2018年9月18日火曜日

事例学習 誉田高田貝塚

村田川河口低地付近縄文集落の消長分析 17

村田川河口低地付近縄文集落の消長分析の一環として「千葉県の歴史 資料編」掲載事例の学習を遺跡別にしています。この記事では誉田高田を学習をします。

1 誉田高田貝塚の位置

誉田高田貝塚の位置
誉田高田貝塚は都川の上流の河畔台地に位置し、河口からの直線距離は約10.5km、西の村田川河口低地までの直線距離は約5kmである。

2 貝塚の概要
「貝塚は,台地の縁辺や, 一部は斜面にかけて大きく4か所のブロックに分かれて堆積している。平面形は半月形を呈し,約100mの規模である。大きなブロックはそれぞれ30~40mの規模であり,小さいものは数m程度の規模である。また,住居跡内や土坑内に堆積したと考えられる地点貝塚が多数存在する。」

誉田高田貝塚貝層分布図 「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)」から引用

3 遺構
「1次調査で堀之内式期の住居跡が1軒,加曽利B式期の住居跡が1軒検出されている。また,人骨集積遺構が1基検出されている。2次調査では,堀之内式期から加曽利B式期の住居跡が5 軒以上検出され,このほか廃屋墓1基・土坑墓1基(1次調査の人骨集積遺構の続き)・ 土坑11基・ピット200基が検出されている。住居跡は複雑に重複し,3回以上の建替えが行われた例も存在するという。廃屋墓には成人女性と幼児が合葬されていた。」

4 人工遺物
「発見された人工遺物は,土器・石器・骨角器・土製品である。土器はすべて後期のもので,堀之内式土器・加曽利B式土器が主体である。1次調査地点では,堀之内式土器が多く出土し, 2次調査地点では加曽利B式土器が多いようである。骨角器は骨針・骨鏃・イノシシの牙鏃・鹿角製装身具や、貝匙ともいうべきスクレイパーが発見されている。土製品には, ミニチュア土器・耳栓(耳飾)・ 土製円盤がある。」

5 自然遺物
「自然遺物は貝類37種・魚類10種・鳥類1種・哺乳類5種がある。貝類のなかでは巻貝のキサゴ類が全体の90%と,圧倒的多数を占めている。また二枚貝ではハマグリ・シオフキ・オキアサリが多い。魚類ではマダイ・スズキ・コチ・ボラという湾内に特徴的な魚種が獲られている。2次調査で,軟骨魚類・ニシン科・フナ・コイ科・ウナギ・ハゼが新たに加えられているが,主体を占めているのはフナであるという。鳥類はキジが出土している。哺乳類は,シカ・イノシシ・イヌ・サル・タヌキが出土している。」

6 人骨集積遺構
「特筆すべきは,人骨集積遺構であろう。1・2次調査を合わせて最小個体数28体の人骨が、解剖学的な正常位を失って発見された。直径3mをこえる土壙に納められていたと考えられる。調査所見によれば、「一度改葬された痕跡があり」「完全な個体をなしたものは1体もなく、長骨上に頭骨を置いたような状態で出土した」という。」

人骨集積遺構内人骨検出状況 「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)」から引用

7 感想
記述にはこの貝塚住人がどの場所で漁業をしていたのか書いてありませんが、その場所が都川河口域であることが当然であるような印象を受けます。出典資料を読んで確認したいと思います。誉田高田貝塚と六通貝塚の関係を知ることが当面のテーマの一つとなります。
同じ遺跡に土壙多人数合葬と廃屋墓の双方があることが判ります。また土壙多人数合葬の例が市川市権現原貝塚や船橋市古作貝塚でも見られると書いてあり、自分の知見を広める上で参考になります。ちなみに市川市権現原貝塚の事例では集落に2グループが居住し、その間の婚姻関係で生まれたⅡ世たちによる、Ⅰ世開拓者にみる集落2分関係撤廃を目的とした再葬合葬であるという説を紹介検討しており、大変興味深いものです。船橋市古作貝塚の事例でも「そもそも改葬の目的は、異なる出身者からなる集団の祖先を一体化することである。」という視点から詳しい検討がなされ、興味津々の記述となっています。後日詳しく学習したいと思います。

8 特別検討 貝塚と空中写真との関係
衛星撮影高解像度マルチスペクトル画像を使えば現代日本においても未知の考古学的遺跡を発見できるのではないだろうかと密かに興味を持っています。そうした興味を深める上で誉田高田貝塚はまたとないテスト学習の場になりそうです。
●1960年代撮影空中写真に貝塚分布図を重ねてから空中写真だけをみると、そこに貝塚分布が写っていることがよくわかります。

1960年代空中写真+誉田高田貝塚分布図

1960年代空中写真

●おなじく現代空中写真(2007年以降撮影)と貝塚分布図を重ねた後、現代空中写真だけをみると、そこに貝塚分布を確認できます。

現代空中写真+誉田高田貝塚分布図

現代空中写真

●さらに、現代地形図(地理院標準地図)と貝塚分布図を重ねると、地形図に貝塚の高まりが表現されていることが確認できます。

地理院標準地図+誉田高田貝塚分布図

地理院標準地図

一般の空中写真や地形図で確認できるのですから、マルチスペクトル画像ならばより詳しい浅い地下の情報が入手できそうです。

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