2013年8月12日月曜日

高津土塁(仮称)の発掘調査と行政措置の必要性

花見川地峡の自然史と交通の記憶 53

高津土塁(仮称、以下仮称略)は現在住宅地と千葉市立柏井小学校敷地になっていますが、ここが古代の土塁であったという物的証拠を集めてその実体を明らかにし、なおかつ埋蔵文化財として登録するなどの行政措置が必要だと思います。

1 発掘調査の必要性
高津土塁の存在は米軍空中写真やボーリングデータ等から、人工地形としての特質を認識することができます。しかし、高津土塁という遺跡存在を初めて意識した現時点にあって、あらためてその存在を確認する物的証拠を得ておくことが大切です。

現時点における高津土塁の確認方法は次のようなものがあると考えられます。

1-1 柏井小学校敷地における表採及び関連住宅地ヒアリング
柏井小学校および周辺住宅地はこれまで遺跡があるということは知られていないので、遺物が地表に存在している可能性があります。
小学校敷地の周辺部分や掘り返しをしたところなどを対象に遺物の表採をすることが考えられます。
また、周辺住宅地(特に旧家)において、遺物等を見つけたことがあるか、ヒアリングを行うことが考えられます。
これらの調査は、いつでも実行可能です。

遺物表採及びヒアリング範囲
基図は千葉市及び八千代市提供DMデータ

1-2 土塁北端部の発掘調査
土塁北端部は基部から人工盛土(石垣を含む?)で造られた可能性がありますので、この部分で発掘調査をすることが考えられます。

現在の土留めコンクリート壁と背後の地層との関係を地上で観察し、軽微な試掘をおこなえば、発掘調査規模や実施価値がどの程度あるか判明します。

発掘調査の目的は、土留めコンクリート壁背後の地層が古代の盛土であることの確認と土塁に関連する遺物の収集です。

発掘調査は学校運営に大きな影響を与えないように、学校当局との調整が必要です。

なお、学校建設事業が遺跡を破壊したという経緯及び、その事業者(千葉市教育委員会)が埋蔵文化財を保護保全する行政指導主体でもあるということを踏まえて、千葉市教育委員会が当事者意識を強化して、責任感を持って発掘調査をおこなうことが大切です。

発掘等の調査を学校教育に取り込んで行うことも意義の大きなことであると思います。

土塁発掘調査区域イメージ
基図は千葉市及び八千代市提供DMデータ

1-3 ボーリング調査
学校敷地のうち、土塁の天端があった区域でボーリング調査を実施することが考えられます。
目的は、学校敷地造成時の造成土の下に古代の盛土の存在を確認することにより、土塁全体が盛土であったことを確認することです。(2013.07.31記事「高津土塁(砦跡)の地質」参照)

土塁ボーリング調査区域イメージ
基図は千葉市及び八千代市提供DMデータ
(2013.08.18 図面修正差し替え)

2 遺跡登録等の行政措置の登録
破壊されたとはいえ、土塁平面形状等は残っています。また土塁の古代史における意義は大きなものがあります。
土塁を埋蔵文化財として登録するなどして土塁が存在した事実を市民や研究者に周知することが大切です。
そのことにより、古代の東海道水運支路や高津馬牧の専門研究に資するとともに、今後の千葉市における文化財保護を確実にするための教訓材料とすることが出来ます。


つづく

■□花見川流域を歩く■□にほんブログ村■□花見川流域を歩く■□にほんブログ村■□
にほんブログ村 アウトドアブログ ウォーキングへ にほんブログ村 地域生活(街) 関東ブログ 千葉(市)情報へ にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ

0 件のコメント:

コメントを投稿