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2026年3月25日水曜日

土器集中ゾーン発掘状況写真とグリッド・断面の対応関係

 Correspondence between excavation photos of the pottery concentration zone and grid/cross-sections


This document summarizes the correspondence between excavation photos of the prominent pottery concentration zone on the northern slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound and grid/cross-sections.


有吉北貝塚北斜面貝層の顕著な土器集中ゾーンの発掘状況写真とグリッド・断面との対応関係を整理しました。

2026.03.22記事「土器集中ゾーン発掘状況写真の分析」の続きです。

1 発掘状況写真とグリッド・断面の対応関係


土器集中ゾーンとグリッド・断面の対応関係(写真)

グリッド・断面線はイメージ的なもので正確性はありません。次の写真も同じです。


土器集中ゾーンとグリッド・断面の対応関係(写真)


土器集中ゾーンとグリッド・断面の対応関係(平面図)


土器集中ゾーンとグリッド・断面の対応関係(平面図)


平面図と断面図の対応


平面図と断面図の対応(拡大)

2 メモ

1で作成した資料により、発掘状況写真と遺物3D空間分布との対応関係を分析する基礎が出来ました。写真が現場でどの方向から撮影され、どの層位が表面になっているのか、判断できるようになりました。


2026年3月5日木曜日

土器集中ゾーンの複数土器型式の混ざり方

 Mixing of Multiple Pottery Types in the Pottery Concentration Zone


Distribution maps confirm that the three pottery types that make up the pottery concentration zone in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound are intermingled without any spatial segregation. This is consistent with the assumption that they were transported and deposited by a highly concentrated flow (shell mudflow).


有吉北貝塚北斜面貝層の土器集中ゾーンを構成する3つの土器型式は空間的に棲み分けすることなく混ざりあっていることを分布図で確認しました。高濃度流(貝殻泥流)で運ばれてきて堆積した想定と整合します。

この記事は2026.02.28記事「土器集中ゾーンの土器型式」の情報追加記事です。

1 土器集中ゾーンの土器型式別土器破片分布


土器集中ゾーンの土器型式別土器破片分布


土器集中ゾーンの土器型式別土器破片分布

2 メモ

有吉北貝塚北斜面貝層の土器集中ゾーンは主に3つの土器型式(加曽利EⅡ式中、中~新、新)から構成されています。土器破片毎に土器型式を特定して、その様子を空間的に表現した分布図を作成しました。この分布図を観察すると、3つの土器型式は空間的に棲み分けするなどの偏在性はなく、よく混ざりあっていることを直観的に理解することができます。この分布の様子(3つの土器型式が混ざりあって分布している様子)は、土器片が高濃度流(貝殻泥流)で運ばれてきて堆積した想定と整合します。


2026年2月28日土曜日

土器集中ゾーンの土器型式

 Pottery Types in the Pottery Concentration Zone


An examination of pottery types in the pottery concentration zone in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound revealed a mixture of three periods: Kasori EII type, Middle, Middle-Late, and Late. I hypothesize that pottery discarded during these three periods was engulfed in a single wave of high-concentration flow (shell mudflow) due to the shell mound collapse.


有吉北貝塚北斜面貝層における土器集中ゾーンの土器型式を調べたところ、加曽利EⅡ式中、中~新、新の3区分が混ざっています。貝塚崩壊により、これら3区分の期間に投棄された土器が1波の高濃度流(貝殻泥流)に巻き込まれたと想定します。

この記事は2026.02.26記事「土器集中ゾーンにおけるファブリック観察」の続きです。

1 土器集中ゾーンの土器型式


土器集中ゾーンの位置


土器集中ゾーンの土器型式

土器型式の区分は西野雅人さんによるものです。

発掘調査報告書(平成10年3月)刊行後、加曽利E式土器に関する情報蓄積が大幅に進み、それにより、有吉北貝塚北斜面貝層出土土器の新型式区分案が西野雅人さんにより作成されました。


