ラベル 埼玉編年(1982) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 埼玉編年(1982) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年5月2日日曜日

埼玉編年の加曽利EⅡ式土器詳細分類

 縄文土器学習 590

埼玉編年(1982)の加曽利EⅡ式土器分土器群詳細分類を自分なりに要約して理解しました。同時に加曽利貝塚博物館R2年度企画展「あれもE…」展示加曽利EⅡ式土器3Dモデルを対応させてみました。

1 埼玉編年加曽利EⅡ式分の概要


埼玉編年土器群分類と有吉北貝塚土器群分類の対応(加曽利EⅡ式期)

埼玉編年では土器群を次の7群に大別し、さらに詳細に区分しています。

1群土器…口縁部文様帯を持つキャリパー系土器群

2群土器…他系統の影響を受けて成立した独自な土器群

3群土器…連弧文土器

4群土器…曽利式系統土器群(籠目文土器、重弧文土器)

5群土器…口縁部文様帯喪失土器(曽利Ⅳ式系統土器群)

6群土器…浅鉢類一括

7群土器…その他器形土器群一括

2 1群土器詳細分類の理解


1群土器詳細分類の理解

1群土器を次の10類型として理解しました。(なお、加曽利貝塚博物館R2年度企画展「あれもE…」に展示された加曽利EⅡ式土器で3Dモデルを作成したもので該当するものがある類型に●を付しました。以下同様)

ア 口縁部文様帯・頸部無文帯 ●●●

イ 楕円区画・渦巻文 ●●

ウ 渦巻文が主導的 ●

エ 楕円区画文

オ 三角形区画文

カ 地文に条線

キ 交差点状区画

ク 渦巻文弧状連結

ケ 口縁部文様帯・頸部無文帯・胴部連弧文

コ 連弧状モチーフ

3 2群土器詳細分類の理解


2群土器詳細分類の理解

2群土器を次の6類型として理解しました。

ア 器形連弧文土器・連弧文無し

イ 口縁部開き無文帯・胴部懸垂文

ウ 渦巻文斜位垂下

エ 地文のみ施文 (●)

オ 胴部分帯・下半部懸垂文

カ 胴部分帯・上下懸垂文

4 3群土器詳細分類の理解


3群土器詳細分類の理解

3群土器を次の7類型として理解しました。

ア 上半部連弧文2段 ●

イ 上半部連弧文1段 ●●

ウ 連弧文と分帯線の間に棒状区画文

エ 連弧文から懸垂文垂下

オ 胴部分帯なし・連弧文多段 ●

カ 胴部分帯なし・連弧文モチーフ

キ 崩れた連弧文

5 4群土器詳細分類の理解


4群土器詳細分類の理解

4群土器を次の6類型として理解しました。

ア 重弧文土器系統

イ 籠目文土器系統

ウ 口縁部無紋・胴部唐草文

エ 口縁部斜位沈線

オ 地文斜位沈線・交差点状区画文 ●

カ 口縁部開・頸部強く括れ・胴部張る

6 5群土器詳細分類の理解


5群土器詳細分類の理解

5群土器を次の2類型として理解しました。

ア 狭い口縁部無文帯・懸垂文垂下 (●)

