2013年12月18日水曜日

印旛沼筋下総下位面の類型化

花見川流域の小崖地形 その78 (5mメッシュDEM図を読む 17

1 印旛沼筋下総下位面の縦断面図の位置対応図
印旛沼筋下総下位面の縦断面図の位置対応図を作成しました。

印旛沼筋下総下位面の縦断面図の位置対応図

2 異常値の確認
GIS(地図太郎PLUS)画面上で縦断図と平面図の両方で同じカーソル(赤丸)を動かすことが出来ますので、その機能を使い、異常値と考えられる情報を確認しました。
次の異常値を確認することが出来ました。

白井市の宅地造成地

縦断面図で、この出っ張りを自然地形として使わないことにします。

他の箇所についても検討しましたが、人工改変による顕著な標高変化はみられませんでした。

3 印旛沼筋下総下位面の縦断高度分布による類型化
縦断図の標高分布の最高点と接する包絡線を描き、その包絡線を印旛沼筋下総下位面の本来の高度であると仮定しました。包絡線より低い標高部分は浸食の影響を受けているという考え方です。

包絡線を描くと次のようになり、地形面を4つに類型化できます。

印旛沼筋下総下位面の縦断高度分布による類型化

包絡線の分布、つまり、印旛沼筋下総下位面の縦断高度分布から、地形面は次の4つに類型化できます。

ア面:手賀沼北岸の台地、手賀沼南岸の台地、金山落と神崎川の間の台地の北半の3箇所の台地に分布する下総下位面です。
手賀沼と金山落の間の台地の標高がその南北と比べて高くなっていて、特徴的です。
金山落とその南の台地の平面分布は北西に凸の弓形状になっています。
地殻変動による変位を直接表現していると考えられます。

イ面:神崎川の両岸の台地に、周囲から落差12mの高度を持つ、帯状の下総下位面です。北西に凸の弓形状に分布します。
地殻変動による変位を直接表現していると考えられます。

ウ面:南東から北西に向かって高度を下げる特徴を有し、面積が広い地形面です。この地形面を刻む二重川の谷津やその東の谷津は北に向かっており、この地形面の高度分布と整合的です。
二重川の谷津やその東の谷津の北に向かう方向は、現在の神崎川本流の流れの方向、つまり北西から南東に向かう方向とは逆らう関係にあります。
ウ面は新川(平戸川)沿いに分布する下総下位面と同一面であると考えられ、そうだとすると、ウ面は新川(平戸川)の上流の勝田川付近から北(あるいは北北西)方向に向かった流れをイメージさせます。
ウ面は次のエ面を縦断方向に刻むように分布するように理解できます。つまり、ウ面はエ面より時間軸上では後に形成された地形面のようにイメージできます。

エ面:新川(平戸川)付近から印旛沼の下流部付近まで分布する地形面であり、高度があまり変化しません。見かけ上鹿島川付近が高くて、その両側が低くなるように表現されていますが、そうした傾向が真であるかは、テスト用の1本の縦断線の情報だけですので、不明です。
エ面はウ面に刻まれています。
ウ面は新川(平戸川)の上流に分布する発達した下総下位面と連続するように想定できます。
一方エ面は新川(平戸川)より流域の広い鹿島川沿いに分布がほとんどありません。
エ面とウ面の特徴の違いが明白であり、印旛沼筋下総下位面の形成プロセスを考える上で示唆に富んだ情報となっていると思います。

ウ面とエ面の分布イメージ図
このような分布イメージが本当であるか、及びこうした地形面分布が意味する事柄をこれから検討したいと思います。

テスト用に作成した縦断図ですが、杉原(1970)の地形分類図と突き合わせることによって、思いの外有用な情報が得られたと思います。
縦断図だけでなく横断図も作成し、また他の学術文献等も参考にして、印旛沼筋の地形ドラマについて解き明かしたいと思います。

検討の橋頭堡は築けました。

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