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2026年6月9日火曜日

QGISを使った3種の疑似座標GIS解析を比較してみました

 I compared three types of pseudo-coordinate GIS analysis using QGIS.


I define pseudo-coordinate GIS analysis as a method of analyzing geographic information independently of the actual geographic space by using QGIS coordinates as dummy data. I compared and examined the usability of three pseudo-coordinate GIS analysis methods, each differing in their use of coordinate reference systems (CRS).


QGISの座標をダミーとして使って、現実地理空間とは無関係に地理情報を解析する方法を疑似座標GIS解析と呼ぶことにします。座標参照系(CRS)利用法の違いによる3つの疑似座標GIS解析法について、その使い勝手を比較して確かめてみました。

1 疑似座標GIS解析について


有吉北貝塚北斜面貝層の発掘平面図(発掘調査報告書から引用)

上図は地図上で任意位置に設定したグリッドに基づいて発掘が行われた事例です。遺物などの位置情報もグリッドを基準に収集されています。このような事例で解析にGISを使う場合、方位をGISに合わせるとそれに合わせてグリッド単位の遺物情報も全て変換する必要があり、とても複雑になります。方位を北上で表現しているGIS画面からグリッド線が水平垂直になるように表現し直すことも複雑な操作となります。またこの図だけからこの図をGISにジオリファレンスすることはできないので、別の正確な位置図が必要になり、手間がかかります。

このような各種不都合を避けて、上図と関連情報を現実地理空間とは無関係に直接GISにプロットしてGIS解析する方法を疑似座標GIS解析と呼ぶことにします。

疑似座標GIS解析を使えば、座標位置が不明確な地理情報、局地的分布資料や略図などもGISで気軽に解析できるようになります。

2 3種の疑似座標GIS解析法

座標参照系(CRS)利用法の違いにより、疑似座標GIS解析を次の3つに区分して、その使い勝手をQGISで比較して確かめてみました。

・座標参照系なし利用法(CRSなし)

・カスタム座標参照系利用法(カスタムCRS)

・既存座標参照系のダミー利用法(ダミーCRS)

3 疑似座標GIS解析法のテスト

まずQGISに、発掘平面図をジオリファレンスでインポートし、さらに標高点群csvファイルをレイヤー追加でインポートしました。


発掘平面図(ジオリファレンス用)


参考 ジオリファレンス資料

次に標高点群資料からTIN補間で地形3Dモデルを作成し、標高点群資料と地形3DモデルをQgis2threejsで立体表示しました。

4 座標参照系なし利用法(CRSなし)

4-1 プロジェクトCRSの設定

プロジェクトCRSをCRSなしに設定します。


CRSなしの設定

4-2 発掘平面図のジオリファレンス

発掘平面図をジオリファレンスします。ジオリファレンスの項目でCRS入力欄があり、この中にCRSなしがありません。そこで今回はダミーでEPSG6677を入れました。

4-3 標高点群csvファイルのレイヤ追加

標高点群csvファイルをレイヤー追加します。追加の際、CRS入力欄があり、この中にCRSなしがありません。そこでダミーとしてEPSG6677を入れました。

4-4 標高点群から地形3Dモデルの作成

標高点群からTIN補間で地形3Dモデルを作成しました。

4-5 Qgis2threejsによる立体表示


Qgis2threejsによる立体表示結果

標高点群は立体表示できます。しかし地形3Dモデルは立体表示できません。プロジェクトCRSをEPSG6677にすると地形モデルも立体表示されます。

4-6 感想

情報をプロットする際にダミーCRSの入力が必要なことと、Qgis2threejsがCRSのない地形3Dモデルを受け付けないことから、この方法は実用性が低いといえます。

ちなみにこのQGISにGoogleMapを投影すると、(0,0)は大西洋上の赤道と子午線交点になります。

5 カスタム座標参照系利用法(カスタムCRS)

5-1 プロジェクトCRSの設定

設定→カスタム投影法で開く画面で新しいユーザー定義CRSを追加して、形式欄に次のスクリプトを記入して、CRSの名前も設定してカスタムCRSを定義しました。

入力した定義スクリプト(Proj文字列)

