

2-1 器高

46.4㎝。3Dモデルから計測。

2-2 最大器幅

33.6㎝。3Dモデルから計測

2-3 口唇部器壁厚

計測中。

2-4 容量(推定)

計測中。

3 文様

3-1 文様帯の段区分と主文様帯の位置

口縁部区画文の2条隆帯の下辺が土器を周回するように配置され、それにより口縁部と胴部の2段に土器が区分されます。主文様帯は口縁部に存します。

3-2 文様帯の特徴

ア把手

口唇部を周回する2条隆帯及び口縁部区画文を成す2条隆帯と連続して把手部に輪と渦が立体的に構成されています。把手に縄文は施文されていません。

渦の一つには重畳する模様が描かれています。この文様は中峠式土器の把手文様にも見られました。


重畳する模様が描かれる把手の渦文様


参考 中峠式土器(中峠0地点型深鉢 松戸市中峠遺跡)の把手に見られる重畳模様

イ 口縁部

2条隆帯によるクランク文で区画されクランク形状や楕円形状の区画が形成されています。区画内は縄文が施文されています。2条隆帯には渦が配置されています。

ウ 胴部

2条沈線と蛇行沈線の垂下で胴部が区画されています。縄文施文の後沈線の施文が行われています。

【感想・メモ】把手文様は口縁部文様から連続していることから、把手は口縁部から生えていると考えることが出来ます。

渦の周りの重畳する模様は渦の波紋あるいは吹き上がる水がばらけて降りそそぐ様子を想起させます。

把手の孔は土器外面側に2つ、内面側に1つ合計3つあります。この表現は湧水水中から泡がボコボコ湧いている様子を立体的に表現しているのだと想像します。

把手→口縁部→胴部の順に文様施文が簡易になります。これはその順番にその部位の物語意義が虚弱になることを意味していると想像します。

把手は天空界と神の領域のインターフェイスを、口縁部は天空界(故人の住む天空にある世界)を胴部は地上界(人が住む現実世界)を表現していると空想します。

口縁部2条隆帯によるクランク文はS字状文の変異型であると想像します。

天空界と地上界の区画はそれぞれの世界での集落生活上の区画(集落が確保している縄張り)を表現していると想像します。

4 展示館説明

4-1 型式

加曽利EⅠ式深鉢。

4-2 出土遺跡

松戸市根木内遺跡出土。

2021年2月26日金曜日

加曽利EⅠ式深鉢(No.20)(市川市向台貝塚) 観察記録3Dモデル (観察項目検討と詳細観察)

 縄文土器学習 550

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」後半で展示された加曽利EⅠ式深鉢(No.20)(市川市向台貝塚)を3Dモデルで観察しましたのでメモします。この記事では中期縄文土器の自分なりの観察項目をどのように設定すべきかという視点から詳しく観察します。

1 加曽利EⅠ式深鉢(No.20)(市川市向台貝塚) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢(No.20)(市川市向台貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」

撮影月日:2021.02.02

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.019 processing 100 images


展示の様子

展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド

3 観察メモ

3-1 中期縄文土器観察項目

発掘調査報告書や専門論文における中期縄文土器分類に使われている観察項目や指標をとりあえず全て網羅し、同時に自分が興味をもつ項目も加えた土器観察項目を仮に設定して、3Dモデルの観察を順次行い、必要に応じて項目加除等を行います。ある程度観察土器数が蓄積した時に観察項目の意義について検討することにします。この土器について、手始めに次の項目を暫定的に設定して観察することにします。

……………………………………………………………………

1 器形

1-1 基本器形

暫定的にキャリパー形、円筒形、ラッパ形、樽形等分類を使う。

1-2 細部器形

把手の有無やその他の特徴

2 大きさ、容量

2-1 器高

2-2 最大器幅

2-3 口唇部器壁厚

2-4 容量(推定)

3 文様

3-1 文様帯の段区分と主文様帯の位置

3-2 文様帯の特徴

主文様描出の方法(隆帯・沈線など)、地文、施文順序など

4 展示館説明

4-1 型式

4-2 出土遺跡

4-3 その他の説明

5 感想

5-1 型式・分類に関するメモ・感想

5-2 文様意味等に関するメモ・感想

……………………………………………………………………

3-2 観察とメモ

以下の文章は観察記載ですが、●は感想・メモです。

…………………

1 器形

1-1 基本器形

キャリパー形。


オルソ投影画像(正面から)

●キャリパー形の定義があるのかどうか知りませんので、詳しく知りたいと思います。測定器具「キャリパー」の写真を掲載して説明している文章をあちこちで見かけますが、そのイメージだけで流布している用語なのか、もう少し学術的な説明がある用語なのか、自分はまだ判っていません。

加曽利E式土器がキャリパー形になった理由があるはずです。より効率的熱処理ができる炉構造が発明され、それに対応して土器器形が変化したのではないだろかと空想しています。

