2013年11月25日月曜日

レーキ状水系パターン

花見川流域の小崖地形 その62 (5mメッシュDEM図を読む 1)

千葉県北部地域を対象に航測レーザ測量による5mメッシュDEMにより地形段彩図を作成し、褶曲変位地形がどのようになっているのか、その概略を知り、問題意識を深めいたいと思います。

地形段彩図の1例
偶然生まれた段彩区分であるが、どのような標高レベルでも水系パターンを詳細に観察できる。

次のような事象を観察して、記事にしていきたいと思っています。(事象リストは確定したものではありません。また順不同です。)
●レーキ状水系パターン(活向斜軸が存在か)
●ミニ地溝のような地形(活地溝が存在か)
●弧状の小崖地形(活断層が存在か)
●オタマジャクシ状の台地凹地(局地的沈降部か)
●下総台地東部隆起帯における東北東方向を示す特徴的水系パターン
●下総台地西部隆起帯と下総台地東部隆起帯の合部付近の地形
●下総下位面の分布

この記事ではレーキ状水系パターンについて検討を始めます。

1 レーキ状水系パターンという仮称の設定
花見川流域の印旛沼水系がなす水系パターンは大変特徴のある形状をしており、私は庭で使うレーキの先っぽを想起しました。そこで、このブログではこの水系パターンをレーキ状水系パターンと仮称することにします。
(以前千葉県立中央博物館地学研究科の方々にお話しをおうかがいしたところ、花見川流域にあるような水系パターンに名前が付けられていることはないとお伺いしました。)

花見川流域の水系網

レーキ状水系パターンのイメージ

2 レーキ状水系パターンの形成仮説

レーキ状水系パターンの形成仮説を次のように考えます。

ア 下総上位面(下末吉面)が離水してすぐに、下総上位面(下末吉面)の最大傾斜方向に原始谷津が平行して刻まれる。

最初の原始谷津

イ 原始谷津の流向と直角に近い角度で縦ずれ断層(実は横ずれ量の方がはるかに大きい断層)や向斜軸・背斜軸等が発達して(※)、原始谷津の多くが断層崖や向斜軸・背斜軸等に阻まれ、それらの軸線に沿って流れるようになる。しかし、断層崖や向斜軸・背斜軸等を乗越えて流下する河川も生まれ(※※)、先行河川として生き残る。これによりレーキ状水系パターンの原形が生まれる。

原始谷津を堰き止める地殻運動の発生

先行河川の発生によるレーキ状水系パターン原形の完成

ウ レーキ状水系パターンがその後の地形発達の中でも、保守維持され、はるかに深い谷形状に修飾され、現在に至る。


※ 原始谷津の流向と直角に近い角度で縦ずれ断層や向斜軸等が発達することから、下総上位面(下末吉面)の離水そのものに、後に断層線や向斜軸・背斜軸等の地殻運動を引き起こす地殻運動(つまり下総台地西部隆起帯と下総台地東部隆起帯をつくる運動)がすでにかかわっていたと考えることができます。(この記述は間違っています。2013.11.30記事「続 4つの真性レーキから判ること(訂正と各部名称)」参照)

※※断層線や向斜軸・背斜軸等に沿って細長い湖沼が一時的に生まれ、その後そこからの溢水により先行河川が生まれることが多かったのではないかと想像しています。

このように考えると、レーキ状水系パターンは下総上位面離水直後の水系網の状況と地殻運動を記録した貴重な意義のある地形であるということができます。

つづく
レーキ状水系パターンの主な分布、考察等は次の記事で行います。

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