2014年7月23日水曜日

水系網を変化させた地殻変動の伝播方向

シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討- 
第4部 下総台地形成に遡る その20


小崖地形(断層地形)が帯状に平行的に分布していますが、それが生起した順番は南西から北東方向へであると考えています。

3つの小崖(断層)を例にとれば、犢橋小崖(犢橋断層)→花島小崖(花島断層)→柏井小崖(柏井断層)の順番で生起したと考えています。

このような考えの妥当性を復元した水系網を分析して、検討してみました。

1 ケース1 地殻変動が南西から北東方向へと伝播したと考えた時の水系網変化シミュレーション
東京湾中心部に地殻変動の中央があるので、そこから地殻変動が周辺に伝播していったという考え方です。

水系の方からみると、上流から下流方向に向かって地殻変動が伝播していった場合です。

ケース1 地殻変動が南西から北東方向へと伝播したと考えた時の水系網変化の想定

6枚の図を順番に眺めて、地形が変化する様子に特段の矛盾点は見つかりませんでした。

2 ケース2 地殻変動が北東から南西方向へと伝播したと考えた時の水系網変化シミュレーション
東京湾中心部に地殻変動の中央があるのですが、地殻変動はその周辺から中央に向かって伝播していったという考え方です。

水系の方からみると、下流から上流方向に向かって地殻変動が伝播していった場合です。

ケース2 地殻変動が北東から南西方向へと伝播したと考えた時の水系網変化の想定

6枚の図を順番に眺めて、ステップ5の図面で、矛盾点が見つかります。

2017.07.19記事「3つの小崖(断層)の東側延伸把握」で記述したとおり、花島小崖(花島断層)は南側地殻が南方向に下る傾動を伴った活動です。

ですから、花島小崖(花島断層)から南側にある全ての谷津は活力を失っています。

谷津の活力がなくなった場所では、小崖(断層)等の地殻変動が生じてもレーキ状水系網は出来ません。

ところが、ステップ5の図面で、犢橋小崖(犢橋断層)の発生にともない、3つのレーキ状水系網の発生が描かれています。

この点は明白な矛盾点です。

ケース2の検討から、ケース2のような地殻変動が生起した可能性は低いと考えています。

3 その他のケース
地殻変動が一斉に生じた場合や、ランダムに生じた場合はそれなりの結果を現在の地形に残すと考えられますが、いまのところ、そのような推測をすることがふさわしいような地形には接していません。

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