2013年12月16日月曜日

10万年前の印旛沼に隠された大ドラマ

花見川流域の小崖地形 その76 (5mメッシュDEM図を読む 15

1 和良比レーキと吉岡レーキを離れる
和良比レーキと吉岡レーキが周辺の地形とどのように関わるのか大変興味が湧きます。特にその西に位置する花見川流域の小崖地形との関わりについては突っ込んだ検討をしたいと思っています。
しかし千葉県北部の褶曲変位地形の概要(主要モデル)を全部見て、地形を広く実態把握して勘と知識を増やしてから、花見川流域に関わる詳細検討に戻りたいと思っています。

現在、千葉県北部の褶曲変位地形は様々なタイプの地形モデルがパッチワーク状に分布していると考えはじめています。
私が事前に想定していたような規則的な地形分布観では捉えきれないように感じています。
こうした類の地形大局観をしっかりと持てるようになってから、花見川流域に戻りたいと思っています。

そういうことで、和良比レーキと吉岡レーキの検討から離れて、印旛レーキの検討に移ります。

2 真性レーキに関する再説明(これまでの説明の要約)
印旛レーキの検討に入る前に、これまでの真性レーキの説明を要約し、その考え方を確認しておきます。

ア レーキ状水系パターン
褶曲変位地形における水系パターンの一つの特異な類型をレーキ状水系パターンと仮称しました。

レーキ状水系パターンのイメージ
2013.11.25記事「レーキ状水系パターン」参照

イ 真性レーキの定義とその分布
レーキ状水系パターンの内、断層や褶曲など地殻変動によって形成されたパターンを「真性レーキ」とし、普通の樹枝状水系パターンがたまたまレーキ状の見えるようになったものを「擬似レーキ」として、区分しました。

レーキ状水系パターン、真性レーキ、擬似レーキの定義
2013.11.27記事「真性レーキと擬似レーキ」参照

真性レーキと擬似レーキの分布
2013.11.27記事「真性レーキと擬似レーキ」参照

ウ 真性レーキ形成の仮説と各部名称
真性レーキ形成の仮説を次のように考え、真性レーキの成分各部に名称を与えました。

真性レーキ形成の仮説

真性レーキ形成の各部名称

3 印旛レーキの当初の見立て
印旛レーキは当初(2013.11頃)次のように見立てていました。

印旛レーキの当初(2013.11頃)の見立て

参考 印旛沼水系付近の地形段彩図

4 印旛レーキの当初見立てに関する疑問
勝田高津レーキ、柏井レーキ、和良比レーキ、吉岡レーキと検討してきて、真性レーキという考え方で褶曲変位地形の1つの特徴を説明できると自信を深めてきました。

ところが、印旛レーキの当初の見立てについては次のような疑問が浮かびます。

印旛レーキの当初見立てに関する疑問

これらの疑問を解決しようとして、過去の文献等を読むと下総上位面や下総下位面が形成された頃の地形や堆積環境(地質)に関するものが見つかりました。

そして、どうも印旛レーキのB軸に関して、まだ解き明かされていない地史上の大ドラマが存在していると予感されました。

そこで、単に自分が考えた真性レーキという概念に印旛沼水系が当てはまるかどうかといった狭い観点からではなく、印旛レーキのB軸(つまり印旛沼)がどのようにして形成されたかという地史に関する情報を詳しく学習することが千葉県北部の褶曲変位地形を知る上で必須であることに気がつきました。

幸い、5mメッシュ(標高)とそれを駆使して自由に分析検討できるGISがあります。

過去の主要地形地質文献をこの5mメッシュ(標高)情報と照らし合わせながら学習することによって学術レベルの情報を自分なりに咀嚼し、印旛レーキB軸の成因に関して自分なりの考えを持つことが出来るのではないかと思います。

印旛レーキB軸の成因に関するイメージを自分なりに持つことが出来れば、真性レーキという概念を印旛沼水系全体に投影したという私の思考がどの程度適切であったのかということもわかると思います。

しばらく、下総上位面と下総下位面が形成されたころの地象を対象とした学術文献の学習を行い、その学習を入れ子記事として掲載します。

このシリーズの話題が何重にも入れ子になってしまい、いささかまずいと思っていますが、ご容赦ください。

私の趣味思考(興味思考)の構造が入れ子構造になっているのかもしれません。


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