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2026年6月2日火曜日

メモ 型式別土器情報の層位的逆転現象 その2

 Memo: Stratigraphic Inversion Phenomenon in Pottery Information by Type - Part 2


Following the fifth section of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, the second section also exhibits a phenomenon of stratigraphic inversion in the pottery excavation information by type. The shell layer in the second section can be said to consist almost entirely of secondary deposition due to high-concentration flows or collapse layers.


有吉北貝塚北斜面貝層の第5断面につづき第2断面も型式別土器出土情報が、層位的に逆転する現象が見られます。第2断面の貝層はほとんど全て高濃度流による二次堆積か崩落層であると言えます。

1 第2断面 ±0.5m幅ボックス内土器片の投影図


第2断面 ±0.5m幅ボックス内土器片の投影図

土器型式として最も新しい加曽利EⅡ式新段階土器が貝層の最下部付近から出土しています。従って、加曽利EⅡ式新段階土器出土層位より上部の層位は全て加曽利EⅡ式新段階土器の時代に堆積したものです。その中に加曽利EⅡ式新段階土器より古い土器が含まれている理由は、古い土器が含まれていた古い貝層が、加曽利EⅡ式新段階の時期に高濃度流によって流れ出し、この付近に堆積したからだと想定します。

図中の赤い点線は、少なくともこの点線より上の貝層は加曽利EⅡ式新段階の時期のものであることを染めします。


第2断面の位置


参考 発掘調査報告書掲載 第2断面(塗色は引用者による)

2 メモ

第2断面も第5断面も流路性貝層のほとんどが加曽利EⅡ式新段階期の高濃度流によるものであるという予備解釈になりました。今後他の断面に作業をひろげ、同じ結果がえられるのか、確認します。


2026年5月31日日曜日

メモ 型式別土器情報の見かけ上の層位的逆転現象

 Note: Apparent Stratigraphic Inversion Phenomenon in Pottery Information by Type


At the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, a phenomenon of apparent stratigraphic inversion is observed in the information regarding the excavation of pottery by type. This is tentatively interpreted as a phenomenon caused by high-concentration flow (an event based on the same principle as a debris flow).


有吉北貝塚北斜面貝層では型式別土器出土情報が、見かけ上、層位的に逆転する現象が見られます。高濃度流(土石流と同じ原理の事象)に起因する現象であると予備解釈しました。

1 第5断面 ±0.5m幅ボックス内土器片の投影図


第5断面 ±0.5m幅ボックス内土器片の投影図

出土した土器片では最も新しい型式である加曽利EⅡ式新段階土器が、最下層の貝層から出土しています。地層累重の法則からみると、見かけ上層位的逆転現象が見られます。

2 逆転現象の解釈(予備解釈)


第5断面 加曽利EⅡ式新段階時期に発生した高濃度流の断面範囲(予備解釈)

図のB部分を加曽利EⅡ式新段階時期に発生した高濃度流(土石流と同じ原理の事象)の堆積物であると解釈します。従って、B部分では地層累重の法則は成り立ちません。

3 参考 類似事例


逆転文化層序の事例

マイケルRウォーターズ著「ジオアーケオロジー」(熊井久雄・川辺孝幸監修、朝倉書店、2012年)から引用

この事例は斜面の土壌葡行に起因するものです。


2026年5月30日土曜日

感想 型式別土器情報を貝層断面図に投影して気がついたこと

 Observations: What I noticed when projecting pottery fragments by type onto a cross-sectional view of a shell bed


I observed pottery fragments within a 0.5m wide box, projected by type onto a cross-sectional view of a shell bed. Unexpectedly, I observed a reversal where newer pottery was at the bottom and older pottery was at the top. This gave me the impression that I was touching upon the dynamics of the development of sloping shell beds.


前後0.5m幅のボックス内の土器破片を型式別に貝層断面図に投影して観察しました。予想外として、新しい土器が下、古い土器が上という逆転状況が観察できます。斜面貝層発達のダイナミックスに触れているという感想を持ちました。

1 第5断面の型式別土器投影図

第5断面を軸に前後0.5m幅のボックス(スリット)を設定し、そのボックス内の土器破片を型式別に第5断面図(貝層断面図)に投影しました。

なお、第5断面ボックスには早期土器、前期土器、阿玉台式土器、加曽利EⅠ式土器、加曽利EⅡ式古段階土器は出現しません。

1-1 中峠式土器


中峠式土器

1-2 加曽利EⅡ式中段階土器


加曽利EⅡ式中段階土器

1-3 加曽利EⅡ式中~新段階土器


加曽利EⅡ式中~新段階土器

1-4 加曽利EⅡ式新段階土器


加曽利EⅡ式新段階土器

2 観察できる特徴

2-1 斜面性貝層

斜面性貝層(断面で左上から右下方向に分布する貝層)で型式別土器片があるのは中峠式土器だけです。この様子は以前から想定していた様子と変化ありません。

2-2 流路性貝層

流路性貝層(断面と垂直の方向の流れに対応する貝層)における型式別土器片分布を概観すると、型式別土器片分布の下限が下から上に加曽利EⅡ式新段階土器→加曽利EⅡ式中~新段階土器→加曽利EⅡ式中段階土器になっています。

この様子は全く予想外です。

一般論として、古い土器は下に新しい土器は上にくるのが世の常ですが、北斜面貝層では上流の浸食により、古い土器も新しい土器もごちゃまぜになっているに違いないと想定していました。つまり地層累重の法則は成り立たないで、新旧土器が混じっているに違いないと想定していました。

ところが結果はその想定と異なり、極端に言えば、地層累重の法則と真逆になっていると言えなくもありません。

この様子は第5断面だけでなく、多くの断面で観察できます。

3 感想(解釈の候補)

第5断面及び他の断面で型式別土器片分布の下限が下から上に加曽利EⅡ式新段階土器→加曽利EⅡ式中~新段階土器→加曽利EⅡ式中段階土器になっている事象について、今後詳しく検討しますが、現時点における解釈の候補をメモします。

・斜面貝層は型式別土器の順番で下から上に土器破片が出土するに違いない。

・流路性貝層は加曽利EⅡ式新段階土器(つまり北斜面貝層の最終段階)の時代に顕著なガリー侵食活動があり、谷頭部で投棄されていた加曽利EⅡ式新段階土器が浸食運搬されガリ谷底に堆積した。

次いで生じたガリー侵食活動で、加曽利EⅡ式新段階土器の下に堆積していた加曽利EⅡ式中~新段階土器が侵食運搬され、先に堆積した加曽利EⅡ式新段階土器の上に堆積した。

さらに生じたガリー侵食活動で、加曽利EⅡ式中~新段階土器の下に堆積していた加曽利EⅡ式中段階土器が侵食運搬され、先に堆積した加曽利EⅡ式中~新段階土器の上に堆積した。


一度谷頭部で地層累重の法則にしたがって堆積した貝層が、侵食作用の妙により、上から剥がされ、下から上に堆積し直したという考えです。


斜面貝層発達のダイナミックスに触れたという感覚が生まれ、学習意欲が否が応でも増進します。


また、型式別土器情報を断面図に投影する技術(Blender、Python、geometry nodes)の意義の特段の大きさにも気が付きました。