2013年12月8日日曜日

和良比レーキと吉岡レーキの見立て

花見川流域の小崖地形 その70 (5mメッシュDEM図を読む 9)

和良比レーキと吉岡レーキの位置を示します。

和良比レーキと吉岡レーキの位置

2つのレーキともに花見川流域の外に位置しますが、花見川流域の褶曲変位地形が南東方向にどのように変化しているのか考える時、大変特徴的な変位地形ですので、興味を深めています。

和良比レーキ付近では宅地開発が行われていて、谷筋線が明瞭でな部分がありますので、旧版2万5千分の1地形図(「千葉東部」図幅、大正10年測量)の等高線表示から谷筋線をピックアップしました。

旧版2万5千分の1地形図による谷筋線のピックアップ

この谷筋線パターンを5mメッシュで作成した地形段彩図(現在地形)にプロットすると次の図になります。

結果として、宅地開発により谷筋が全く不明になったり、別の谷筋が生れたりということは無いことがわかりました。

地形段彩図にプロットした谷筋線

参考 標準地図にプロットした谷筋線

この情報をもとに、真性レーキモデルとの対応を考えると、つぎのようになります。

和良比レーキと吉岡レーキの真性モデル成分対応

和良比レーキと吉岡レーキ付近の地形は地溝と呼べるような変位があり、真性レーキが形成されたと考えますので、その地形について、次に詳しく検討します。


つづく

2013年12月6日金曜日

印旛沼からの洪水排水と「非対称性」

1 印旛沼からの洪水排水
台風26号による印旛沼の洪水を花見川に排水した規模が過去最大レベルであった様子を2013.12.05記事「大和田機場からの花見川への洪水排水統計」で書きました。
この時、印旛沼の洪水排水は当然のことですが、花見川だけでなく利根川にも排水されていますので、その記録を紹介します。

印旛沼ポンプ洪水排水運転状況(2013年10月分)

印旛沼の水位が過去最高のYP4.17mになり、堤防の一部が溢水するという緊急事態に、印旛機場と大和田機場の能力目一杯のポンプ排水が利根川と花見川に対して行われたということです。

印旛沼の水管理は次のような仕組みで行われています。

印旛沼の水管理
「印旛沼(調整池)の水位は、3機場と酒直水門の操作により、かんがい期(5~8月)にあっては、YP2.5m、非かんがい期(9月~翌年4月)にあっては、YP2.3mに保持します。
また、洪水時には水位を低下させるための排水を行います。」(水資源機構千葉用水総合管理所パンフレット「水を活かす印旛沼」による)

沼に入る水量の割合とその利用
水資源機構千葉用水総合管理所パンフレット「水を活かす印旛沼」による

印旛沼の水の流れ
水資源機構千葉用水総合管理所パンフレット「水を活かす印旛沼」による

2 花見川が果たす役割
花見川が果たす役割の一つとして印旛沼流域の洪水排水を担うことが挙げられ、その現実の様子を台風26号の大雨の際に実感(体験)できたことは良かったと思います。
花見川のあるべき姿について考える際に、120m3/sのポンプ排水の様子を知っておくことが、その前提の一つになります。

なお、花見川自体の治水ということを考えると、大和田機場からの120m3/sのポンプ排水と勝田川と高津川からの洪水との関係が気になります。恐らく時間差や量の差には大きなものがあるのではないかと考えますが、情報が入手できれば、検討してみたいと思います。

3 流域間の非対称性
2つの機場および2つの流域界の位置を鳥瞰すると次のようになります。

2つの機場および2つの流域界の位置

印旛沼流域は元来利根川水系の一部で、洪水も利根川に排水されていたものです。しかし、印旛沼開発で流域変更が行われるとともに、洪水の一部を花見川に排水するようになりました。

印旛沼の開発のためにはそれでよいのですが、元来の花見川流域はこの開発でどのようなメリットをうけたのでしょうか?

印旛沼開発では印旛沼流域が一方的にメリットを享受して、元来の花見川流域は一方的に洪水排水や他のデメリットを甘受させられるという、非対称的関係があるように感じてしかたがありません。

それともなにか別のことでバランスがとれていて、対称性が保持されているのでしょうか?


