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2024年8月10日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 散乱人骨分布

 Distribution of scattered human bones in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


A distribution map of the scattered human bones excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound was created. The distribution is divided into two areas: dense and scattered. The dense area corresponds to the area with a high concentration of earthen earrings, and it is likely that this was the burial site of bodies wearing earrings.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した散乱人骨の分布図を作成しました。分布は密集域と散漫域に2分されます。密集域は土製耳飾密集域と対応し、耳飾着装遺体の埋葬場所と想定できそうです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 散乱人骨分布

有吉北貝塚北斜面貝層 散乱人骨分布

データ出典:発掘調査報告書

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 分布特性

散乱人骨の分布はガリー谷頭部に集中して出土するものと、貝層に広く散漫に出土するものに分かれます。散乱人骨集中域はそのゾーンが埋葬ゾーンだった可能性があります。広く散漫に出土する散乱人骨がどのような性格のものであるのか、今後検討を深めることにします。


散乱人骨密集域と散漫分布域

2-2 散乱人骨密集域と土製耳飾り密集域の対応

散乱人骨密集域と土製耳飾り密集域が対応します。この対応は、耳飾りを着装した遺体が埋葬された結果が表現されていると考えます。この考えを、今後作成する遺物単位3D座標データにより、散乱人骨と土製耳飾りの対応を精細3D空間空間で観察して、確かめることにします。

散乱人骨分布と土製耳飾り分布

データ出典:発掘調査報告書

3DF Zephyr v7.531でアップロード


散乱人骨分布と土製耳飾り分布の対応


2022年10月20日木曜日

イノシシ顎骨分布と散乱人骨分布

 Boar Jaw Bone Distribution and Scattered Human Bone Distribution


I simultaneously observed the distribution of scattered human bones and wild boar jaw bones (natural bones) in the north slope shell layer of Ariyoshi Kita Kaizuka. Since the scattered human bone concentration area and the boar jaw bone concentration area are continuous, it may be related from the viewpoint of burial and its rituals.


有吉北貝塚北斜面貝層では、散乱人骨が谷頭急斜面に集中分布するという際立った特徴が判りました。その特徴をイノシシ顎骨(自然骨)分布と比較することにより、より深く把握しました。散乱人骨集中域とイノシシ顎骨集中域は連続するので、埋葬とその祭祀で関連するのかもしれません。

1 散乱人骨データ数分布


散乱人骨データ数分布

灰色:データ数1~9

濃灰色:データ数10~39

黒色:データ数40~48

2 イノシシ上・下顎骨データ数分布


イノシシ上・下顎骨データ数分布

灰色:データ数1

濃灰色:データ数2~3

黒色:データ数4~8

3 メモ


散乱人骨データ数分布とイノシシ上・下顎骨データ数分布

・有吉北貝塚発掘調査報告書で掲載されている動物自然骨分布データはイノシシ顎骨データだけです。

・散乱人骨分布とイノシシ顎骨分布はその集中域特徴が全く異なります。この違いは人骨は埋葬そのもののに起因して分布するのに対して、イノシシ顎骨分布は人骨埋葬そのものには関わらない活動に起因するからであると考えることができます。

・散乱人骨分布は「斜面葬」によると考えました。2022.10.19記事「散乱人骨分布と土器分布の相関

・イノシシ顎骨分布が集中する範囲は2ヶ所に分かれ、一カ所(b)は散乱人骨集中域と一部重複して連続的にガリー流路沿いに分布します。もう一カ所はガリー流路下流(c)に存在します。

・b域のイノシシ顎骨集中は「斜面葬」の末端域と重複することから、広義埋葬活動と関係があるかもしれません。埋葬に関わる祭祀でイノシシが解体され食されるなどです。またこの付近は広い谷頭が一点に集中する最下部であり、ささやかな湧泉が存在していた可能性があります。ささやかでも湧泉があれば、イノシシ解体に好都合だったと推測できます。

・c域のイノシシ顎骨集中は、この付近が地形をマクロにみると塞がれた谷地形の出口にあたることから湿地(ささやかな水面)であった可能性が濃厚であることと関係するのかもしれません。ささやかでも水があればイノシシ解体には便利です。