2018年7月13日金曜日

竪穴住居祉屋外炉

大膳野南貝塚後期集落のJ92竪穴住居祉(漆喰貝層無竪穴住居)に屋外炉が建設されて長期間使われていたと想定できるのでメモしておきます。

1 場所

J92竪穴住居の場所

2 断面・土層及び発掘状況写真から想定した屋外炉

J92竪穴住居祉に建設された大型土器用屋外炉(想定) 大膳野南貝塚発掘調査報告書の素図に加筆

J92竪穴住居祉に建設された大型土器用屋外炉(想定) 大膳野南貝塚発掘調査報告書の素写真に加筆

屋内炉を切って大きく深い土坑(発掘調査報告書ではピット)がいくつも掘られていて、その土層の焼土分布からこれらの土坑は大型土器用屋外炉であると想定しました。土器設置穴と考えられる穴が4カ所あります。土器設置穴は大型土器を埋めて加熱調理し、その後土器をとり出すという作業を何回も繰り返して大きくなりすぎて最後は使えなくなり、隣接した場所に新規の設置穴を作り直すという作業を繰り返していたものと考えられます。

3 J92竪穴住居出土略完形土器
J92竪穴住居屋内炉東側の床直上から略完形土器が2器出土しています。そのうち1は口径20㎝、底径9.5㎝、器高39.5㎝でススが底から15㎝より上に付いています。
この土器の火炎跡はこの竪穴住居祉屋外炉で加熱調理に使われた時に付いたものと考えられます。

J92竪穴住居出土略完形土器の煤の跡

4 屋外炉のイメージ
J92竪穴住居祉屋外炉の燃焼面と土器設置穴は次のようにイメージできます。

大型土器用屋外炉

5 考察
漆喰貝層有竪穴住居住人の屋外炉は屋外漆喰炉が全部で8基あります。漆喰貝層無竪穴住居住民の屋外炉は416号土坑がその一つであると考えましたが、J92竪穴住居祉屋外炉が2つ目の例となります。
2018.07.07記事「縄文時代野外調理場」参照


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