上谷遺跡の遺構別墨書土器出土数について、これまで検討した近隣遺跡と比較して、特徴があるか検討してみました。
近隣遺跡の遺構別墨書土器出土数の表とグラフを示します。
上谷遺跡と近隣遺跡の遺構別墨書土器出土数 グラフ1
上谷遺跡と近隣遺跡の遺構別墨書土器出土数 グラフ2
上谷遺跡と近隣遺跡の遺構別墨書土器出土数 表
上谷遺跡は、竪穴住居から出土する墨書土器の%は他の遺跡と同様ですが、掘立柱建物から出土する墨書土器の%が高くなっています。
一般に、掘立柱建物からの遺物出土はすくないので掘立柱建物の利用目的等を知ることが困難です。
しかし上谷遺跡で全体の5.5%である57点の墨書土器が掘立柱建物から出土していますから掘立柱建物の利用状況の推察に墨書土器が利用できる可能性が他の遺跡より高まります。
なお近隣遺跡で掘立柱建物からの墨書土器出土が最も高いのは井戸向遺跡6.9%(19点)で上谷遺跡が2番目に多い遺跡になります。
3番目に多い遺跡は船尾白幡遺跡3.3%(16点)ですが、この遺跡では掘立柱建物の柱穴に「小」の墨書土器が出土し、「子」(コ)=蚕(コ)であることから、掘立柱建物の用途が繭を生産する蚕小屋であることが判明しました。
2016.03.25記事「船尾白幡遺跡における養蚕を示す墨書文字「子」「小」」参照
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