土器集中ゾーンの土器型式(表)


土器集中ゾーンの土器型式(グラフ)

2 考察

土器集中ゾーンから出土した土器型式は加曽利EⅡ式中段階のものが52%、加曽利EⅡ式中~新段階のものが36%で合わせて88%となります。また加曽利EⅡ式新段階のものが7%となります。

土器集中ゾーンの現場では、土器型式という視点でみると、これらの土器の破片がほぼ完全に混ざりあって存在しています。

土器集中ゾーンを残した地学現象は貝塚崩壊→高濃度流(貝殻泥流)流下→高濃度流(貝殻泥流)停止堆積と考えられます。そのため、3つの土器型式破片が混ざりあって存在している様子から、1波の高濃度流(貝殻泥流)が流下途中で、すでに投棄されて存在していた3型式土器を巻き込んだものと考えることができます。

3土器形式のうち加曽利EⅡ式新段階のものの割合が小さいので、貝塚崩壊(高濃度流発生)は加曽利EⅡ式新段階の初期に発生したものであると考えることも可能です。


2026年2月26日木曜日

土器集中ゾーンにおけるファブリック観察

 Fabric Observation in the Pottery Concentration Zone


I conducted fabric observations of the pottery fragment deposits in the pottery concentration zone using outcrop photographs and distribution maps. 70-80% of the fragments were deposited in a convex-downward position (with the inner surface of the fragment facing upward), suggesting that they were deposited by subsidence during the cessation of high-concentration flow (shell mudflow).


露頭写真や分布図から、土器集中ゾーンにおける土器片堆積層のファブリック観察を行いました。土器片の70-80%は下に凸(土器内面が上)の位置関係で堆積している特徴があり、高濃度流(貝殻泥流)の停止時沈下で堆積したと想定できます。

1 土器片堆積層における土器片の配列


土器片堆積層における土器片の配列

露頭写真では土器配列に次の顕著な特徴が見られます。

a 写真範囲内で80%の土器が下に凸(土器内面上)で配列している。

b 土器片長軸方向が一定の方向に揃っていない。バラバラである。

c 土器片の重なり順序がバラバラで将棋倒しのような法則性がない。

また、土器片を充填する貝層に次のような特徴が見られます。

d 他の土器片に密着しない土器片がかなりある。

e 土器片充填貝層はそれより上の貝層と比べて貝殻が大きく、貝殻が密集している。

土器片そのものにも次の特徴が見られます。

f 土器片の割れ方大きい

g 土器片の割れ口が新鮮で磨耗していない。

2  土器集中ゾーンの土器片配列


土器集中ゾーンの土器片配列

色の面積を計測すると、下に凸(土器内面上)が77%、上の凸(土器外面上)が23%となります。

土器片配列は1の露頭写真だけでなく、全体で下に凸(土器内面上)が多いことが判ります。

3 考察

3-1 通常流水による運搬堆積ではない

一般に流水で礫などが流されて堆積するばあい、インブリケーション(覆瓦状構造)という構造が残ることが多いです。もし土器片が通常流水に完全に水没して流されて堆積した場合、インブリケーション構造が残り、上が凸(土器外面上)で将棋倒しのように連続して重なることが考えられます。しかし、今回観察土器片は下が凸(土器内面上)であり、通常流水に流されて堆積したものと考えることができません。

3-2 高濃度流(貝殻泥流)による運搬堆積の可能性

土器片堆積層のファブリック観察の結果から、土器片は高濃度流(貝殻泥流)による運搬堆積の結果であると仮説します。

土器片の多くが下に凸(土器内面が上)で、土器片の間に貝殻が充填されていることから、貝殻・土砂・土器片からなる高濃度流(貝殻泥流)の動きが弱まった時、重たい土器片が沈降し、同時に土器片の次に重い貝殻(粗粒物)が充填されていった状況を考えることができます。

