竪穴住居の面積についてさらに検討を深めてみます。
次のグラフは竪穴住居面積を4つに区分してその出現数をカウントしたものです。
大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 面積別竪穴住居数
この分布図を作成してみました。
大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 竪穴住居 面積40㎡台以上
大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 竪穴住居 面積30㎡台
この4枚の分布図を比べてみていると、何か空間的な法則性みたいなものを感じ取ることができます。
面積が小さくなるに従って分布が広がるような感じをうけます。
早速、各分布図についてヒートマップと凸包線を作成してみました。
大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 竪穴住居 面積40㎡台以上 ヒートマップ、凸包線
大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 竪穴住居 面積30㎡台 ヒートマップ、凸包線
大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 竪穴住居 面積10㎡台以下 ヒートマップ、凸包線
凸包線とは分布している地物全てを輪ゴムで囲んだときできる囲み線と同じものです。
凸包線だけを集めてみると次のようになります。
大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 竪穴住居 面積別凸包線オーバーレイ
例外の少ない同心円構造が浮かび上がりました。
面積の大きい竪穴住居分布を核にして面積が少なくなるにしたがって順次集落外側に分布している様子がわかります。
竪穴住居の面積大小はその住人の集落内における影響力の大小にかかわっていると考えられます。
社会的に優位な住人が集落の中心部に社会的に劣位な住人が集落の外縁部に居住していたことが推察できます。
集落域に、権力構造に伴う比較的単純な空間構造が存在していたと考えます。
この想定はヒートマップを分析するとさらにより具体的にイメージできます。
次の図は4枚のヒートマップを並べたものです。
4枚のヒートマップ
面積別にみた竪穴住居集中域(赤い部分)が面積が小さくなるに従って順次集落中心から離れます。
この様子をさらに1枚の図にまとめると次のようになります。
大膳野南貝塚 中期末葉~後期中葉 竪穴住居 面積別集中域及びその空間配置方向
4つの面積別集中域が規則正しい法則性に基づくように、中心から西方向に2手に分かれて移動します。
まるで円環を完成させるような動きであるようにも見えます。
貝塚が馬蹄形になったり、円環になる仕組みをこの図は物語っているのかもしれません。
集落の空間的発展は、面積規模が大きい有力家の竪穴住居が最初に条件のよい土地に立地し、そこを核として社会的順位の高いものからその近くに比較的面積の大きい竪穴住居を構え、社会的順位の低いものは集落中心から離れた場所に面積の小さい竪穴住居を構えたと考えます。
竪穴住居は廃絶すると送り場となり貝塚となりますから、集落構造に従って結果として貝塚が発達することになります。
竪穴住居面積規模から集落空間構造の大局観を得ることができました。
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