イ 口縁直下から懸垂文垂下

7 6群土器詳細分類の理解


6群土器詳細分類の理解

6群土器を次の2類型として理解しました。

ア 口縁部開き無文 ●

イ 頸部と胴部が「く」の字状屈曲

8 7群土器詳細分類の理解


7群土器詳細分類の理解

7群土器を次の2類型として理解しました。

ア 有孔鍔付土器

イ 器台 ●

9 加曽利博展示加曽利EⅡ式土器3Dモデルとの対応


加曽利博展示加曽利EⅡ式土器3Dモデルとの対応

1 加曽利EⅡ式深鉢(市川市今島田貝塚) No.15 観察記録3Dモデル…3群土器 上半部連弧文2段

2 加曽利EⅡ式深鉢(船橋市高根木戸遺跡) No.26 観察記録3Dモデル…1群土器 渦巻文が主導的

3 加曽利EⅡ式深鉢(松戸市子和清水貝塚) No.32 観察記録3Dモデル…1群土器 楕円区画・渦巻文

4 加曽利EⅡ式深鉢(松戸市子和清水貝塚) No.33 観察記録3Dモデル…4群土器 地文斜位沈線交差点状区画

5 加曽利EⅡ式深鉢(松戸市子和清水貝塚) No.34 観察記録3Dモデル…2群土器 地文のみ施文 あるいは5群土器 狭い口縁部無文帯懸垂文垂下

6 加曽利EⅡ式深鉢(柏市小山台遺跡) No.43 観察記録3Dモデル…1群土器 口縁部文様帯・頸部無文帯

7 加曽利EⅡ式深鉢(柏市小山台遺跡) No.44 観察記録3Dモデル…1群土器 楕円区画・渦巻文 渦巻文が円形区画化し内部に縄文が施文されている。

8 加曽利EⅡ式器台(柏市小山台遺跡) No.51 観察記録3Dモデル…7群土器器台

9 加曽利EⅡ式深鉢(流山市小谷貝塚) No.53 観察記録3Dモデル…1群土器 口縁部文様帯・頸部無文帯

10 加曽利EⅡ式浅鉢(流山市小谷貝塚) No.54 観察記録3Dモデル…6群土器 口縁部開き無文

11 加曽利EⅡ式深鉢(流山市中野久木頭遺跡) No.59 観察記録3Dモデル…3群土器 胴部分帯なし・連弧文多段 連弧文が直線化している

12 加曽利EⅡ式深鉢(流山市中野久木頭遺跡) No.60 観察記録3Dモデル…3群土器 上半部連弧文1段

13 加曽利EⅡ式深鉢(我孫子市西大久保遺跡) No.66 観察記録3Dモデル…3群土器 上半部連弧文1段

14 加曽利EⅡ式深鉢(鎌ヶ谷市大堀込遺跡) No.68 観察記録3Dモデル…1群土器 口縁部文様帯・頸部無文帯

10 参考 加曽利EⅡ式土器14器 観察記録3Dモデル総集(試作1)

加曽利EⅡ式土器14器 観察記録3Dモデル総集(試作1)

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」

撮影月日:2020.11.27 2021.02.02 2021.02.09

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成

左から

1 加曽利EⅡ式深鉢(市川市今島田貝塚) No.15 観察記録3Dモデル

2 加曽利EⅡ式深鉢(船橋市高根木戸遺跡) No.26 観察記録3Dモデル

3 加曽利EⅡ式深鉢(松戸市子和清水貝塚) No.32 観察記録3Dモデル

4 加曽利EⅡ式深鉢(松戸市子和清水貝塚) No.33 観察記録3Dモデル

5 加曽利EⅡ式深鉢(松戸市子和清水貝塚) No.34 観察記録3Dモデル

6 加曽利EⅡ式深鉢(柏市小山台遺跡) No.43 観察記録3Dモデル

7 加曽利EⅡ式深鉢(柏市小山台遺跡) No.44 観察記録3Dモデル

8 加曽利EⅡ式器台(柏市小山台遺跡) No.51 観察記録3Dモデル

9 加曽利EⅡ式深鉢(流山市小谷貝塚) No.53 観察記録3Dモデル

10 加曽利EⅡ式浅鉢(流山市小谷貝塚) No.54 観察記録3Dモデル

11 加曽利EⅡ式深鉢(流山市中野久木頭遺跡) No.59 観察記録3Dモデル

12 加曽利EⅡ式深鉢(流山市中野久木頭遺跡) No.60 観察記録3Dモデル

13 加曽利EⅡ式深鉢(我孫子市西大久保遺跡) No.66 観察記録3Dモデル

14 加曽利EⅡ式深鉢(鎌ヶ谷市大堀込遺跡) No.68 観察記録3Dモデル

14器の縮尺は同一

3DF Zephyr v5.019でアップロード

Sketchfab画面内の移動方法:Shiftキー+右クリックで移動(Shiftキーを先に押す)


3Dモデルの動画

11 感想

・一口に加曽利EⅡ式土器といっても埼玉編年ではそれを7群に大別し、さらに67に詳細細分しています。自分はそれを35類型として理解しました。

・加曽利EⅠ式土器に引き続き加曽利EⅡ式土器にも多様な系統が存在し、その見かけの変異の多さを知ることができました。自分にとっての埼玉編年学習の最大価値はこの点にあると思います。

・詳細な細分は着目する指標により無数のバリエーションがあり得ると考えます。また、利用する資料が異なれば分類が異なってくることは想定できます。従って、埼玉編年の詳細細部は一つの考え方であって、発掘資料が増えた現在それが完全に生きているとは限らないと考えることにします。

・埼玉編年で提示された土器分類の基本骨格は生きているものとして理解します。


2021年4月30日金曜日

埼玉編年加曽利EⅡ式分のカード化

 縄文土器学習 589

有吉北貝塚の加曽利EⅡ式土器学習の一環として、有吉北貝塚における土器分類が準拠した埼玉編年(1982)の加曽利EⅡ式分詳細土器群分類をFileMakerによりカード化しました。これにより有吉北貝塚加曽利EⅡ式土器学習がいよいよ本格化できます。

1 埼玉編年(1982)のカード化


カードのリスト表示(一部)


カード例 Ⅺ期1群土器 楕円区画・渦巻文


カード例 Ⅻa期1群土器 楕円区画・渦巻文


カード例 Ⅻb期1群土器 楕円区画・渦巻文

2 埼玉編年加曽利EⅡ式分の概要


埼玉編年土器群分類と有吉北貝塚土器群分類の対応(加曽利EⅡ式期)