+proj=tmerc +lat_0=0 +lon_0=0 +k=1 +x_0=0 +y_0=0 +ellps=GRS80 +units=m +no_defs

入力した名前

Local_XY_meter


ユーザー定義CRS画面

プロジェクトCRSをクリックして開く画面に座標参照系として次の新しい座標参照系が設定されているので、適用します。

USER:100026-Local_XY_meter


ユーザーCRSを適用している様子

5-2 発掘平面図のジオリファレンス

発掘平面図をジオリファレンスします。ジオリファレンスの項目のCRS入力欄にはUSER:100026を入れます。

5-3 標高点群csvファイルのレイヤ追加

標高点群csvファイルをレイヤー追加します。追加の際のCRS入力欄にはUSER:100026を入れます。

5-4 標高点群から地形3Dモデルの作成

標高点群からTIN補間で地形3Dモデルを作成しました。

5-5 Qgis2threejsによる立体表示

標高点群と地形3Dモデルは正常に立体表示できました。


Qgis2threejsによる立体表示

5-6 感想

最初にカスタムCRSを設定することが手間になります。

ちなみにこのQGISにGoogleMapを投影すると、(0,0)は大西洋上の赤道と子午線交点になります。

6 既存座標参照系のダミー利用法(ダミーCRS)

6-1 プロジェクトCRSの設定

今回はEPSG6677を使いました。

6-2 発掘平面図のジオリファレンス

発掘平面図をジオリファレンスします。CRSはEPSG6677です。

6-3 標高点群csvファイルのレイヤ追加

標高点群csvファイルのレイヤを追加します。CRSはEPSG6677です。

6-4 標高点群から地形3Dモデルの作成

標高点群からTIN補間で地形3Dモデルを作成しました。

6-5 Qgis2threejsによる立体表示

標高点群と地形3Dモデルは正常に立体表示できました。


Qgis2threejsによる立体表示

6-6 感想

通常のQGIS利用と全く同じ方法で利用できました。

ちなみにこのQGISにGoogleMapを投影すると、(0,0)は野田市中里付近になります。

7 まとめ

次の順番で使い勝手が良くなることを理解しました。

・座標参照系なし利用法(CRSなし) 難あり

・カスタム座標参照系利用法(カスタムCRS) 余分な手間がかかる

・既存座標参照系のダミー利用法(ダミーCRS) 通常利用と同じ(難無し)

CRSなしやカスタムCRSに利用利点があるかもしれないと考えて(期待して)実施したテストですが、その期待ははずれ、ダミーCRS利用がもっとも良いことが判りました。


2026年5月20日水曜日

技術メモ QGISの疑似座標GIS解析を使った等高線からの標高点群生成

 Technical Memo: Generating Elevation Points from Contour Lines Using QGIS's Pseudo-Coordinate GIS Analysis


I have noted down a technique for generating elevation points from contour lines drawn on a plan view of the shell bed on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. This technique utilizes QGIS's pseudo-coordinate GIS analysis function.


有吉北貝塚北斜面貝層の平面図に記入されている等高線から標高点群を生成する技術をメモしました。QGISの疑似座標GIS解析機能を利用したものです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層平面図のQGISジオリファレンス


有吉北貝塚北斜面貝層平面図(QGISジオリファレンス用メモ記入)

1-1 QGISで使うEPSG

QGISのEPSG6677(日本測地系2011(JGD2011)[平面直角座標系]のⅨ(9)系(東京都 福島県 栃木県 茨城県 埼玉県 千葉県 群馬県 神奈川県)を利用しました。

1-2 座標変換

平面図にはもともとBlender投影用の座標が設定されています。Blender座標体系とQGIS座標体系は異なるので、またQGIS仕様に対応するため、今回次の座標変換等の対応と操作をしました。

・Blender用座標原点(0,0)とQGIS(EPSG6677)原点(0、0)を一致させる。

・Blender用座標X軸の値を正負逆転させてから1000倍して、QGIS座標Y軸に変換する。

・Blender用座標Y軸の値を1000倍して、QGIS座標X軸に変換する。

値を1000倍したのは、Blender用座標値そのままでは値が小さすぎてQGISが動かないためです。

1-3 ジオリファレンス

今回は5座標の値(-2000,0)( 0,0)( 40000,0)( -20000,-20000)( 40000,-20000)でジオリファレンスしました。


有吉北貝塚北斜面貝層平面図のQGISジオリファレンス結果(背景マップは作業と無関係です)

2 等高線トレース

2-1 新規シェープファイル作成

新規シェープファイルレイヤをファイル名とともに、ジオメトリ型:ラインストリング、追加次元:Z値、新規属性名称:elev、新規属性型:倍精度不動小数点型で作成します。

