2013年10月24日木曜日

柏井小崖(柏井断層)検討の視点

花見川流域の小崖地形 その44

花島小崖(花島断層)の検討を一通り終えましたので、柏井小崖(柏井断層)の検討に移ります。

柏井小崖(柏井断層)の検討は次のA~Fの検討区を設定して、検討します。

それぞれの検討区の検討の視点は次のように考えています。

柏井小崖検討の視点(2013.10.23)
基図は地形段彩図

検討区の位置を知るために、検討区を標準地図にプロットしました。

検討区の位置
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)

具体的検討はC→F、B、Aの順番で次の記事から始めます。

なお、花島小崖は戦前期の地理学術論文に1度だけ表れたことがありますが、柏井小崖はこれまで誰からも興味対象として扱われたことが無かったものです。それだけに本当に小崖(断層)があるのかという根本次元から興味が出発します。

花島小崖(花島断層)、犢橋小崖(犢橋断層)(追って検討予定)と柏井小崖(柏井断層)の関係を概観すると、横ずれという視点でみると、次のようなイメージを持つことができます。その横ずれの移動量は130m~150m程度です。
このようなイメージの確からしさを、柏井小崖(柏井断層)の検討を通じて明らかにしていきます。

地殻ブロックの水平移動方向のイメージ

また、縦ずれという観点から見ると、次のようなイメージを持つことができます。
このイメージの確からしさについても、柏井小崖(柏井断層)の検討を通じて明らかにしていきます。

地殻ブロックの垂直移動方向のイメージ

つづく



2013年10月23日水曜日

上ガスの水紋

放水後の状況で上ガス現象がどうなっているのか気にして観察しています。

2013.10.20記事「放水後の上ガス」で観察したこと不正確でしたので、次のように訂正します。

誤
「●放水終了直後であり、水の中にシルトや泥が多量に溶けていて、粘性が高く、水紋ができにくい。」

正
「●放水終了直後であり、水の中にシルトや泥が多量に溶けていて水が濁り、水紋が観察しにくい。」

上ガスの気泡がはじけると、いつもは次のような水紋発生を観察できます。

上ガスによる水紋
2013.06.22

ところが、放水後シルトや泥が多量に溶けて水が懸濁しており、それが原因で、生じた水紋が光学的に観察しづらくなっています。

漫然と水面をみたような観察では上ガスの気泡を見つけることはできますが、水紋の発生に気がつきません。

ところが撮影した動画を仔細に見ると、現場では気がつかなかった水紋が写っていて、驚きました。

次に、動画の画像をフォトショップでトーンカーブ補正して、隠れている水紋を強引に引っ張り出してみました。

気泡の水面到達

気泡がはじける

気泡の消失


2013年10月22日火曜日

追補 花島小崖と地名

花見川流域の小崖地形 その43

花島小崖について情報を2つ追補します。

1 花島小崖と地名
花見川より西の花島小崖について、小崖の存在を意識した地名が3つならんでいます。

花島小崖を意識した地名
旧版1万分の1地形図(大正6年測量)

茫漠とした台地上にあって、そのおおよその場所を示す地名として花島台、三角台、長沼台が付けられたのですが、その場所が小崖の上にある土地であることを示すために「台」を付けたものと考えます。
つまり、この3つの地名の「台」は一般的な意味での台地を意味するのではなく、小崖の上にあるより高燥な土地であることを意味しています。

なお、三角台の三角は地図に表現される道路による三角形に由来すると考えます。

(三角は現在花見川区三角町として地名として生きています。ナスカ地上絵のような地上絵が地名になったという現象は日本でここだけかもしれません。)

2 花島小崖を認識している戦前期の地理学術論文
次の戦前期の地理学術論文に花島小崖の分布が描かれていますので、紹介します。

花島小崖が描かれている戦前期地理学術論文の図
花井重次・千葉徳爾(1939):関東平野の凹地地形に就いて-特に下総台地上の凹地地形-、地理第2巻第2号、147~158

花島小崖は小急崖として、図のほぼ中央に分布が描かれています。

この論文では小急崖が台地上の無水谷を截頭していることが記述されています。
なお、この文献では旧版1万分の1地形図を資料にして小急崖を抽出しています。


2013年10月21日月曜日

花島小崖(花島断層)観察のまとめ

花見川流域の小崖地形 その42

1花島小崖(花島断層)の分布
花島小崖(花島断層)を地形段彩図にプロットしてその分布状況を示します。

花島小崖(花島断層)の分布
基図は地形段彩図

位置関係を知るために、標準地図に花島小崖(花島断層)をプロットしました。

参考 花島小崖(花島断層)の分布
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)

地形段彩図を3D表示すると次のようになります。
この3D図から生の地形としての花島小崖が浮かび上がります。

地形段彩図の3D表示
垂直方向10倍に拡大、カシミール3Dによる。

花島小崖(花島断層)を記入した地形段彩図を3D表示すると次のようになります。
花島小崖(花島断層)の位置は現地調査で確認して、このブログで検討してきたものです。

花島小崖(花島断層)を記入した地形段彩図の3D表示

図に表示した花島小崖(花島断層)の延長は約8.6㎞です。

2 花島小崖(花島断層)の形状
2-1 縦ずれ
このブログで計測してきた花島小崖の見かけの比高(区間別平均値)の分布を表示すると次のようになります。

花島小崖の見かけの比高(区間別平均値)

