双子塚古墳出土物を閲覧して
3 古墳時代
3-5 双子塚古墳の体積
双子塚古墳の体積を報告書に掲載されている情報から試算してみました。
双子塚古墳の発掘調査時点の実測図
報告書(「千葉市双子塚-横戸団地建設に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書」1983、千葉県住宅供給公社・財団法人千葉県文化財センター)より引用
次の2ケースで計算してみました。
ケース1 発掘調査時点の双子塚古墳の見かけの円墳地形の体積
ケース2 土層断面図から推察できる築造当時の円墳地形の体積(※)
※古墳北側の近世掘削部分を復元するとともに、周溝内覆土は本来古墳を構成していた土であったので、その体積を加える。
古墳体積は、フォトショップを用いて土層断面図(正スケール)から必要な長さと面積を計測し近似法で体積をもとめました。
具体的には、南北と東西2つの土層断面をそれぞれ頂部で2分割し、分割断面に近似する三角形を設定して、その三角形が回転してできる円錐体の体積を4つ求め、その平均をもって古墳の体積としました。
周溝内覆土の体積は南北と東西2つの土層断面にある4つの周溝内覆土断面積の平均値をもとめ、その断面積が回転した時のドーナツ状立体の体積を求めました。
計測した双子塚古墳の体積は次の通りです。
双子塚古墳の体積
ケース
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古墳の概形
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古墳の体積
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ケース1
発掘調査時点の見かけの体積
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地表からの高さ約1.7m
墳の半径約7.9m
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約110立方m
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ケース2
築造当時の体積(推定)
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地表からの高さ約2.8m(※)
墳の半径約約8.1m
周溝外縁部の半径約11.8m
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約180立方m
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古墳の体積は発掘調査時点では約110立方mでしたが、築造時の体積を推定すると、約180立方mとなりました。
築造時の墳丘が雨水浸食等で削られ、その分の土が周溝に堆積し、見かけ上6割の体積に減じたことになります。
この体積から築造当時完全な円錐体としてつくられたと仮定して割り戻すと、高さは約2.8mになりました。
築造当時の完全な姿では、墳の頂部は発掘調査時点より約1mほど高かったことになります。
なお、古代人の土工能力が1立方m/人日と仮定して単純計算すると、この古墳は180人日の工事であったことになります。
(つづく)
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