2022年10月18日火曜日

北斜面貝層出土土器片と南斜面貝層出土土器片が接合する意義

The Significance of Joining Pottery Fragments Excavated from the North Slope Shell Layer and Pottery Fragments Excavated from the South Slope Shell Layer


Some early pottery excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound joins pottery fragments excavated from the shell layer on the south slope. I'm very worried. It may be the result of a specific individual performing consecutive prayers in two places.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土する土器片の分布について学習していますが、前期土器には台地面を越えた南斜面貝層出土土器片と接合するものがあります。気になる事象ですから感想をメモしました。特定個人が2ヶ所で連続祈願行為を行った結果かもしれません。

1 北斜面貝層出土土器片と南斜面貝層出土土器片が接合するもの


北斜面貝層出土土器片と南斜面貝層出土土器片が接合するもの


北斜面貝層と南斜面貝層の位置

前期遺構は土坑1つと埋設土器1つが検出されています。発掘調査報告書では前期遺構について、「土器の出土量からみて、中期以降の遺跡形成で消滅した遺構が多数あったと考えられた。」と記述されています。

2 メモ

2-1 前期土器の北斜面貝層における分布


早期土器と前期土器の破片出土場所

2022.10.11記事「有吉北貝塚北斜面貝層における早期土器と前期土器の分布」で早期土器と前期土器はその出土場所付近で早期と前期に人々の活動があり、その結果土器破片がその場所付近に持ち込まれたと考えました。その後、阿玉台式以降中期の貝層形成活動によって撹乱を受け、貝層の中に混入したと考えました。

2-2 北斜面貝層出土土器片と南斜面貝層出土土器片が接合する意義

前期には台地面で人々の活動(生活)があり、諸磯式などの前期土器が使われていました。前期の人々が南斜面貝層(当時は顕著な貝層は無かった)と北斜面貝層(当時は顕著な貝層は無かった)に廃用土器破片を投棄したことはその場所から土器片が出土しているので確実です。

廃用土器破片を送り場に持ち込む際、意識して土器破片を2つに分け、一方は北斜面貝層で送り(投棄し)、一方は南斜面貝層で送った(投棄した)という活動が特殊ではなく、普通に行われたことが推定できます。

なぜ2個所の送り場で同じ土器を送ったのか?次の想像が生まれます。

送り場で土器破片を送るとは、土器破片に敬意を表現し、土器に感謝するという意味だけでなく、その行為に付随して、別の祈願行為があったのではないかと考えます。土器破片は現代風に言えば一種のお賽銭みたいな意義をもつようになっていて、土器破片(お賽銭)を投じることで別の何かの祈願をしたと想像します。そして現代でも祈願は多数ヶ所で行われます。四国八十八ヶ所巡りとか七福神巡りなどです。つまり、前期縄文人は廃用土器の破片を台地上でつくり、その一部を北斜面貝層(にその後発展する空間)に持ち込み投棄して、何らかの祈願行為をし、別の一部の破片を南斜面貝層(にその後発展する空間)に持ち込み投棄して、何らかの祈願行為をしたと想像します。 

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