2011年12月30日金曜日

谷中分水界の位置

芦太川が東京湾側水系の長作川(花見川支川)によって頭部を切られた部分を3D表現してみました。

芦太川截頭部(立体地図表現)
5mメッシュ+カシミール3Dによる

芦太川截頭部(地形レリーフ表現、1m単位)
5mメッシュ+カシミール3Dによる

この図を使って谷中分水界の基本的な説明をします。

芦太川截頭部の説明図

小崖
この附近では下総上位面(下末吉面相当)が東西方向の高さ3m程度の小崖によって区切られて、高度が異なって存在しています。
この小崖は北側で隆起し、南側で沈降した地殻変動を表現しているものと考えられています。
以前、東京湾北縁活断層の一部と考えられていたものです。ただし、東京湾北縁活断層の存在は近年否定されました。
この小崖は花見川を越して東側の台地にも連続して観察できます。

小崖 天戸町

芦太川の想定延長部
この小崖のところでたまたま長作川の谷頭侵食により芦太川の浅い谷地形は一旦なくなります。
芦太川の浅い谷地形は小崖ができる前からあったものですから、小崖の南にその断片がある可能性が濃厚です。
地形レリーフ図から小崖南側に浅い谷地形の断片があり、これが芦太川の上流部である可能性が濃厚です。

谷中分水界の位置
谷中分水界の位置は道路が放射状に発達する起点となっている場所で、ここが印旛沼水系と東京湾水系の地形上のもともとの分水界となっています。
現在の道路も同じ場所で6差路となっていて、「花見川三小西側」交差点となっています。
道路やビルの盛土によって事前の情報がなければ谷中分水界とは誰も気がつきませんが、事前の情報があれば、谷中分水界を体感認識できます。

谷中分水界の北側
遠方で道路が下っている。

谷中分水界の西側
道路が上っていて、谷斜面が迫っている。

谷中分水界の南側
道路盛土によりこの場所からは認識できないが、南に移動すると道路が下る。

谷中分水界の東側
道路が上っていて、 谷斜面が迫っている。

谷中分水界付近でだけ、芦太川の浅い谷が間近に迫った狭い谷になっており、この附近で最も隆起が激しかったことを想像できます。

別の谷中分水界
なお、この谷中分水界とは別に芦太川の西側の支川の源頭部も谷中分水界となっていて、高津川の支川の谷にそのまま移行しています。
地殻変動にかかわると考えられるこの現象も興味を誘いますので、いつか検討してみたいと思います。

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