2022年10月20日木曜日

イノシシ顎骨分布と散乱人骨分布

 Boar Jaw Bone Distribution and Scattered Human Bone Distribution


I simultaneously observed the distribution of scattered human bones and wild boar jaw bones (natural bones) in the north slope shell layer of Ariyoshi Kita Kaizuka. Since the scattered human bone concentration area and the boar jaw bone concentration area are continuous, it may be related from the viewpoint of burial and its rituals.


有吉北貝塚北斜面貝層では、散乱人骨が谷頭急斜面に集中分布するという際立った特徴が判りました。その特徴をイノシシ顎骨(自然骨)分布と比較することにより、より深く把握しました。散乱人骨集中域とイノシシ顎骨集中域は連続するので、埋葬とその祭祀で関連するのかもしれません。

1 散乱人骨データ数分布


散乱人骨データ数分布

灰色:データ数1~9

濃灰色:データ数10~39

黒色:データ数40~48

2 イノシシ上・下顎骨データ数分布


イノシシ上・下顎骨データ数分布

灰色:データ数1

濃灰色:データ数2~3

黒色:データ数4~8

3 メモ


散乱人骨データ数分布とイノシシ上・下顎骨データ数分布

・有吉北貝塚発掘調査報告書で掲載されている動物自然骨分布データはイノシシ顎骨データだけです。

・散乱人骨分布とイノシシ顎骨分布はその集中域特徴が全く異なります。この違いは人骨は埋葬そのもののに起因して分布するのに対して、イノシシ顎骨分布は人骨埋葬そのものには関わらない活動に起因するからであると考えることができます。

・散乱人骨分布は「斜面葬」によると考えました。2022.10.19記事「散乱人骨分布と土器分布の相関

・イノシシ顎骨分布が集中する範囲は2ヶ所に分かれ、一カ所(b)は散乱人骨集中域と一部重複して連続的にガリー流路沿いに分布します。もう一カ所はガリー流路下流(c)に存在します。

・b域のイノシシ顎骨集中は「斜面葬」の末端域と重複することから、広義埋葬活動と関係があるかもしれません。埋葬に関わる祭祀でイノシシが解体され食されるなどです。またこの付近は広い谷頭が一点に集中する最下部であり、ささやかな湧泉が存在していた可能性があります。ささやかでも湧泉があれば、イノシシ解体に好都合だったと推測できます。

・c域のイノシシ顎骨集中は、この付近が地形をマクロにみると塞がれた谷地形の出口にあたることから湿地(ささやかな水面)であった可能性が濃厚であることと関係するのかもしれません。ささやかでも水があればイノシシ解体には便利です。


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