2015年1月25日日曜日

花見川-平戸川筋の古墳形式の把握

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.48 花見川-平戸川筋の古墳形式の把握

1 違和感の原因は基礎検討欠如
2015.01.23記事「花見川-平戸川筋の遺跡分布分析 その4 古墳をつくらない人々」を書いている途中から何かすっきりしないものを感じていました。

記事を書いてアップしてみると違和感がはっきりと感じられるようになり、記事にその違和感の理由を追記しました。この記事は全面書き換えする予定です。

その後、違和感のある記事を書いた主因は、自分の基礎知識がきわめて虚弱であるため、例えば次のような基礎的な思考(作業)をしていなかったためであることがわかりました。

ア 古墳被葬者の階層区分と分布(古墳形式と階層秩序との関係)
イ 古墳被葬者(が属する集団)の支配領域
ウ 古墳被葬者(が属する集団)の支配領域内における空間構成(遺跡構成から判明する生活活動空間構成)
エ 支配領域における古墳設置場所タイプ(支配領域内で古墳設置場所を決める主要因子)

要するに遺跡情報について、その内容を何も検討しないで、表層の情報だけを自分の仮説検討に使用したことにより、違和感のある記事を書いてしまったのです。

早速、上記ア~エという基礎的検討してみたいと思います

この記事ではまず古墳形式別分布について検討してみます

2 古墳等種別と階層秩序との対応
古墳に横穴を加え、種別基数を求めると次のようになります。

花見川-平戸川筋の古墳等種別基数

古墳種別(墳形)とその古墳被葬者の社会階層は次のように対応しているものと想定します。
古墳等の形と階層秩序の対応(想定)

上位の古墳被葬者は広域を支配し、下位の古墳被葬者は上位古墳被葬者の支配領域の中で次位の支配者として狭い領域を支配したと考えます。

社会階層秩序のピラミッド構造が古墳墳形に表現されていると想定します。

3 種別の古墳等分布
3-1 前方後円墳・帆立貝形古墳
階層秩序最上位の前方後円墳と次位の帆立貝形古墳のリストは次の通りです。

花見川-平戸川筋の前方後円墳・帆立貝形古墳リスト

たまたま私が知っている情報ですが、高台南古墳のすぐ近くに円墳数基の存在が現地では知られていますので、備考欄に記述しておきました。重要な情報であると考えます。

そのうち1基の円墳は鷹之台カンツリー倶楽部のコース真ん中にあるのですが、「地元従業員の方が古墳として認識し、コースの邪魔になる地物であるが文化財保全上の視点から改変してこなかった」(鷹之台カンツリー倶楽部支配人談)という経緯があり、地元小学校の総合学習の対象となっています。

鷹之台カンツリー倶楽部内の埋蔵文化財未登録円墳

このリストを分布図にすると次のようになります。

前方後円墳、帆立貝形古墳の分布

この分布図はこの付近の社会階層秩序の上位の被葬者の古墳です。この分布図からいろいろな情報を引き出すことができます。検討は次の記事で行います。

3-2 円墳
最もポピュラーな古墳である円墳の分布を次に示します。

円墳の分布

前方後円墳や帆立貝形古墳の近くでは円墳が集中する傾向が見られます。同族の墓域となっていたと考えます。

孤立した円墳はローカルな小首長のものと考えます。

3-3 方墳、横穴
方墳、横穴の分布を次に示します。

方墳、横穴の分布

方墳の被葬者は首長層のなかでは最も劣位であったと考えます。被葬者の出自がどのようなものであるか気になります。

横穴は一般に古墳分布域には分布しないのですが、調査範囲に1つ分布します。東京湾岸の横穴としては最も北に位置するものです。(「城山横穴 シロヤマ」千葉市稲毛区小中台町城山)

この情報を使って、次の記事から上記1のア~エについて検討したいと思います。


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お知らせ
この記事はこれまでの記事表題の付け方に従えば、「花見川-平戸川筋の遺跡分布分析 その6 花見川-平戸川筋の古墳形式の把握」となります。
しかし今後「花見川-平戸川筋の遺跡分布分析 その○」と表示すべき記事を多数掲載することになりそうな展開となってきました。
毎回同じ文字が表題に出てくると記事第一印象のインパクトが減じます。
また本来の表題として主張したい内容が表題の後半に出てきて、判りずらいという弊害も生まれます。WEBで紹介されるときも、同じ理由で不利な場面が増えます。
こうした理由から、途中ですが、「花見川-平戸川筋の遺跡分布分析 その○」表記は止めることにします。

現在、古代における花見川-平戸川筋水運路と船越の実在性と意義(効果)の検証をするために、ビフォー情報として古墳時代遺跡情報の分析、アフター情報として奈良・平安時代遺跡情報の分析をしています。
当面、そのうちの古墳時代遺跡情報分析を集中的に行います。
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