3 1群土器分類の理解

埼玉編年1群土器詳細分類を理解して整理すると次のようになります。


埼玉編年(1982) Ⅺ期・Ⅻ期(加曽利EⅡ式) 1群土器(キャリパー形土器)分類の理解

今後同様の理解を2群~7群まで行うことにします。

4 感想

埼玉編年情報をカードにすることにより、土器分類の内容が一目で理解できるようになりました。資料(研究紀要1982)を読むだけでは記述と図の対照を次々に憶える能力が自分にはないので、理解がきわめて不十分になり、結局学習充実感をいつまでも持てません。


2021年4月10日土曜日

加曽利EⅠ式土器学習の感想

 縄文土器学習 574

1 土器学習が思い通りに進まない

有吉北貝塚学習の一環で加曽利貝塚博物館企画展展示土器や資料「埼玉編年(1982)」を教材に縄文中期土器の学習をしています。学習の初期目標は、例えば有吉北貝塚出土土器の実測図や写真を見て、その土器のおおよその素性が(自分の納得レベルをクリアーした上で)直観できるようになればよいと思っています。

しかし、ほぼ2カ月間中峠式や加曽利EⅠ式学習をつづけて、普通(の対象物に対する)学習なら到達できるであろうレベルにとてもとても到達できていません。

なぜか?考えてみました。自分本来の愚鈍さや高齢による思考力退化はいつものことですが、それ以外に何か理由があるはずです。もしかしたら中峠式や加曽利EⅠ式に特有の問題があるのかもしれないという予感があり、学習テキストの埼玉編年(1982)の土器群細分数をカウントしてみました。案の定、この作業で学習困難の理由が浮かび上がりました。

2 埼玉編年(1982)の土器群細分数合計


埼玉編年(1982)掲載図書

谷井彪・宮崎朝雄・大塚孝司・鈴木秀雄・青木美代子・金子直行・細田勝(1982):「縄文中期土器群の再編」(研究紀要1982、財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団)


埼玉編年(1982)土器群細分数合計


埼玉編年(1982)土器群細分数合計

3 埼玉編年(1982)の土器群細分数合計に関する感想


埼玉編年(1982)の土器群細分数合計に関する感想

埼玉編年に関してこの2カ月間学習したのはⅨa期、Ⅸb期、Ⅹ期です。この3期の土器細分数は28→19→19と減少しています。Ⅸa期の土器群細分数28の学習が十分でなかったからそれが集約されるⅨb期土器細分数19の学習が不十分になったのです。Ⅸb期からⅩ期への変化についてはある程度納得はできました。つまり学習の出発点の基礎ができていないのです。

そして、Ⅸa期の前のⅧ期の土器群細分数は38、さらに前のⅦ期は54と膨大な数に上ります。つまり、加曽利EⅠ式の土器群学習をするためにはⅦ期54の学習を行い、それがⅧ期に38に集約変化する様子を学習し、それがⅨa期に28に集約変化する様子を知る必要があるのです。具体的には勝坂式土器、阿玉台式土器、中峠式土器(さらには大木式土器)の変遷を詳しく知らなければ加曽利E式土器の最初の状況を実感を持って知ることはできないということです。

Ⅸa期の深鉢は次の4群に区分されています。

1群土器…キャリパー土器

2群土器…各種折衷土器

3群土器…曽利式系統

4群土器…勝坂式・中峠式系統

これらのうち、特に2群土器、4群土器についてはⅦ期、Ⅷ期の状況を知らなければ実感的に土器を観察できません。

4 埼玉編年(1982)の土器群細分数合計に関する感想 その2

Ⅶ期に土器群細分数が急増した意味に興味が湧きます。関東平野に勝坂式土器を使う集団と阿玉台式土器を使う集団が並存したということです。そして土器型式から見て群雄割拠の状況から少数集団に集約化するような作用がⅦ期→Ⅷ期→Ⅸa期→Ⅸb期と働いて加曽利EⅠ式土器が成立します。その土器変遷に対応する生業社会変遷に興味が湧きます。漁業拠点の変遷、あるいは漁業がそのサイト(沿岸)だけでなく広域社会に及ぼす影響の変遷などとのかかわりについて学習を深めることにします。

5 これからの土器学習

学習実務としては次の3つの学習を同時並行的に進めることにします。

ア 加曽利EⅠ式土器学習(有吉北貝塚出土土器学習など)

イ 勝坂式土器・阿玉台式土器・中峠式土器学習(埼玉編年Ⅶ期・Ⅷ期学習、展示物観覧など)

ウ 加曽利EⅡ式土器学習(埼玉編年学習、有吉北貝塚出土土器学習など)