2017年6月12日月曜日

西根遺跡 特大土器接合片分布分析 2

この記事は2017.06.07記事「西根遺跡 土器接合片分布からわかる土器配置活動」の続編です。

1 第2集中地点
第2集中遅延の特大加曽利B式土器は1器のみで、その接合片の分布は次の通りです。

5D62 粗 深鉢B2a

隣接小グリッドから接合片が出土しています。この土器を配置する際に、一緒に隣接小グリッドに別の土器を配置した可能性があります。

2 第3集中地点
第3集中地点の特大加曽利B式土器の配置は次の通りです。

特大加曽利B式土器(最大径45㎝以上)の分布 第3集中地点
画像は発掘調査報告書「印西市西根遺跡」から引用

これらの土器は接合片の分布から次の3グループに分けることができます。

2-1 集中部中心付近に本体と接合片が分布するもの
8D75 粗 壺A2

隣接小グリッドから接合片が出土しています。

8D76 精 深鉢E2

隣接小グリッドから接合片が出土しています。

8D76 粗 壺A2

隣接小グリッドから接合片が出土しています。

8D87 粗 深鉢B2a

隣接小グリッドから接合片が出土しています。

2-2 集中部付近に本体が、離れた場所に接合片が分布するもの
8D76 粗 深鉢B2b

2-3 集中部から離れた場所に本体、接合片が分布するもの

9D04 粗 壺A2

9D05 粗 深鉢B2a

3 考察
第2集中地点、第3集中地点では本体出土小グリッドの隣接小グリッドに接合片が分布するものが多くなっています。
複数の土器を運んできて、それらを近くに配置したことが推察できます。

第3集中地点では土器本体が集中域中央と離れた場所の2つに分かれますが「8D76 粗 深鉢B2b」は本体は集中域中央、接合片は離れた場所であり、二つの場所(集中域中央、離れた場所)をつないでいるように観察できます。
特大土器だけでなく、全土器の接合片分布を調べれば判明することですが、集中域中央の土器は南方向の流路下流から運ばれたと推定しています。
その推定理由はミナトが廃絶して(ミナトが使えなくなって)、その場に土器を運ぶためにはミナトより下流で土器を舟から陸揚げしなければならないからです。

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