2023年7月26日水曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 犬埋葬

North Slope Shell Layer of Ariyoshi Kita Shell Mound

Dog burial


Dog burials have been detected in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. Dog burial stratigraphy is the k layer (mixed shell soil layer) before the formation of the slope shell layer. The area around it was a flat terraced topography, and it seems that it was a place of activity. Around the time of Kasori EI.


有吉北貝塚北斜面貝層で犬埋葬が検出されています。犬埋葬層位は斜面貝層形成以前のk層(混貝土層)です。その付近が平坦なテラス状地形になっていて、活動の場となっていたようです。加曽利EⅠ式期頃です。

1 犬埋葬記載

発掘調査報告書に犬埋葬の様子が記載されています。Ⅲ-30メッシュのk層上部から出土しています。



埋葬獣骨

発掘調査報告書から引用

埋葬犬

発掘調査報告書から引用

2 埋葬犬出土場所と層位


埋葬犬出土場所

発掘調査報告書平面図に付記されている位置図から埋葬犬出土場所が判ります。


埋葬犬出土層位

発掘調査報告書記載から埋葬犬出土層位が判ります。なお、より正確な出土高度は遺物台帳で確認する予定です。

3 埋葬犬に基づく貝層発達史に関する考察

k層上部から犬埋葬が確認されたということは、犬埋葬当時その場所が人の活動場所であったことを物語っています。犬埋葬当時の第10断面の地形を復元すると次のようになります。


犬を埋葬した頃の地形推測

ガリー侵食急斜面の下に崩落層急斜面があり、その前面にk層(崩落層二次堆積層)テラス地形と浅い谷があったと推測できます。犬埋葬場所はk層テラス地形と浅い谷地形の境付近であり、この付近が人々の活動の場となっていたと推定できます。

なお、k層の最上面、あるいはk層を覆う斜面貝層の最下部付近から加曽利EⅠ式土器が出土しています。


加曽利EⅠ式土器が出土している様子(Blender3D空間透視画面)

この加曽利EⅠ式土器出土情報から、犬埋葬は加曽利EⅠ式期かそれより少し前であることがわかります。

犬が埋葬されたk層(土の多い混貝土層)は背後の崩落土層の二次堆積層であると考えられます。崩落土層には混貝土層がブロック状に堆積しています。その混貝土層の形成時期はいつ頃であるのか、含まれる土器から探求していくことにします。現状の限られた情報では前期~阿玉台式期頃に古い斜面貝層の形成とそれがガリー侵食で失われ、一部が崩落土として残存するプロセスがあったのではないかと想像します。


0 件のコメント:

コメントを投稿