2023年10月20日金曜日

有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳のデータベース化の第1歩

 The first step in creating a database of the artifact register related to the north slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound


I have taken the first step in creating a database of artifacts related to the north slope shellfish layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound. A simple analysis of the 3391 artifacts revealed that 65% of the total was bones (animal bones and human bones not classified) and 29% were pottery fragments.


有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳のデータベース化作業の第1歩を踏み出しました。3391遺物について簡易分析したところ、骨(獣骨・人骨未区分)が全体の65%、土器片が29%という結果になりました。

1 学習計画の中における遺物台帳データベース作成の位置


有吉北貝塚北斜面貝層の学習計画の中における遺物台帳データベース作成の位置

有吉北貝塚北斜面貝層の学習計画は次の記事でまとめています。3ヵ年をかける壮大な学習計画となっています。遺物台帳データベース作成はその最初の取り組みです。

2023.09.30記事「有吉北貝塚北斜面貝層の学習計画 発掘原票に基づくデータベース作成と分析

2 遺物台帳データベース化作業のステップ区域

遺物台帳データベース化作業は次のように6ステップ区域に分けて考えています。各ステップ区域の作業が終わった段階で、簡易なまとめ分析を行い、全体分析を有効に進めるための方法等の情報を得ることにします。


有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳データベース化作業の6ステップ区域

3 第1ステップ区域作業結果

第1ステップ区域の遺物総数は3391で、全体の約5.5%になります。簡易的に種別遺物数を集計すると次のようになります。


メッシュ別種別遺物数 表


種別遺物数 グラフ

ここでの遺物種別分けは次の通りです。

土器片…土器片、朱塗土器、土器片一括、土錘等(土器片2次加工物も含んでいます)

石器…石斧、黒曜石、石鏃、石錘、フレーク、フレーク一括、石、礫等(加工品以外も含んでいます)

骨…骨、顎骨、鹿骨、骨一括、歯等(獣骨と人骨の分類は遺物台帳では行われていません)

貝…貝刃、すり貝、貝製品、貝サンプル等(貝サンプルが遺物として含まれています)

その他…灰、スミ、木、フン石等

種別にみると骨が約65%、土器片が約29%、石器が約5%、貝製品が約1%、その他約0.2%という結果になりました。骨の数が遺物総数の中で占める割合が大きいことを知ることができました。なお、遺物台帳ではその区分が行われていませんが、骨には獣骨と人骨が含まれています。

4 第1ステップ区域メッシュ別簡易分析

メッシュ別種別遺物数の分布を立体棒グラフにして並べて観察してみました。


メッシュ別種別遺物数分布図(立体棒グラフ)

分布図を詳しく観察すると、骨の分布には顕著なピークがありますが、土器片にはそれがなく、骨分布パターンと土器片分布パターンは異なることがわかります。


骨と土器片分布パターンが異なる様子

骨と土器片分布パターン相違の検討は現在はできませんが、投棄方法の違い、比重や大きさに起因する地層内移動分級作用の違いなどがかかわっているものと想定します。

4 感想

・遺物台帳画像を見て、それを手入力で電子化するという作業はこれ以上は無いといえるような単調で苦痛を伴う作業です。この単調作業を効率的に行う方法をいつか見つけたいと希望しています。

・一方、約40年まえの発掘原票をはじめて電子化(データベース化)する意義はとても大きなものがある考えますので、それが作業推進の大きな原動力となっています。

・遺物台帳を最初の1ページから全部読む作業をしていることになりますが、単調な電子化作業の中で、40年前発掘担当者の思考の一端が理解できるように感じることができ、とても不思議な感覚を味わっています。

・貝層や地形との関係分析はもっと電子化作業を進めてから行うことにします。

・遺物分類も今後データが増えた段階で再検討することにします。


次の記事で遺物の標高分布について簡易検討します。


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