2-2 トレース

編集モードに入り、等高線をトレースします。1本1本についてトレース完了後、ID(通し番号)とelev(標高値)を記入します。


等高線トレース結果(背景マップは作業と無関係です)

3 標高点群生成とcsvファイル出力

3-1 標高点群生成

等高線レイヤを選択の上、プロセッシングツールボックスから「ジオメトリに沿った等間隔点群」を起動します。

ここでは距離を1000m(間隔)にしました。(平面図上では1m間隔に該当します。)

実行すると標高点群が生成します。


生成した標高点群(背景マップは作業と無関係です)

3-2 XYZフィールドの生成

生成した標高点群には標高はelevフィールドで表現されていますが、XY座標フィールドがありません。そこで、フィールド計算機を起動して、XYZフィールドを作成します。

Xフィールドは式に$Xを、Yフィールドは式に$Yを、Zフィールドは式に"elev"を入力してそれぞれのフィールドを生成します。


XYZフィールドが作成された属性テーブルの様子

3-3 csvファイル出力

XYZフィールドが作成された標高点群レイヤをcsvファイルで出力します。

4 標高点群からBlender用地形3Dモデル作成

4-1 csvファイルの調整

csvファイルをBlender用座標に戻します。

・Y座標を正負逆転させてから1/1000倍してX座標とする。。

・X座標を1/1000倍してY座標とする。

4-2 Blender用地形3Dモデル作成

今回は等高線から作成した標高点群を既存標高点群とマージして、それからBlenderPythonで地形3Dモデルを作成しました。

過去には、疑似座標GIS解析でトレースした等高線や標高点群からQGIS機能(v.surf.rstツール)で地形3Dモデルを作成したこともあります。

等高線や標高点群から地形3Dモデルを作成する方法はさらにいろいろあるので、それぞれを試して、使い勝手の良いものを見つけることにします。


2026年4月29日水曜日

QGISによる疑似座標GIS解析

 Pseudo-coordinate GIS Analysis using QGIS


I have established the concept (technical repertoire) of pseudo-coordinate GIS analysis using QGIS, and I am making a note of it here.

I will refer to the use of QGIS to handle an XY plane unrelated to Earth's location, that is, non-geographic space, as pseudo-coordinate GIS analysis.


QGISを使った疑似座標GIS解析(Pseudo-coordinate GIS Analysis)という概念(技術レパートリー)を確立しましたのでメモします。

地球上の位置とは無関係なXY平面を、つまり非地理空間をQGISで扱う利用法を疑似座標GIS解析と呼ぶこととします。

1 QGISを使った疑似座標GIS解析例


QGISを使った疑似座標GIS解析例(ここではEPSGはデフォルトの4326となっている)

X座標が0~500、Y座標が0~500の値を持つ点座標(csvファイル)をQGISにレイヤ追加している。

背景には500pixel×500pixelの画像をジオリファレンサでラスタレイヤとして追加してある。

csvファイルには幾つかの指標があり、QGISの機能を利用して各種空間分析をしている。QGISの機能は全て使えると考える。

疑似座標GIS解析の説明のためにGoogleMapsを表示している。

GoogleMapsは地球全体をX軸方向360°(-180°~180°)、Y軸方向180°(-90°~90°)で表示している。

画面では数字の大きさで表示され、画像は500単位×500単位、GoogleMapsは360単位×180単位で対応する。

つまり、この事例における空間(画像)は500°×500°で表示されていて、地球全体より大きな平面ということになる。

なお疑似座標GIS解析ではEPSGはなんでもよいことになる。

2 QGISを使った疑似座標GIS解析手順例

2-1 分析データ作成


分析データ作成画面

この例では剥取断面画像から二枚貝の座標、傾斜、方向(上凸、下凸)を取得している。データはcsvファイルに格納される。

2-2 csvファイルと画像のレイヤ追加

csvファイル(X座標が0~500、Y座標が0~500の値を持つ点座標、傾斜、方向)をレイヤとして追加する。

画像(500pixel×500pixel)をジオリファレンサでラスタレイヤとして追加する。背景として利用する。

2-3 QGIS機能を利用した分析

分析作業では、分布と背景との関係、ヒートマップ分析、色分けによる方向表示、ジオメトリジェネレータを使った傾斜表現などを行っている。