2015年6月22日月曜日

八千代市北海道遺跡の墨書土器出土状況

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.154 八千代市北海道遺跡の墨書土器出土状況

八千代市北海道遺跡の墨書土器の検討に入ります。

白幡前遺跡、井戸向遺跡と同レベルで検討するために、墨書土器対竪穴住居出土率(S)の把握、分級、分布について検討しました。

墨書土器対竪穴住居出土率(S)の値、分級基準
墨書土器出土数の値はwebサイト明治大学日本古代学研究所で公表している千葉県墨書土器データベースファイルを用いました。

墨書土器は官人が一般人を動員する組織活動に際して生まれた風習であると考えます。
文字を使うことによって効果的な一般人動員が行われ、その際に個人用祈願ツールとして墨書土器が普及したと考えます。

従って、墨書土器が出土するということは文字(漢字)の威力(魔力)を実感している人々…官人に動員組織されプロジェクトに参加している人々がそこにいたことを示していると考えます。

また、場合によっては、墨書土器が組織による配給や給食の文字通りの受け皿として使われたのかもしれません。

墨書土器はあくまでも組織の中の産物と考えます。
いわゆる産物を上納するだけの一般農民は墨書土器とはあまり縁が無かったと考えます。

竪穴住居数は人口数に比例すると考えられますから、墨書土器対竪穴住居出土率(S)が高いことは人口あたり墨書土器数が多いことになり、それは組織活動が活発であったことを示していると考えます。

このような観点から、上記のSの分級は次のようなイメージでとらえることができます。

分級a…………………分級b…………………分級c
組織活動活発イメージ←→組織活動虚弱イメージ

この分級を地図で示すと次のようになります。

ゾーン別墨書土器対竪穴住居出土率(S)分級図

参考 白幡前遺跡、井戸向遺跡のゾーン別墨書土器対竪穴住居出土率(S)分級図

北海道遺跡ではⅣゾーンのみ分級bで、他のゾーンは全て分級cです。

この結果からⅣゾーンでは官人による組織活動が行われたと考えます。Ⅳゾーンでは銙帯が出土し、掘立柱建物も9棟あるので、官人組織活動と整合します。

次の検討でTとSのクロス検討を行います。

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