2026年5月30日土曜日

感想 型式別土器情報を貝層断面図に投影して気がついたこと

 Observations: What I noticed when projecting pottery fragments by type onto a cross-sectional view of a shell bed


I observed pottery fragments within a 0.5m wide box, projected by type onto a cross-sectional view of a shell bed. Unexpectedly, I observed a reversal where newer pottery was at the bottom and older pottery was at the top. This gave me the impression that I was touching upon the dynamics of the development of sloping shell beds.


前後0.5m幅のボックス内の土器破片を型式別に貝層断面図に投影して観察しました。予想外として、新しい土器が下、古い土器が上という逆転状況が観察できます。斜面貝層発達のダイナミックスに触れているという感想を持ちました。

1 第5断面の型式別土器投影図

第5断面を軸に前後0.5m幅のボックス(スリット)を設定し、そのボックス内の土器破片を型式別に第5断面図(貝層断面図)に投影しました。

なお、第5断面ボックスには早期土器、前期土器、阿玉台式土器、加曽利EⅠ式土器、加曽利EⅡ式古段階土器は出現しません。

1-1 中峠式土器


中峠式土器

1-2 加曽利EⅡ式中段階土器


加曽利EⅡ式中段階土器

1-3 加曽利EⅡ式中~新段階土器


加曽利EⅡ式中~新段階土器

1-4 加曽利EⅡ式新段階土器


加曽利EⅡ式新段階土器

2 観察できる特徴

2-1 斜面性貝層

斜面性貝層(断面で左上から右下方向に分布する貝層)で型式別土器片があるのは中峠式土器だけです。この様子は以前から想定していた様子と変化ありません。

2-2 流路性貝層

流路性貝層(断面と垂直の方向の流れに対応する貝層)における型式別土器片分布を概観すると、型式別土器片分布の下限が下から上に加曽利EⅡ式新段階土器→加曽利EⅡ式中~新段階土器→加曽利EⅡ式中段階土器になっています。

この様子は全く予想外です。

一般論として、古い土器は下に新しい土器は上にくるのが世の常ですが、北斜面貝層では上流の浸食により、古い土器も新しい土器もごちゃまぜになっているに違いないと想定していました。つまり地層累重の法則は成り立たないで、新旧土器が混じっているに違いないと想定していました。

ところが結果はその想定と異なり、極端に言えば、地層累重の法則と真逆になっていると言えなくもありません。

この様子は第5断面だけでなく、多くの断面で観察できます。

3 感想(解釈の候補)

第5断面及び他の断面で型式別土器片分布の下限が下から上に加曽利EⅡ式新段階土器→加曽利EⅡ式中~新段階土器→加曽利EⅡ式中段階土器になっている事象について、今後詳しく検討しますが、現時点における解釈の候補をメモします。

・斜面貝層は型式別土器の順番で下から上に土器破片が出土するに違いない。

・流路性貝層は加曽利EⅡ式新段階土器(つまり北斜面貝層の最終段階)の時代に顕著なガリー侵食活動があり、谷頭部で投棄されていた加曽利EⅡ式新段階土器が浸食運搬されガリ谷底に堆積した。

次いで生じたガリー侵食活動で、加曽利EⅡ式新段階土器の下に堆積していた加曽利EⅡ式中~新段階土器が侵食運搬され、先に堆積した加曽利EⅡ式新段階土器の上に堆積した。

さらに生じたガリー侵食活動で、加曽利EⅡ式中~新段階土器の下に堆積していた加曽利EⅡ式中段階土器が侵食運搬され、先に堆積した加曽利EⅡ式中~新段階土器の上に堆積した。


一度谷頭部で地層累重の法則にしたがって堆積した貝層が、侵食作用の妙により、上から剥がされ、下から上に堆積し直したという考えです。


斜面貝層発達のダイナミックスに触れたという感覚が生まれ、学習意欲が否が応でも増進します。


また、型式別土器情報を断面図に投影する技術(Blender、Python、geometry nodes)の意義の特段の大きさにも気が付きました。

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