2011年9月18日日曜日

子和清水遺跡の出土物閲覧5

11 縄文時代出土物 石鏃(せきぞく) つづき

子和清水遺跡出土の縄文石鏃例
左よりチャート製、チャート製、黒曜石製

●参考 さち(幸)
「さち」という言葉が、石鏃が主構成物である矢から直接発生していることを確かめましたので、そのメモを記録しておきます。

「さ」【矢・箭】矢の古称か。語源未詳。

「ち」【霊】[語素]神や自然の霊の意で、神秘的な力を表す。「みずち(水霊)」「のずち(野霊)」「おろち(大蛇)」「やふねくくぢのみこと(屋船久久遅命)」など。

「さち」【幸】①獲物を取るための道具。また、その道具のもつ霊力。②漁や狩の獲物の多いこと。また、その獲物。③(形動)都合のよいこと。さいわいであること。しあわせ。幸福。

以上国語大辞典(小学館)

元来、矢のことを「さ」と呼んでいて、矢が獲物をもたらす霊力を有していることから、矢を「さち」と呼んだ。その矢(さち)が多くの獲物をもたらすので、獲物のおおいことや獲物そのものも「さち」と呼んだ。ということだと思います。

さらに獲物を多くもたらす矢を「さちや」「さつや」(幸矢、猟矢)、獲物を多くもたらす弓を「さちゆみ」「さつゆみ」(幸弓、猟弓)、魚のよく釣れる釣り針を「さちち」(幸鉤)と呼ぶようになったのだと思います。

閲覧した縄文石鏃は、縄文人にとっては単なる道具ではなく、それに「獲物をもたらす神秘の力(霊力)」を感じていた特別の道具であったものと想像します。

(つづく)

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