2011年8月11日木曜日

縄文丸木舟と大賀ハス9

浪花川流域紀行11 縄文丸木舟と大賀ハス9

            丸木舟及び櫂出土地点と樹種
 山内文「発掘丸木舟及び櫂の用材について(続報)」(資源科学研究所彙報33、1954)

4-3 出土丸木舟の材質
 検見川出土丸木舟も八千代市保品出土丸木舟も材質はカヤ(榧)です。
 カヤ(榧)は次のように説明されています。
暖地の森林中に散生するイチイ科の常緑針葉樹。社寺の境内などにしばしば高木を見る。高さ25mにもなる高木で、小枝は対生する。…材は黄白色で、辺・心材の区別が不明瞭であり、加工性・保存性が高く水湿にも耐えるので、建築・器具・土木用に供せられるが、とくに大径木の柾目材は碁盤として最高級品であり、…」(世界大百科事典、平凡社)
木理(きめ)は細密(こまやか)で文采(もよう)があり、芬香(よいかおり)がする。これで碁盤をつくる。また土や水に埋めても朽ちないので浴室の材にすることができる。」(和漢三才図会、平凡社)
…しばしば大木をみる。カヤは水湿に強く、現在でも小型の和船には良材として使用されている。」(山内文、「発掘丸木舟及び櫂の用材に就いて」、人類学雑誌昭和25年-Ⅰ)

 カヤは加工しやすく、水に浮かべても腐らない特性があるようです。

 また、1954年までの出土例の調査ですが、上図に示したように、関東地方の出土丸木舟は下総地方は殆んどがカヤになっています。
関東平野中央低地、すなわち小貝川、鬼怒川および荒川下流冲積低地はアカマツ及びアカマツ又はクロマツ(恐らくアカマツ)がその主位を占め、下総台地に望む九十九里北部の海岸平野から検見川に至る間の下総台地間においてはカヤがその大部分を占めていることは注目すべきことであろう。
(山内文「発掘丸木舟及び櫂の用材について(続報)」〔資源科学研究所彙報33、1954〕)


            山内文の上記論文掲載リストの一部
 八千代市保品とその近隣、検見川に関連する丸木舟のリストを抽出しました。このリストで八千代市保品の隣字の神野でも丸木舟出土があったことが確認できます。

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