花見川が「印旛放水路(下流部)」と無理矢理に改姓させられ、千葉県下で唯一「人工河川」という烙印を押されている状況の真の意味は、印旛沼流域と元来の花見川流域の非対称性に人々が気がつかないようにする(非対称性を当たり前として、疑問の余地を生じさせない)ための高度な策略であると、感じて仕方がありません。

2013年12月5日木曜日

大和田機場から花見川への洪水排水統計

10月15日から16日にかけて台風26号の通過の伴い関東地方でも大雨となりました。
この影響で印旛沼の水位は過去最高のYP4.17m(※)に達し、成田市では印旛沼の堤防の一部で溢水が発生しました。大和田機場から花見川に16日~19日の3日間にわたりポンプ能力一杯の排水が行われました。

※ 計画高水位 YP4.25m
  常時満水位 YP2.3mもしくは2.5m
  最低水位  YP1.5m

この時の花見川の状況は次の記事で記録しています。
2013.10.20記事「放水後の花見川の様子」

この時、大和田機場からの放水が過去最大規模の放水らしいという印象を受けました。
それを確かめるために水資源機構千葉用水管理所から統計データとして過去10年分の大和田機場排水運転記録表を提供していただきましたので、今年のデータを加え、紹介します。

大和田排水機場から花見川への洪水排水量
洪水別に排水量を合計したデータです。
2013年10月16日~19日(4日間)の排水量は33320×1000m3で過去11年間歴代2位です。
過去11年間歴代1位は2004年10月5日~12日(8日間)の40687×1000m3です。

2013年10月16日~19日(4日間)の排水量は過去11年間歴代2位といっても、歴代1位の場合の日数の半分です。従って、過去11年間の大和田機場からの排水に関していえば、2013年10月16日~19日(4日間)の排水はその緊急性が最も高いレベルにあったと言えます。

なお、過去11年間で洪水排水した回数は全部で20回になります。年平均1.8回です。
1回の平均排水量は20274×1000m3です。この平均排水量と比べると、2013年10月16日~19日(4日間)の排水量は約1.6倍です。

次のグラフは11年間の年別の洪水排水総量をグラフにしたものです。

大和田排水機場から花見川への年別洪水排水総量

2004年が60641×1000m3で歴代1位、
2013年(12月5日まで)が33320×1000m3で歴代2位、
2006年が33268×1000m3で歴代3位となります。

参考として排水中の写真を掲載します。

洪水排水中の花見川(弁天橋から上流方向)2013年10月17日撮影

洪水排水前の花見川(弁天橋から上流方向)2013年10月3日撮影

洪水排水中の花見川(柏井高校付近、下流方向)2013年10月17日撮影

洪水排水後の花見川(柏井高校付近、下流方向)2013年11月20日撮影


2013年12月4日水曜日

柏井レーキ近隣のモデル対応とGoogle earthによる鳥瞰的チェック

花見川流域の小崖地形 その69 (5mメッシュDEM図を読む 8)

1 柏井レーキ近隣のモデル対応
柏井レーキの両隣(芦太川と横戸川)の水系パターンを真性レーキモデルの成分に対応させてみました。

真性レーキモデル成分との対応
基図は地形段彩図と旧版1万分の1地形図

花見川(古柏井川)と柏井断層の交差部のつくる水系パターンを柏井レーキと呼びましたが、芦太川及び横戸川が柏井断層と交差する部分の水系パターンも真性レーキモデル成分と対応させて考えることができます。

真性レーキモデル成分との対応
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)

2 Google earthによる鳥瞰的チェック
2-1 真性レーキモデル成分抽出
上記で作成した図面から真性レーキモデル成分だけを抽出しました。

真性レーキモデル成分抽出図

2-2 Google earth表示
この図を千葉県北部を含む広域を表示したGoogle earth画面上にオーバーレイしました。
更に、地形段彩図もオーバーレイし、その上にも真性レーキモデル成分抽出図をオーバーレイしました。

