2011年4月3日日曜日

埋蔵文化財地図のGIS取込

            千葉県埋蔵文化財分布地図をGISに取り込んだ様子

            上記画像付近に対応する埋蔵文化財リスト

 以前縄文海進と貝塚の関係について記事(花見川中流紀行13縄文海進と貝塚分布)にしました。このとき貝塚のデータは「千葉県埋蔵文化財分布地図」(財団法人千葉県文化財センター発行)から得ました。この地図を見て花見川流域に沢山の埋蔵文化財があることに気がつき、いろいろと興味が湧きました。しかし情報が多く、大判(見開きA2)の紙の地図で扱いにくく、情報をどのように整理するか迷っていました。

 そこで、思い切ってこの大判冊子地図を電子化するとともに、そのファイルに位置情報を添付してGISで使えるようチャレンジしてみました。

 チャレンジ作業は満足いく結果となりました。

 埋蔵文化財の分布が他のGISのデータと直接対応できるようになったので、地域に関する発想の源泉が新たに一つ出来て、花見川流域の認識がより深まると思います。

 次に、埋蔵文化財地図の電子化とGIS取込の(地べたを這い回るような泥臭い)スキルについて、参考までに報告します。

●用意した地図(千葉市図書館から借用)
・「千葉県埋蔵文化財分布地図(1)」(財団法人千葉県文化財センター発行)(花見川流域の船橋市、八千代市、習志野市、佐倉市、四街道市分が収録されている)
・「千葉県埋蔵文化財分布地図(2)」(昭和61年3月 財団法人千葉県文化財センター発行)(花見川流域の千葉市分が収録されている)

            千葉県埋蔵文化財分布地図(2)

●スキャンに使用した機材
・offirio es-10000g(エプソン製A3判スキャナー)(A4スキャナーではこの作業は無理だと思います。)

●事前準備資料
・図郭四隅の緯度、経度を調べ、日本測地系から世界測地系の換算表をつくっておく。
(花見川流域に関わる2.5万分の1地形図は「習志野」「佐倉」「千葉西部」「千葉東部」の4枚。埋蔵文化財分布地図のベースマップは昭和58年測量図であり、日本測地系が用いられている。日本測地系から世界測地系への換算は、国土地理院と海上保安庁のWEBにある変換プログラムを使う。「千葉西部」の南東端は海であり海上保安庁の変換プログラムを、他は国土地理院の変換プログラムを使う。)
(参考 この作業では関係ありませんが、大正7年以前発行の旧版地形図では上記換算の他、「10秒4」の換算が必要となる。)

●作業手順
・見開きA2判のページに2.5万分の1地形図(原寸大)をベースマップとした埋蔵文化財分布地図が印刷されている。
・見開きを2回に分けてスキャンする。(2.5万地形図が左右2枚のjpgファイルに分かれて取り込まれる。)
・フォトショップにjpgファイルを取り込み、整形する。(フォトショップの「ものさしツール」と「角度入力機能」を組み合わせて使い、画像の画角を機械的に微調整正立させる。切り抜きにより接合辺を整える。)
・フォトショップ上で2つのjpgファイルを接合させ、図郭線に沿って切り抜き保存する。(2.5万分の1地形図に対応する1つのjpgファイルが出来る。)
・GISソフト「地図太郎プラス」に上記jpgファイルを位置情報のない地図として取り込む。
・取り込んだjpgファイルのプロパティから、図郭四隅の緯度経度が入力できるので、換算表から正しい世界測地系の値を入力する。
・位置合わせを保存して、作業を終了する。

●綴じ部分のゆがみ
冊子をスキャンしているため、綴じ部分にどうしてもゆがみが出ます。その部分については、GISソフト上で、JPGファイルを一時的に移動微調整することで、精度を保てます。

            埋蔵文化財分布図のうち「習志野」と「千葉西部」図幅を取り込んだ様子
            いずれも千葉市分のみの情報で、他市の情報は別地図になる

 埋蔵文化財地図から得られた興味深い情報は追って記事にします。

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