区間別平均値は1.8m~3.5mの範囲に収まっています。

地層のズレをボーリング資料から確認すると次のようになります。

花島断層の地層の縦ずれ
ボーリング資料による

2箇所のデータはそれぞれ2.5m、3mを示します。

現在の小崖の見かけの比高と地層のずれの値は整合的な関係にあると考えられます。

2-2 横ずれ
このブログで検討してきた花島断層横ずれの量の値は次の通りです。
台地上に残された原始的な谷津地形のずれから計測しました。

花島断層の横ずれ

花島断層の横ずれは130m~140mに及ぶものです。

3 花島小崖(花島断層)が切る地形面から推定できる活動時期
花島小崖(花島断層)が切る地形面は、これまでの観察では下総上位面と下総上位面形成直後に、そこに刻まれた浅い谷だけです。
下総下位面、武蔵野面等と花島小崖(花島断層)は交差していません。
また、沖積地形(東京湾水系の深い谷地形)を切っている様子は、これまでのところ見られません。

こうした花島小崖(花島断層)と地形との関係から、花島小崖(花島断層)が形成された(動いた)期間は下総上位面形成直後が含まれていることは確実です。
また沖積地形が形成された時期には顕著な活動はなかったようです。
それ以外の時期の活動は不明です。

………………………………………………
花島小崖の次は柏井小崖の検討に移行します。

このシリーズ記事は次のサイトに掲載順にまとめてあります。
特設サイト「花見川流域の小崖地形」


2013年10月20日日曜日

放水後の花見川の様子

台風26号による印旛沼水位に対応して大和田機場のポンプ排水を最大の能力で実施して、花見川に排水する様子は2013.10.17記事「花見川に120m3/sの水が流れる」で紹介しました。

10月19日の早朝の散歩でも散歩道にある警報局の黄色いランプが点滅していて、放水が続いていることを知らせていました。
流速は17日の時と同じように早いのですが、水位は2m近く下がっていて、水は茶色の泥水になっていました。

今日(20日)の早朝は放水も終わり、流れのほとんどない花見川に戻っていました。水の色は茶色から緑灰色に変わっていました。透明度はありません。

水位は19日と比べて極わずか下がっています。

放水時(10月17日、19日)と放水後(20日)の様子

岸辺には水位上昇を示す泥とゴミの堆積が見られます。


放水時水位を示す岸辺のゴミ
弁天橋より下流

放水時と放水後の風景対比

堀割部

放水後の上ガス

昨日までの大和田機場から花見川への放水は、本日(10月20日)早朝には終わっていました。

前々から規模の大きい放水の後、上ガス現象がどのようになるのか、変化するのか、変化しないのか興味を持っていましたので、観察しました。

多少風があり、カメやコイが水面近くで盛んに活動しているため、水面がざわついていて上ガスを観測しにくい状況があるのですが、次のような観測結果となりました。

●断続的に気泡が上がってくる明瞭な上ガス現象はいつもの通り見られました。しかし、気泡の周りにいつも見える水紋の拡がりをほとんど観察できません。

●気泡ははほとんど見えないけれど、水紋が拡がることで確認できる規模の微細な上ガス現象は見つけることができませんでした。

この観察結果から、つぎのようなことを考えました。
●規模の大きな放水で川底の泥は全て流れ、放水終了時に新たな泥が堆積したと考える。
●大きな気泡を伴うガスは地層から泥を突き抜けて水面まで上昇する。
●微細な気泡を伴うガスは地層から泥に出たところで「目詰まり」状態になっている。
●放水終了直後であり、水の中にシルトや泥が多量に溶けていて、粘性が高く、水紋ができにくい。
→訂正します●放水終了直後であり、水の中にシルトや泥が多量に溶けていて水が濁り、水紋が観察しにくい。
(2013.10.23記事「上ガスの水紋」参照)


上ガスの様子
2013.10.20、花見川堀割部

2013年10月18日金曜日

カワセミ

大和田機場から花見川に放水をしていた2013年10月17日に、高津川合流点付近でカワセミを見かけました。この場所ではいつもカワセミを見かけます。

コンクリートの上から岸辺近くの流れの弱いところにいる小魚を見つけようとしています。

いつもより水量が特段に多く、かつ流れも早いので、思うように小魚が見つからず、カワセミもお手上げ(?)のように見えました。

高津川合流点付近のカワセミ

高津川合流点付近のカワセミ

高津川合流点付近のカワセミ

高津川合流点付近のカワセミ


高津川合流点付近のカワセミ

なお、少し古い情報ですが私がカワセミを観察した場所のプロット図(2011.02.26記事「花見川中流紀行 11カワセミの生息に不可欠な素掘堀割」掲載)は次の通りです。


