平成18年(2006年)2月に「利根川水系河川整備基本方針」が策定されました。この基本方針の中で、花見川が利根川本川の放水路として1000m3/sの放流を担うことになりました。
利根川水系河川整備基本方針における利根川高水流量図
(図中の赤線、赤文字は引用者が付け加えたもの)
この基本方針に基づいて、利根川(本川)と江戸川を対象に当面の河川整備を具体化するために、平成25年(2013年)5月15日に「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画【直轄管理区間】」が策定公表されました。
この河川整備計画は直轄管理区間を対象としたものですから当然のことですが、印旛沼と花見川を使った放水路の記述はありません。
今後30年程度を視野に入れた国の河川整備事業に、印旛沼と花見川を使った放水路が含まれていないということです。
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画【直轄管理区間】」の計画対象区間
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画【直轄管理区間】」では「利根川水系河川整備基本方針」で定められた計画高水流量を採用していません。その理由は「河川整備基本方針は、長期的な河川整備の方針であり、整備の期間及び費用を定めるものではない」(※)からです。
※「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案)」について学識経験を有する者、関係住民、関係県等からいただいたご意見に対する関東地方整備局の考え方」(国土交通省関東地方整備局、平成25年4月24日)
このような状況から、印旛沼を経由して花見川を利根川本川の放水路とする構想の実現化は遠のいたと考えてよいと思います。
なお、花見川を含む千葉県の河川整備計画(「利根川水系手賀沼・印旛沼・根子名川圏域河川整備計画」では花見川に270m3/sの流量を配分しています。
この流量の数値と「利根川水系河川整備基本方針」の流量の数値(1000m3/s)が異なることに関して、千葉県河川整備課より次のような説明を受けています。
●利根川水系河川整備基本方針と利根川水系手賀沼・印旛沼・根子名川圏域河川整備計画の整合は取っていない。
●利根川水系河川整備基本方針に基づく利根川水系河川整備計画の策定を待っていては、いつまでも千葉県管理の利根川水系河川の整備の実施ができない。そこで、利根川水系手賀沼・印旛沼・根子名川圏域河川整備計画を独自に作って、国の承認を得た。
●利根川水系河川整備基本方針に基づく利根川水系河川整備計画が策定され、利根川水系サイドから花見川に新たな要請があれば、その時調整することになる。
利根川水系サイド(国サイド)から花見川に対する具体的要請は当面は無いという結論になったようです。従って、これからは、国策としての放水路機能というワイルドな外圧はあまり気にしないで、地元レベル(千葉県レベル)で情報を深く掘り下げ、落ち着いた環境の下で花見川のあり方を考えることができる状況がうまれたと考えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