2015年8月21日金曜日

萱田遺跡群の出土土器検討着手

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.189 萱田遺跡群の出土土器検討着手

8月9日以降墨書土器閲覧の感想と地名データベース活用効果検討の記事を連載したため、萱田遺跡群検討が中断してしまいました。

今日から萱田遺跡群検討の最後のテーマである出土土器の検討を始めます。

各遺跡発掘調査報告書から遺構別出土土器情報をexcelでデータベース化して検討します。

出土土器検討の趣旨は、発掘情報を統計的処理してそのゾーン別特徴を把握することによって、各ゾーンの特性を浮き彫りにしようとすることにあります。

遺跡の特性、ゾーンの特性をリアルにイメージできるようにすることによって、私が考えている東海道水運支路仮説を支持する有用情報が増えると考えています。

私にとって満足すべき結果が、これからの作業で予定調和的に訪れるという保証は目星がついているわけではありませんが、とにもかくにも検討に入ります。

この記事では遺跡別出土土器数を紹介します。

次のグラフは萱田遺跡群の遺跡別出土土器数です。

萱田遺跡群の出土土器数
各遺跡発掘調査報告書から集計
出土土器の内次の器種は集計から除外
集計除外器種…カマド、瓦塔、紡錘具(土器リサイクル品)、陽物

白幡前遺跡が他の遺跡の3倍あります。
白幡前遺跡以外の遺跡の出土数は近似しています。

この結果を竪穴住居数で除して分析してみます。

出土土器は食器・調理容器・飲食物保存容器等として使われた基本的な生活用具です。
(出土土器の器種の検討は改めて行います。)

ですから出土土器数を竪穴住居数(≒ある期間の人口数)で割ると、「人口あたり土器数」つまり「食器等の基本的な生活用具の豊富さ」をイメージすることができると思います。

萱田遺跡群の竪穴住居数は次の通りです。

萱田遺跡群の竪穴住居数

竪穴住居1軒あたりの出土土器数は次の通りとなります。

竪穴住居1軒あたりの出土土器数

白幡前遺跡→井戸向遺跡→北海道遺跡と竪穴住居1軒あたり出土土器数が減少しますが、この傾向はこれまでこのブログで検討してきて得た遺跡間の権力構造や豊かさのイメージと一致します。
このような傾向がゾーン別器種別にみるともっと際立った傾向が表れるのか、表れないのか、興味が湧きます。

また、権現後遺跡が特段に多いことは、この遺跡が土器生産団地であるという要因のよるものであることが推察できます。
権現後遺跡で作成されていた土器の器種がどんなものか、器種種別出土数や別の指標から判るか、判らないのか興味が湧きます。

今後、整理した土器情報を使って、次のような点について検討を深めるつもりです。

●土器数の情報を遺跡ゾーン別に集計して、そこから情報を引き出す。
●器種別検討をゾーン別に行い、遺跡間やゾーン間の特性の違いを検討する。
●器種別出土数と墨書土器との関係を分析する。

参考 萱田遺跡群の位置

萱田遺跡群の位置

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