出土物としては中テン箱数(遺物出土総量)、獣骨数、石器種類別数などを順次検討してゆきます。
この記事では中テン箱数を例にして、数量の多寡が問題になるものは立体棒グラフで表現して直観的に検討できる体制ができたことをメモしておきます。
1 中テン箱数の意味
大膳野南貝塚発掘調査報告書では中テン箱数は竪穴住居から出土した遺物の総量をイメージ的に示している指標として捉えることができます。より直接的には土器出土量の指標として利用できると考えます。
大膳野南貝塚発掘調査報告書における中テン箱記述の様子
2 中テン箱数の立体棒グラフ
中テン箱数の立体棒グラフをGoogle earth proの画面でつくり、いろいろな視点から眺めてみました。
平面図における竪穴住居は青は貝層出土、ペールオレンジは貝層非出土を表現しています。
後期集落竪穴住居 貝層出土(青)、非出土(ペールオレンジ)
後期集落竪穴住居 中テン箱数立体棒グラフ 1
後期集落竪穴住居 中テン箱数立体棒グラフ 2
3 考察
3-1 立体グラフの概要
・中テン箱数の分布と竪穴住居の漆喰貝層出土と非出土が強い相関を持っていることを確かめることができます。
・漆喰貝層出土竪穴住居のほとんど全てから中テン箱数が記述されているほどの遺物出土があります。
・その数量は竪穴住居によって大いに異なります。
・漆喰貝層非出土竪穴住居のほとんどは中テン箱数がゼロであり、中テン箱数が記述されているものはきわめて少数です。
・しかしその少数のものの中に大きな数値のものが含まれています。
3-2 立体グラフを使った検討方法
通常の分析では数値表の統計分析などで相関の様子をあらかた頭に入れ、次にその結果をグラフで表現して確認します。
しかし、上記立体グラフはより直観的に相関の様子がわかるので、また立体グラフ作成が極めて容易にできる条件が整っているので、検討方法を次のように通常と逆転させることにします。
つまり、最初に立体グラフを作成し、その観察に基づいて相関や問題意識を深め、その直観的かつ大局的考察に基づいて統計分析や特殊箇所(極値竪穴住居)分析を行うことにより分析・考察を深めることにします。
この記事では立体グラフ分析法とでもいえる方法の開発が進んだことをメモしました。
中テン箱数の分析そのものは次の記事で行います。
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