Google earth画面1
オーバーレイなし

Google earth画面2
真性レーキ成分抽出図オーバーレイ

Google earth画面3
地形段彩図オーバーレイ

Google earth画面4
地形段彩図及び真性レーキ成分抽出図オーバーレイ

2-3 視野拡大によるチェック
これらのGoogle earth画面を見ると図面上の情報はGIS上の平面図と同じにも関わらず、私が受ける印象が全く異なります。
まず視野が拡大したという空間認識上の印象です。鳥瞰的に広域を見ていて、かつ遠方は小さく、手前は大きく表示されているので、視覚的情報処理が「楽」な感じ、「無理が少ない」感じがします。自分を敢えて奮い立たせて情報に立ち向かうという潜在的緊張を伴わないで、情報の咀嚼が簡単です。

次に、こちらの方が重要ですが、視覚的空間認識的にエネルギーを使わなくなった分、考え方、思考の幅が広がった印象を強く受けます。
B軸(柏井小崖[柏井断層])がどこのあたりに分布していて、柏井レーキ付近の場所がそのどこらに該当するということが判ります。(判らせられてしまいます。)そうした全体の位置の中で、A線、C線、D線の分布がどれだけ合理的であるか(必然的であるか)考えざるを得ません。自分の真性レーキモデルを無意識にチェックしてします。
このような発想は、GIS上で限られた範囲の平面図の作業に熱中している時には、生じることが少なくなります。場合によっては、広域的な視点は欠落してしまい、視野狭窄的思考になっていまします。

要するに視覚的空間的視野が拡大したことにより、思考の幅が広がり、自分の仮説(真性レーキモデル仮説)を無意識的にチェックしました。

Google earthを使って、自分が作業した各種情報や各種仮説を、鳥瞰的に見てチェックすることは大変有効であることに、(少し大げさに言えば「生まれて初めて」)気がつきました。

Google earthという使い勝手の大変良いソフトが存在するので、そうした感想がもたらされたのだと思います。

しばらくはGoogle earthのとりこになると思います。


2013年12月3日火曜日

柏井レーキのモデル対応

花見川流域の小崖地形 その68 (5mメッシュDEM図を読む 7)

1 地形段彩図
柏井レーキ付近の地形段彩図を次に示します。

柏井レーキ付近の地形段彩図。

柏井レーキは柏井小崖に位置し、柏井断層によって形成されたものです。

2 標準地図
上記地形段彩図の範囲の標準地図を示します。

標準地図
電子国土ポータルによる。

柏井レーキ付近は地史の上で、印旛沼水系に形成された真性レーキが東京湾水系に編入され(花見川河川争奪[河道逆行争奪])ただけでなく、印旛沼堀割普請で人工的に地形が改変され、さらに戦後住宅団地や柏井浄水場が建設され人工改変が進んでいます。

3 旧版1万分の1地形図
戦後の人工改変の影響を排除する上で、旧版1万分の1地形図を使うと便利です。

旧版1万分の1地形図
「三角原」図幅及び「大久保」図幅の部分

4 柏井レーキのモデル対応
柏井レーキの構成部分を、真性レーキのモデルに対応させて色分けして示すと、次の図になります。

柏井レーキのモデル対応

次のような特徴があります。

ア A線(原始平行河川)、B軸(変位軸合流河川)、C線(変位軸合流河川)、D線(截頭原始平行河川)全てを見つけることができる。

イ A線及びB軸の各一部分の位置については、現在の水系位置とは異なる場所に想定した。(花見川河川争奪後河岸段丘化した位置に真性レーキ形成時の水系位置を想定した。)

ウ D線は1本しか見つけられなかった。

エ B軸を境にC線とそれに対応するA線、D線とそれに対応するA線は平面的に100m以上ずれていることが観察できる。(隣の芦太川では約150mずれている。)

真性レーキと銘打っていませんが、柏井レーキの両隣(芦太川、横戸川の柏井断層交差部)も同種地形であるので、その説明を追ってします。


つづく

Google earth 追伸

2013.12.2記事「Google earthで思考を刺激する」の最後に「Google earth上で透過性のある画像も、地図太郎PLUSできますので、Google earthの使い勝手はたいしたものです。」と書きました。

