2011年5月14日土曜日

緑の基本計画と勝田川谷津

 勝田川流域紀行6 緑の基本計画と勝田川谷津

 勝田川谷津は現在河川改修が行われており、花見川合流部から上流約2.7kmくらい上流までは、河川を境に北側が八千代市、南側が千葉市になっています。

            勝田川谷津の自治体境界線

 この区間は谷津の谷底平野が水田となっていて広々しており、台地縁の斜面は樹林となっていて田園的自然的風景が残っています。近隣に居住している人々の散歩の場としても活用されています。

 この勝田川谷津が緑地行政上どのように位置づけられているか、八千代市と千葉市の「緑の基本計画」で確認してみました。

1千葉市の位置づけ
 「千葉市緑と水辺の基本計画」(都市緑地保全法に規定する「緑地の保全及び緑化に関する基本計画」〔通称「緑の基本計画」〕)における勝田川谷津の位置づけの特徴
ア 勝田川谷津を含むゾーンが「中央環状緑地軸(歴史と木立の緑地軸)」として位置づけられている。
イ 中央環状緑地軸の特徴として「既成市街地を取り巻く環状の緑」「貝塚等史跡と一体となった樹林地が多い」「最も開発圧が高い緑地」が記述されている。
ウ 中央環状緑地軸の保全・整備の方向として「樹林地、農地の保全と活用」「自然型大規模公園の配置」「市民の週末田園レクリエーションの場の整備」「優れた自然地域を多数含み、これらの環境を保全しつつ、植物や動物とふれあう場の整備」が記述されている。
エ しかし、「千葉市緑と水辺の基本計画」では勝田川名称あるいは勝田川谷津が独自に扱われることはなく、それが含まれる中央環状緑地軸説明(上記イ、ウ)も勝田川谷津以外の地域を主にイメージしている。
オ 「千葉市緑と水辺の基本計画」から勝田川谷津についての具体的施策を読み取ることはできない。


            千葉市緑の将来像

            千葉市緑地軸の機能・特徴・保全・整備の方向

2八千代市の位置づけ
「八千代市緑の基本計画」のおける勝田川谷津の位置づけの特徴
ア 勝田川が緑の骨格軸として位置づけられている。
イ 同時に「勝田川周辺保全配慮地区」として重点施策地区に指定されている。
ウ 「勝田川周辺保全配慮地区」の基本方針として、「勝田川を中心に形成される緑豊かな自然環境の保全を一体的に図るため、施設緑地の配置や、地域制緑地制度の活用を効果的に行い、「緑の骨格軸」を実感できる緑とすることを目指します。」が記述されている。

            八千代市緑の将来構造図

            八千代市重点施策位置図

            勝田川周辺保全配慮地区の基本方針

感想
「千葉市緑と水辺の基本計画」では花見川、都川、鹿島川が河川として扱われていますが、勝田川が独自に扱われることはなく残念です。千葉市は勝田川と谷津の環境上の価値をもっと積極的に評価してもよいと思います。積極的に評価されなかった理由・背景として次のようなことを想像します。
ア 勝田川が市境になっていて、河川や谷津を「丸ごと」扱えないので、緑地計画意欲が中途半端にしか湧かなかった。
イ 国道16号の地域分断効果を是認し前提と考えるため、横戸台団地やこてはし台団地の居住環境として勝田川とその谷津を捉えていないこと。
ウ 勝田川より南の地域一体が戦前まで陸軍演習場となっていて、地域づくりの推進母体となるような集落(市街地)の存在が希薄であり、勝田川とその谷津の環境上の価値を享受する主体が明確でないこと。
エ 千葉市としては千葉都心の都市づくりに興味が集中し、市域縁辺僻地にまで関心を持つ計画立案上の心理的余裕がないこと。

一方「八千代市緑の基本計画」では勝田川の環境上の価値は正当に(=オーソドックスに)評価されています。勝田川とその谷津環境が勝田台団地等の居住環境として重要であることは誰でも実感できます。

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