カワセミの観察場所
2010年~2011年

2013年10月17日木曜日

花見川に120m3/sの水が流れる

台風一過晴天で冷涼な早朝花見川散歩を楽しみましたが、久しぶりに花見川の水音を聞きました。

印旛沼の水位をさげるために大和田機場のポンプがフル稼働していて120m3/s以上の水が流れています。(水資源機構千葉用水総合管理所で確認)

いつもの花見川と違って、ポンプ稼働により水が滔々と流れる風景は稀にしか見ることができませんので記録しておきます。

勝田川と高津川からの流入による増水の時はゴミの流下が著しいのですが、大和田機場ポンプによる放水時にはゴミは全くありません。

花見川に120m3/sの水が流れる風景(堀割部)

花見川に120m3/sの水が流れる風景(弁天橋より上流)

花見川に120m3/sの水が流れる風景(高津川合流部)

花見川に120m3/sの水が流れる風景(大和橋より下流)

花見川に120m3/sの水が流れる風景(大和田機場)

次に動画で紹介します。

花見川に120m3/s放水した時の堀割部の風景 20131017

花見川に120m3/s放水した時の弁天橋下流の風景 20131017


花見川に120m3/s放水した時の大和田機場付近の風景 20131017

2013年10月16日水曜日

小崖地形と地形面との関係

花見川流域の小崖地形 その41

花島小崖の検討を一応終えて、全体を総括的に検討しておきたいと思います。

最初に、花島小崖と地形面との関係を確認しておきます。

次の図は「千葉県の自然誌 本編2 千葉県の大地」(千葉県発行)に掲載されている下総台地西部の地形面分布図です。(原図は杉原(1970))

下総台地西部の地形面分布図
出典:「千葉県の自然誌 本編2 千葉県の大地」(千葉県発行)

花見川付近の主な地形面は下総上位面と下総下位面の2つです。

花島小崖は下総上位面に分布しているのですが、大久保付近には下総下位面もあらわれるので、それと小崖の関係を把握しておきます。

というのは、東京湾沿いにおける下総上位面と下総下位面の間には海蝕崖(※)が存在していることから、花島小崖(断層崖)と考えている地形が実は海蝕崖であったという誤認識を避けるために、小崖と地形面の関係把握は必要なことです。

※海蝕崖といっても厚いローム層に覆われていますから、現場では断層崖と同じく普通の人が見ると単なる気がつきにくい緩斜面です。

次の図は地形段彩図の上に、これまで検討してきた花島小崖をプロットしたものです。

花島小崖の分布
基図は地形段彩図

参考として、花島小崖の位置が判る様に、標準地図に花島小崖をプロットした地図を掲載します。

参考 花島小崖の分布
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)

次の図は上記「下総台地西部の地形面区分図」の一部をGIS上にプロットして、花島小崖との関係をわかる様にしたものです。

「下総台地西部の地形面区分図」と花島小崖の関係
「下総台地西部の地形面区分図」は「千葉県の自然誌 本編2 千葉県の大地」(千葉県発行)による

「下総台地西部の地形面区分図」は広い範囲を示している小縮尺地図であり、正確にGISにプロットすることには限界があります。
しかし、そうしたことを考慮しても、花島小崖は下総上位面に位置していて、下総上位面と下総下位面の境には対応していないことを確認できます。

参考として、20万分の1地質図の一部をGIS上にプロットして、地質と花島小崖との関係を見てみました。

20万分の1地質図幅「千葉」(部分)と花島小崖の関係
20万分の1地質図幅「千葉」は地質Naviによる

凡例の市川砂層は次の資料に示すように、下総下位面を構成する海岸段丘礫層です。

下総台地の模式的な地形地質断面図
出典:「千葉県の自然誌 本編2 千葉県の大地」(千葉県発行)、誤記訂正

20万分の1地質図幅「千葉」は広い範囲を示している小縮尺地図であり、正確にGISにプロットすることには限界があります。
しかし、そうしたことを考慮しても、詳細に位置関係を検討すると、花島小崖は成田層の凡例の場所に位置し、市川砂層分布域境界付近の場所から測って、近いところでも100m~300m以上離れていることを確認できます。

以上の地形及び地質の既存資料との関係から、花島小崖が位置している場所はすべて下総上位面であることが確認できました。

花島小崖の位置が、下総上位面と下総下位面との地形境界に対応することはなく、この確認から、花島小崖の成因として海蝕崖の可能性を全ての区間で排除できます。

以上の検討は既存資料に基づいたものであります。

………………………………………………
追記 2013.10.21
国土地理院のサイトで土地条件図(1/25000、千葉、1971年発行)を見つけました。
この土地条件図では、下総上位面に該当する地形面が上位面、下総下位面に該当する地形面が中位面として区分されています。

参考までに、この土地条件図に花島小崖の位置をプロットしてみました。

土地条件図に花島小崖分布をプロット

土地条件図では花島小崖の東端部分が中位面となっていますが、そのほかの場所では、花島小崖は上位面に位置しています。

この図からも、花島小崖を海食崖(上位面と中位面の境界)と見間違っていることがないことを確認できます。