この時、土器片沈降は土器片重心位置から、下に凸の配置になったと考えることができます。また土器片沈降時の流速が虚弱であると考える想定と、土器片長軸方法の規則性がないことは整合的です。

土器片の大きさが比較的大きいことと割れ口が新鮮であることは、土器片が運ばれた距離が短いことを表現していると考えます。

大胆に仮説すれば、土器片が流された高濃度流(貝塚泥流)を指標する堆積層は次図のaであると考えます。a層は下から土器片(超大形)→貝殻(大形)→貝殻(小形)・泥→泥のように分級していて、1波の泥流跡であると考えます。


土器片堆積にかかる高濃度流堆積物a

3-3 高濃度流(貝殻泥流)について

・土器集中ゾーンはその背景に次の事象があったと考えることができます。

貝塚崩壊 → 高濃度ガリー流 → 土器の巻き込み→谷底停止

・斜面貝層(11断面や剥ぎ取り断面など)でも、貝層下部に土器片が集中し、かつ土器片のほとんどが下に凸になっています。斜面貝層でも高濃度流(貝塚泥流)と同じような機構を考えることができる可能性があります。

・貝層流動が高濃度流であることから、ガリー流路における貝層と泥層の流心付近の完全分離の仕組みを解くことができる可能性があります。


2026年2月23日月曜日

貝層対比指標としての土器集中ゾーン

 Pottery Concentration Zones as Indicators for Shell Layer Correlation


Several pottery concentration zones exist in the shell layers on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound. Each pottery concentration zone is thought to represent a geological event that occurred at a specific time cross-section. Therefore, I believe that pottery concentration zones can be used as an indicator for correlating shell layers between cross-sections, and I am attempting to do so.


有吉北貝塚北斜面貝層には複数の土器集中ゾーンが存在しています。1つの土器集中ゾーンは特定時間断面で生起した地学事象と考えられます。そこで、土器集中ゾーンを指標に断面間の貝層分層対比ができると考え、チャレンジしてみます。

この記事は2026.02.15記事「貝層対比の指標検討」のつづきです。

1 土器集中ゾーンによる貝層対比について

11断面を模式断面として10断面、11断面、30断面(剥ぎ取り断面)、12断面の貝層区分対比作業は合理的に進みました。その成果を9断面~5断面まで構造的な類似性から投影的に対比してきました。しかし、11断面から離れるに従い、合理性が徐々に失われ、7断面あたりから対比結果の正統性を自分に対して強弁できなくなりました。

いろいろと考えましたが、「下手な考え休むに似たり」状況に苦しみました。

そこで、打開策として、11断面との連続性による作業を一旦やめて、ガリー流路勾配が急になる6断面~2断面付近を対象に土器集中ゾーンを指標に全く新しい考えによる貝層分層対比作業にチャレンジしてみることにします。

2 北斜面貝層の土器集中ゾーン


土器分布YZ断面オルソ投影と土器集中ゾーン


土器分布(最近隣距離0.1m以内のもの)YZ断面オルソ投影と土器集中ゾーン

土器分布全体でも、土器集中域分布(最近隣距離0.1m以内のものだけ抽出)でもYZ断面オルソ投影でみると2層から3層の土器集中ゾーンが浮かび上がります。実際に3D空間で観察しても、土器集中ゾーンがパイプ状に連続しているように観察できる部分が多くなっています。

土器集中ゾーンがミニ土石流のような流水による事象であるならば、これを指標に貝層分層を対比できる可能性があります。

3 発掘調査報告書掲載土器集中ゾーンのデータ

発掘調査報告書には一つの土器集中ゾーンについて、土器堆積状況のスケッチと土器破片と復元土器との関係についてのデータがあります。このデータから土器集中ゾーンが生起した地学事象の想定と、その時期の想定ができる可能性があるので、チャレンジすることにします。


土器集中ゾーンのデータ(発掘調査報告書から引用)


土器集中ゾーンの土器分布(発掘調査報告書から作成)


土器分布調査が行われた土器集中ゾーン