あるいは煮物で上澄みをすくいとることが必要な食材が新規開発されたり、上澄み除去を必須とする新調理法開発があったのかもしれません。

1-2 細部器形

立体的なS字状文が把手になっています。S字状文は2単位のようです。(背面が同じS字状文であるかは未観察)S字状文の間は平縁のようですが、欠けのため確認できません。

2 大きさ、容量

2-1 器高

40.5㎝。3Dモデルから計測。

2-2 最大器幅

32.0㎝。3Dモデルから計測。

2-3 口唇部器壁厚

約1.5㎝。3Dモデルから計測。


3Dモデルから計測した結果

2-4 容量(推定)

10.9L(土器容量模擬3Dモデルを作成してBlenderで体積計測)


土器容量模擬モデルをBlenderで体積測定している様子

●縄文土器の大きさ、容量データは統計的分析によりその意味を発見することができると考えます。

一般的な見立てとして、中峠式土器→加曽利E式土器で大きさと容量が増大していると想像しています。その理由として海産物などの食材が豊富に入手できるようになったことがあるのではないだろうかと想像しています。

また、加曽利EⅡ式器になると「業務用」と想像されるような巨大な土器が生まれると考えます。家族を越えた集落全体の保存食づくりなどの土器かもしれません。食材を多量に扱えるようになった組織や技術が整備されたからだと空想します。

土器見かけの大きさ(高さとか幅とか)のわずかな差が容量では大きな差になりますので、注意が必要です。。

3 文様

3-1 文様帯の段区分と主文様帯の位置

土器のくびれ部に3本の沈線と2本の隆帯が交互に配置され土器を周回して、土器が口縁部と胴部の2段に区分されます。

●胴部は地上界(自分が住んでいる世界)、口縁部は天上界(天にある地上界と同じような世界で、故人が生活する場所)、口唇部(把手)は天上界のさらに上にあるいわば「神」の領域とのインターフェイス空間と超妄想しています。

3-2 文様帯の特徴

ア 口縁部

土器文様のメインモチーフは口縁部の把手ともいえる立体S字状文とそれに連なるクランク状区画文です。

立体S字状文は2本の隆帯によって構成されるようにイメージしてつくられています。よくみると2本の隆帯は右と左で直接連続していません。また一つの隆帯を沈線で割って2本の隆帯にしています。

立体S字状文の左は土器口縁部に貼り付いていますが、右は円環(孔)となって、内面に渦模様として連続しています。

立体S字状文の間の口唇部は2本隆帯が巡っています。

口縁部クランク文は2本隆帯でつくられ、立体S字状文と連絡するもの、渦巻文に変化するもの、口唇部に連絡するものがあります。

口縁部の地文は縦位沈線です。

●S字状文は河川や湖や吹き出す湧泉をイメージしていると妄想しています。S字状文の起源は勝坂式土器にあると考えますが、今後詳しく辿ってみたいと考えます。

立体S字状文は天空界と「神」の領域のインターフェイスのあり方をイメージしていると妄想しています。

「クランク文」はS字状文の別バージョンで、趣旨は全く同じ(河川や湧泉等のイメージ)であると想像します。「クランク文」は天空界で川が土地を区画している、つまり集落利用空間=縄張りがあって、それにより故人の生活が保障されている様子を描いていると想像します。

口縁部の地文である縦位沈線は雨をイメージしていて、豊かな自然がそこに存在している様子を表現していると妄想します。

イ 胴部

地文としての縦位沈線をそれより太い沈線でえぐって文様を描出しています。

2本沈線が間を置いて2つ垂下し、その間に蛇行沈線が垂下しています。加曽利EⅠ式土器の特徴であると考えます。

2本沈線は区画文として、あるいは渦巻状文として垂下2本沈線から派生しています。2本沈線で区画された場所に蛇行沈線が配置されている場所もあります。

●口縁部では2本隆帯で文様が描出され、胴部では2本沈線で文様が描出されている様子はとても興味深いと考えます。おそらく、立体S字状文(把手)→口縁部文様→胴部文様の順に文様が語るテーマの意義が軽くなると考えます。つまり神→故人→自分達という登場がある物語(神話)がこの土器で語られていて、その意味軽重に応じて、文様づくりの丁寧さが差別化されたと想像します。

2本沈線は元来河川や湧泉等を表現する記号であり、それが土地の区画に役立っている様子を描いていると考えます。蛇行沈線はより具象的に河川を描いています。河川が土地の大きな区間になっています。

地文の縦位沈線は雨のイメージで、豊かな自然を表現していると想像します。

4 展示館説明

4-1 型式

加曽利EⅠ式深鉢。

4-2 出土遺跡

市川市向台貝塚出土。

4-3 その他の説明

なし。

2021年2月15日月曜日

加曽利EⅠ式深鉢(No.57)(流山市中野久木谷頭遺跡) 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 545