しかし、Google earthに貼り付けた画像は全て、Google earthの機能で透過度を自由に変更できるので、紹介します。

わざわざ透過性のある画像を作成する必要はないです。

オーバーレイ画像の透過度ゼロのGoogle earth画面

オーバーレイ画像の透過度約50%のGoogle earth画面


Google earthはたいしたものです。

2013年12月2日月曜日

Google earthで思考を刺激する

5mメッシュを素材にしてGIS(地図太郎PLUS)で作成した地形段彩図を、Google earthに簡単に張り付けることができました。

地形段彩図を表示した地図太郎PLUSで、ファイル>印刷イメージの作成>「Google Earh KMLファイルも作成」チェックと作成ファイル名入力後にOK、の操作で画像ファイルとKMLファイルが同時に作成されます。Google earthを立ち上げた状態でこのKMLファイルをダブルクリックすると次のような画面になります。

Google earthに地形段彩図が張りつけられた画面

この画面から視点を思い切り上空(宇宙)に移動させると次のような画面になりました。

Google earth画面

Google earth画面

千葉県北部の地形の出自に関連して、フィリピン海プレートや太平洋プレートが大陸プレートに沈み込む運動に興味を持ち始めているので、この画面から強い刺激を受けます。
フィリピン海プレートや太平洋プレートが大陸プレートに沈み込む位置と千葉県北部の台地の褶曲変位地形との位置の関係がリアルに直観できます。
思考が強く刺激されます。

先日飛行機に閉じ込められている時、次のナビ画面をみて、それがきれいでかつ海底地形の様子が手に取る様にわかり、発想上の刺激を受け、自分でもそのような画面を再現したいとささやかな夢を持ちましたが、Google earthを使って、いとも簡単に実現しました。

座席のナビ画面

Google earthは自分の視点の位置を操作上のストレスをほとんど感じることなく自由に移動できるので便利であり、位置関係などを確かめ上で有用なツールです。

Google earth画面

Google earth画面

Google earth画面

真性レーキの水系パターンも斜め上から見ると自分の発想が刺激されます。思考の質が向上し、思考の結果に充実感を感じる度合いが増します。

勝田高津レーキ付近の様子1

勝田高津レーキ付近の様子2

Google earth上で透過性のある画像も、地図太郎PLUSできますので、Google earthの使い勝手はたいしたものです。(わざわざ透過性のある画像を作成しなくても、Google earthの機能で、全てのオーバーレイ画像の透過度は自由に変更できます。2013.12.03記事「Google earth 追伸」参照)

下総上位面の概略分布図

2013年12月1日日曜日

勝田高津レーキのモデル対応

花見川流域の小崖地形 その67 (5mメッシュDEM図を読む 6)

1 勝田高津レーキ付近の地形段彩図

勝田高津レーキ付近の地形段彩図は次の通りです。

地形段彩図

2 真性レーキの分布

勝田高津レーキ及び柏井レーキ、和良比レーキ、吉岡レーキの分布は次の通りです。

4つの真性レーキの分布

位置が判る様に、基図を標準地図にしてこの図を示すと次のようになります。

4つの真性レーキの分布
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)

3 勝田高津レーキのモデル対応
勝田高津レーキの構成部分について、真性レーキのモデルに対応させて色分けして示すと次のようになります。

勝田高津レーキのモデル対応

次のような特徴があります。

ア A線(原始平行河川)、B軸(変位軸合流河川)、C線(変位軸合流河川)、D線(截頭原始平行河川)全てを見つけることができる。

イ A線とB軸はほぼ直交している関係にある。

ウ A線とD線はほぼ同一方向の北北東方向へ向かって流れている。

エ C線はA線およびD線と異なる方向(ほぼ真北方向)に向かって流れている。

オ B軸すぐ北にオタマジャクシ状地形(台地上の浅い盆状地形)[勝田台団地付近]があり、その部分ではD線が欠落している。

エのC線の方向がA線・D線の方向と異なるという事象については印旛レーキの形成との関係で説明できそうだと直感しています。印旛レーキの説明の際にその理由について検討します。

オのオタマジャクシ状地形はその大規模なものが印旛レーキの北[印西市高花付近]にもあります。
真性レーキの形成(向斜軸等の発生)と連動しているような地殻変位であるのか、独立した地殻変位なのかいまのところ見当がついていませんが、浸食地形ではなく変動地形であることは確実であると考えます。
オタマジャクシ状地形の成因と真性レーキとの関係についても印旛レーキの説明の際に検討します。

つづく