2023年7月8日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 土器型式別にみた土器破片密集値区分

 North Slope Shell Layer of Ariyoshi Kita Shell Mound

Pottery Fragment Density Classification by Pottery Type


Looking at the pottery fragment concentration value classification by pottery type, the spatial distribution pattern is completely different between the Kasori EII type and other pottery types. There must have been a reason for the sudden peak in the amount of dumping and congestion that occurred during the Kasori EII ceremony. An important learning consideration, a huge interest.


土器型式別に土器破片密集値区分をみると、加曽利EⅡ式と他の土器型式で全く異なる空間分布パターンとなります。加曽利EⅡ式中に突然生まれる投棄量、密集性のピークはそれなりに理由があったに違いありません。重要な学習検討課題、巨大な興味です。

1 土器型式別土器密集値区分別にみた土器破片分布


平面分布


立面正面分布


立面側面分布


統計グラフ

2 考察

2-1 観察

・土器破片数は加曽利EⅡ式中と加曽利EⅡ式中~新が他の型式を圧倒し、密集値区分特大はこの2つの型式でのみ出現します。

・つまりこの2つの型式の時期に土器が集中投棄され北斜面貝層の基本構造ができたと言えます。

・より細かくみると加曽利EⅡ式に突然土器投棄が集中し、かつ密集値区分特大が一番多くなっています。徐々に土器投棄が増えるとか、密集値区分が徐々に高まるということではなく、一気にピークとなっています。投棄量と密集性は加曽利EⅡ式中~新になると少し弱まっているように見ることができます。加曽利EⅡ式新は活動の残滓のように感じられる量、密集性、分布です。

・加曽利EⅡ式古は投棄量がとても少ないのですが、分布パターンがそれ以前の型式より加曽利EⅡ式中と中~新と似ています。

・前期土器、阿玉台式は分布パターンが似ています。またその二つの型式の分布パターンは中峠式及び加曽利EⅠ式と異なっているように観察できます。

・中峠式の分布中心域は明らかにガリー下流部にあります。貝層域外からの出土が多くなっています。

・加曽利EⅠ式の土器破片は少ないのですが、分布中心域はガリー下流部になっています。

2-2 考察

・加曽利EⅡ式中に突然生まれる投棄量、密集性のピークはそれなりに理由があったに違いありません。重要な学習検討課題、巨大な興味です。

・加曽利EⅡ式の土器集中投棄活動のなかで、それ以前の土器(早期~加曽利EⅠ式)がコンタミとして持ち込まれたという想定は排除することができそうです。

・あるいは台地に存在した加曽利EⅡ式以前竪穴住居がガリー侵食で貝層に崩落して、遺物が貝層に混じったという想定も排除できそうです。

・前期土器から加曽利EⅠ式までの土器破片はその当該期に貝層に持ち込まれたと考えることができそうです。この考えは、前期土器や阿玉台式の土器破片が貝層基底部から出土するものがあり、加曽利EⅡ式土器より確実に下位から出土するものがあることから支持できます。

・中峠式土器分布は貝層分布域外にも分布していて、どのような活動のなかで土器が分布するようになったのか興味が深まります。

・ガリー侵食営力、あるいは水流による運搬力が土器投棄により虚弱化したことは確実に想定できます。縄文人がどれほど意識したのか判りませんが、土器投棄活動はガリー侵食営力抑制活動であったといえます。あるいはガリー侵食地形埋め立て活動であったということもできます。


0 件のコメント:

コメントを投稿