大膳野南貝塚の縄文時代遺構地図3枚を重ねて陥し穴遺構と多数存在する「縄文ピット」との関係を観察してみました。
重ね合わせた3枚の縄文時代遺構地図
・付図1 縄文時代早期遺構分布図
・付図2 縄文時代前期後葉遺構分布図
・付図3 縄文時代中期末葉~後期中葉遺構分布図
多数存在する「縄文ピット」は付図1には記載されていませんが、付図2と3には全く同じものが記載されています。
多数存在する「縄文ピット」は前期後葉集落及び中期末葉~後期中葉集落で作られたものがほとんどであるという推察と、一つ一つ時期の特定ができないという理由から、このような付図記載になったと考えます。
しかし、多数存在する「縄文ピット」のなかに縄文時代早期に作られたものが存在するという考えを否定することはできませんから、早期遺構である陥し穴と縄文ピットの関係を観察してみました。
その結果は次の通りです。
大膳野南貝塚 陥し穴誘導柵遺構の存在可能性検討 1
7か所で陥し穴誘導柵遺構の可能性のある縄文ピット線形列を観察しました。
この結果は陥し穴付近の縄文ピットを見て、無数に観察できる線形列のなかから誘導柵と考えられるものを抽出したものですから、主観的な要素が入り込んでいることは否定できません。
この観察は、その場所に存在することを期待する線形列を探したという操作の結果です。
しかし、単純な創作とは全く異なり、陥し穴誘導柵遺構を発見する重要な手がかりの一つになると考えます。
2 陥し穴誘導柵遺構の存在可能性検討 2
この結果のうち、3つの陥し穴を結ぶように観察できる縄文ピット線形列について検討します。
大膳野南貝塚 陥し穴誘導柵遺構の存在可能性検討 2
11号、13号、2号の3つの陥し穴を誘導柵で連携した大きな罠であるように観察できます。
13号陥し穴はその発掘写真に写っている縄文ピットが誘導柵遺構そのものであるように観察できます。
発掘調査報告書における13号陥し穴のスケッチには縄文ピットは書かれていませんから、発掘担当者はこれらの縄文ピットは陥し穴関連の遺構であるとは考えていなことは明白です。
しかし、13号陥し穴付近の縄文ピットが誘導柵遺構である可能性を、現場を知らない素人であるが故に感じてしまいます。
13号陥し穴の罠猟を次のように想像してしまいます。
13号陥し穴罠猟のイメージ(想像)
このような観察・想像が意味のないものであるか、それとも意味があるのか、つまり縄文ピットの中に陥し穴関連遺構が混じっていないのか、いるのか、その可能性についていつか専門家に聞いてみることにします。
なお、想像を発展させれば、3つの陥し穴を利用した施設型罠猟は、西にある谷筋(A谷)から動物を台地に追い上げて、捕獲する装置のように考えることもできます。
そのように想像すると、動物を追わない罠猟であったかもしれないし、動物を追う罠猟であったかもしれないと二つの狩猟スタイルの可能性を検討する必要があるように感じます。
根拠薄弱ですが、この施設型罠猟の主要な獲物はイノシシであるように感じます。
3 陥し穴誘導柵遺構の存在可能性検討 3
斜面に存在する陥し穴の付近に、縄文ピットが寄り添うように観察できます。
陥し穴とは全く別にたまたま縄文ピットが作られたということが、斜面であるが故に考えにくいように感じ、斜面における陥し穴と縄文ピットは関連した遺構であるという疑いを持ちます。
これらの縄文ピットは単純な線形になっていませんが、動物を陥し穴に誘導する装置(結局は誘導柵)であったと、とりあえず仮説することにします。
斜面付近の陥し穴と縄文ピットのパターンを沢山集めれば、類似したものが集まり、その意味が判るかもしれません。
大膳野南貝塚 陥し穴誘導柵遺構の存在可能性検討 3
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