2017年5月1日月曜日

大膳野南貝塚 縄文時代後期の学習開始

大膳野南貝塚の学習を早期(陥し穴)、前期後葉(集落)と進めてきましたが、いよいよ最盛期である堀之内1式期を含む中期末葉~後期中葉貝塚集落の学習に入ります。

1 学習項目
主な学習項目をリストアップすると次のようになります。

●竪穴住居
施設…大きさ・位置(貝塚、地形との関係)・柱穴等構造・漆喰床
出土物の量・種類…土器、石器、獣骨、人骨、貝ブロック、土製品、装飾品
●土坑
大きさ形状・位置・出土物
●屋外漆喰炉
●貝塚
●その他特記項目
土坑墓、小児土器棺、単独人骨、特殊な出土状態の獣骨

2 主要遺構の分布
主要遺構についてGIS空間データとしました。
これにより、竪穴住居・土坑等の個別データ(Excelデータ)をGISにプロットすることが可能となりました。

竪穴住居の分布

土坑の分布

貝層の分布

地点貝塚の分布

3 中期末葉~後期中葉の概要
「 発見された遺構は、竪穴住居址93軒、土坑墓1基、土坑264基、屋外漆喰炉8基、小児土器棺6基、単独埋甕12基、埋葬犬骨2体、鹿頭骨列1ヵ所などである。
検出された人骨は30体(住居内20体、土坑墓1体、土器棺6体、単独出土3体)を数える。
北・南・西貝層を除去した後に確認された貝層ブロックは大小160ヵ所を数え、このうち遺構に伴う貝層(地点貝塚)は78ヵ所(住居内26ヵ所、土坑内52ヵ所)である。
出土した遺物は土器、土製品、石器、骨角器、貝製品、人骨、獣骨、貝類などで、総量は中テン箱で約720箱を数える。

 集落の成立時期は貝層が形成された時期より先行しており、中期末葉加曽利E4式期に属する住居が3軒検出されている。
続く後期初頭称名寺式期も小規模な集落が継続し、次段階の後期前葉堀之内式1式期に遺
構数が爆発的に増えて集落の最盛期を迎える。
堀之内1式期の遺構群は南北貝層直下で密に分布している一方、中央平坦面では分布がやや希薄になっており、集落の形態は環状集落に分類される。
その後、堀之内2式期になると集落は縮小傾向となり、続く後期中葉加曽利B1~2式期では住居と土坑が散見されるのみとなる。
なお、加曽利B3式期以降に属する遺構は検出されていない。

 特筆される発見としては、称名寺式~堀之内2式期の遺構で検出された「漆喰」があげられる。
一部の住居の貼床・炉址および屋外炉などで検出された白色粘質土について分析を行った結果、生石灰(酸化カルシウム)を含有する方解石(炭酸カルシウム)が主成分であることが判明し、貝殻を素材として焼成→粉砕→加水の工程を経てペースト状にした「漆喰」と同様の物質であるとの所見が得られたものである。
発掘調査報告書から引用

次の記事から中期末葉~後期中葉竪穴住居の検討を始めます。



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