2014年3月1日土曜日

中村太一著「日本古代国家と計画道路」 紹介

花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 19

この本における古代国家計画道路の検討結果を読んで、私は、花見川地峡の古代国家計画道路の存在仮説に対する確信を深めましたので、紹介します。

1 中村太一著「日本古代国家と計画道路」の諸元、内容、目次
【諸元】
書名:日本古代国家と計画道路
著者:中村太一
発行所:吉川弘文館
発行日:平成8年(1996年)711
体裁:A5判、269

【内容】
本書は、日本古代国家の計画道路が実用以上の道路であったという側面を明確に認識しつつ、その建設から律令国家の変質以降10世紀頃には駅制共々崩壊していくまでの過程を検討しています。

【主要目次】
序論 古代計画道路研究の課題
1章 日本古代計画道路の特質
2章 日本古代計画道路の形成要因
3章 計画道路体系の展開過程
4章 律令国家の領域編成と計画道路
5章 国府立地の交通条件
6章 大和国における計画道路体系の形成過程
7章 東国駅路網の変遷過程
8章 「出雲風土記」の空間認識と道路
9章 山陽道美作支路の復原
10章 備前国における古代山陽道駅路の再検討
付論 水上交通利用の構造と地域的特質

中村太一著「日本古代国家と計画道路」と同「日本の古代道路を探す」(平凡社新書)
「日本の古代道路を探す」(平凡社新書)は学術専門図書である「日本古代国家と計画道路」のエッセンスと古代道路の探し方(調査手法)を一般向けに紹介した図書です。

2 この図書の特徴
この図書では、花見川筋とか花見川地峡が特段に着目されていることはありません。

しかし、「第7章 東国駅路網の変遷過程」における検討内容(具体的には道路体系の変遷図)に刺激されて、私は、花見川地峡に古代東海道水運支路が通り、柏井(杵隈)と高津土塁の間に直線道路が通っていたという仮説を構築することができました。

2013.07.05記事「東海道「浮島」駅と花島観音の関係」等参照

詳しくはサイト「花見川地峡の自然史と交通の記憶」参照

このように、花見川筋(花見川地峡)の歴史を考える際に特別重要な示唆を得ることができた図書として本書を紹介しました。

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