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」前半で展示された加曽利EⅠ式深鉢(No.57)(流山市中野久木谷頭遺跡)を3Dモデルで観察しましたのでメモします。

1 加曽利EⅠ式深鉢(No.57)(流山市中野久木谷頭遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢(No.57)(流山市中野久木谷頭遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」

撮影月日:2021.01.06

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.016 processing 82 images


展示の様子


展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 分析用加工

3 観察メモ

胴下半は復元されていません。

口縁部が広がったキャリパー形土器です。阿玉台式土器・勝坂式土器・中峠式土器と較べて口縁部が広がる土器が増えたことはデザイン上の好みではなく、炉構造の進化とか、調理の仕方とか、食材の変化とかなどの生業や生活技術の変化に伴って生じた意味深い変化であると想像します。その意味解明がこれからの学習における一つの楽しみになります。

文様帯は口縁部に置かれます。渦を伴う曲動する2条隆帯による文様の起源は水流(川)ではないかと妄想します。区画を意味する太い縦位隆帯が1本あります。

文様帯の地文は縄文です。この部分が縦位沈線で埋められている土器よりは新しいタイプのようです。

胴部は縄文で埋められ、垂下文はありません。

突起状の把手が4単位ついています。把手は天空界との関わりを表現していると空想しています。


2021年2月11日木曜日

加曽利EⅠ式深鉢(No.37)(野田市東亀山遺跡) 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 542

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」で展示されている加曽利EⅠ式深鉢(No.37)(野田市東亀山遺跡)を3Dモデルで観察しましたのでメモします。

1 加曽利EⅠ式深鉢(No.37)(野田市東亀山遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢(No.37)(野田市東亀山遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」

撮影月日:2021.01.06

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.016 processing 82 images


展示の様子


展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド

3 観察メモ

口縁部に2条隆帯蛇行文様(S字状文)とその間を埋める縦位沈線が配され、胴部は地文としての縄文で埋められるという文様パターンは中峠0地点型深鉢(野田市東亀山遺跡)に似ています。


参考 中峠0地点型深鉢(野田市東亀山遺跡)展示の様子


中峠0地点型深鉢(野田市東亀山遺跡)GigaMesh Software Frameworkによる展開

2021.01.23記事「中峠0地点型深鉢(野田市東亀山遺跡) 観察記録3Dモデル

中峠0地点型深鉢(野田市東亀山遺跡)には交互刺突文や渦巻文があり、加曽利EⅠ式深鉢(No.37)(野田市東亀山遺跡)にはそれが見られません。また土器の器形が微妙に異なります。このような違いで中峠式と加曽利EⅠ式を区別していると思います。同じ発掘調査での出土ですから共伴出土物や層位の違いでより明確に分類上の差異が存在していると想像します。

2021年2月10日水曜日

加曽利EⅠ式深鉢(No.55)(流山市中野久木谷頭遺跡) 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 541

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」で展示されている加曽利EⅠ式深鉢(No.55)(流山市中野久木谷頭遺跡)を3Dモデルで観察しましたのでメモします。

1 加曽利EⅠ式深鉢(No.55)(流山市中野久木谷頭遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢(No.55)(流山市中野久木谷頭遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」 

撮影月日:2021.01.06

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.016 processing 84 images


展示の様子


展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド


GigaMesh Software Frameworkによる展開 分析用加工

3 観察メモ

口縁部の区画文の様子は阿玉台式土器口縁部文様とよく似ています。

胴部に存在する蛇行する2状の垂下沈線から、この土器が加曽利EⅠ式土器に分類される決め手であると考えます。


2021年2月7日日曜日

加曽利EⅠ式深鉢(No.39)(柏市小山台遺跡) 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 538

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」展示加曽利EⅠ式深鉢(No.39)を3Dモデルで観察しましたのでメモします。

1 加曽利EⅠ式深鉢(No.39)(柏市小山台遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢(No.39)(柏市小山台遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」 

撮影月日:2020.11.27

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.016 processing 69 images


展示の様子


展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド

3 観察メモ

口縁部にS字状文の連続、胴部にクランク文が施文されています。双方の文様ともに大木8a式に多く、その影響があるのではないかと想像します。

双方の文様ともにその起源や意味について強い興味を持ちます。S字状文はその曲線から地物・水・生物など自然由来に起源をもとめることができると想像します。クランク文はそのような形状が自然のなかに多くはないので、特段に興味を持ちます。ピラミッドの造形が自然に対抗する人工の美だとする見解があります。そのような観点からクランク文は縄文人の自然から抜け出そうとする意識の産物かもしれないと夢想します。具体的には「人工物」(例 発明されて重宝している「階段」)を表象しているかもしれないと妄想します。今後どのように考えたらよいか、アーダ・コーダと思考を楽しむことにします。

2020.07.26記事「小型深鉢文様の観賞」では加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚)に見事なクランク文を観察しました。


参考 加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚)GigaMesh Software Framework展開写真