獣骨が多量出土した竪穴住居の様子を観察します。
1 獣骨多量出土竪穴住居
2 獣骨多量出土竪穴住居の様子
J77は床下墓坑があります。J81、J78、J80の3軒からヒト骨が出土しています。これらの竪穴住居は発掘調査報告書では廃屋墓としてはカウントされていません。
J74 J40
J74、J40ともに廃屋墓です。
J63 J36
J63からヒト骨が出土しています。発掘調査報告書では廃屋墓としてはカウントされていません。
3 考察
獣骨多量出土9軒のうち廃屋墓とヒト骨出土が7軒となり特筆すべき情報であると考えます。
獣骨が多量に出土したということは竪穴住居廃絶の際に獣肉食を含む祭祀が繰り返し行われたと考えられます。
獣骨多量出土竪穴住居のうち78%から人骨が出土していることから、これらの竪穴住居では単なる住居空間廃絶の祭祀(住居空間の送り祭祀)ではなく、その空間で営まれたヒト葬送の祭祀(廃屋墓祭祀)がメインであったと推察します。
獣骨多量出土竪穴住居は人骨が出土していないくても、その竪穴住居が廃屋墓であったことを示す指標になると考えます。
発掘調査報告書で廃屋墓とカウントされた竪穴住居からはすべて獣骨が出土しています。ただし獣骨の量は少ないものもあります。この現象はおそらく埋葬する人物の格(リーダー家族か否かなど)によって執り行われた祭祀の質レベルや回数が異なっていたからだと考えます。
リーダー家族の葬送祭祀では沢山の人を集め沢山のシカやイノシシを何回にもわたって食い、劣位家族の葬送祭祀では少人数が少量のシカやイノシシを少数回食ったのだと思います。
この考えが正しければ、人骨と一緒に出土する獣骨量でその人物の集落内社会的地位を推察することができるかもしれません。
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この記事を訂正しました。2018.02.14
当初記事の竪穴住居別獣骨数に一部誤りがありましたので画像全部と文章の数値を訂正しました。記事大要に変更はありません。
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