2023年7月7日金曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 「土器破片の3D空間密集度」の3D分布図で可視化された同心円状構造

 North Slope Shell Layer of Ariyoshi Kita Shell Mound

Concentric structure visualized in 3D distribution map of '3D spatial density of pottery fragments'


The spatial structure of the Ariyoshi North Shell Mound North Slope Shell Layer was found to be concentric, not uniform, mottled, or multipolar, as determined by the concentration of pottery fragments. I think it is noteworthy that we were able to visualize the spatial structure of the sloping shell layers.


有吉北貝塚北斜面貝層の空間構造は、土器破片の密集という指標からみると、一様とか、まだらとか、多極とかではなく、同心円状であったということが判明しました。斜面貝層空間構造を可視化出来たという点で特筆すべきことです。

1 「土器破片の3D空間密集度」の3D分布図(無背景版)

有吉北貝塚北斜面貝層 「土器破片の3D空間密集度」の3D分布図(無背景版)

赤:密集値区分 特大

薄赤:密集値区分 大

薄青:密集値区分 中

青:密集値区分 小

土器破片の密集値は他の全土器破片との距離逆数の総和。

密集値区分は全土器について密集値(r値)をもとめ、その平均値(m値)と標準偏差値(s値)をもとめ、次の基準による。

r>(m+s)あるいはr=(m+s)のとき 密集値区分 特大

(m+s)>r>mあるいはr=mのとき密集値区分 大

m>r>(m-s)あるいはr=(m-s)のとき密集値区分 中

(m-s)>rのとき密集値区分 小

3DF Zephyr v7.017でアップロード


「土器破片の3D空間密集度」の3D分布図(無背景版)画像1


「土器破片の3D空間密集度」の3D分布図(無背景版)画像2


「土器破片の3D空間密集度」の3D分布図(無背景版)動画

2 メモ

2-1 密集値と密集値区分の実際

「土器破片の3D空間密集度」の3D分布図作成は試作であり、密集値算出方法は一般的、便宜的方法であり、単純な方法です。密集値と密集値区分の実際は次のようなグラフになっています。


密集値と密集値区分の実際

2-2 北斜面貝層の空間構造

次の3枚のグラフに見られる通り、「土器破片の3D空間密集度」の3D分布図には北斜面貝層には密集値区分特大→小に至るゾーン構造、つまりトポロジカルな意味での同心円状構造という空間構造が浮き彫りになって可視化されています。


密集値区分 立面正面図


密集値区分 立面側面図


密集値区分 平面図

今回の作業では密集値区分の色分けをたまたま4色にしましたが、この区分をより詳細に行い、色分けを多色化あるいはグラデーション化しても、このトポロジカルな意味での同心円状空間構造に変化が生まれるとは考えられません。

土器破片の密集という指標からみると、北斜面貝層構造が一様とか、まだらとか、多極とかではなく、同心円状であったということが判明したことは特筆すべきことです。なぜこのような構造が成立したのか、興味が湧きます。またこの構造は土器破片投棄という活動の特性と密接に結びついていることはいうまでもありません。このデータを土器型式別に分解するとどうなるか?次の記事で検討します。


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